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いきなり人間が化け物になり始めたので、生き延びるためにあれこれ奮闘しようと思います  作者: よぎそーと
1章1節 選ばれても導かれてもいない、ただ逃げて集まっただけの者達

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14回目 こんな状況でも一応は出社していく

「あ、おはようございます」

「おはよう」

 派遣先である、近所の駅前にある雑居ビル。

 そこにある事務所に入ると、派遣先会社の事務員が出迎えてくれた。

 タクマに連絡を入れてきたものだ。

「言われた通りに来ましたよ、波奈多さん」

「わざわざすいません」



 波奈多はなたサヨ。

 この会社でタクマら派遣社員の担当的立場のものだ。

 とはいえ、役職者というわけではない。

 勤続年数が長いせいで色々押しつけられてるといったところ。

 そんな悲しきアラサーだ。

 化粧っ気のなさと眼鏡も相まって、地味眼鏡などとも呼ばれる。



 もっとも、仕事はしっかりやってくれる。

 あたりも柔らかく、タクマ達からの評判は悪くない。

 根が真面目なのだろう。

 そのせいで、こんな時でも会社に来て仕事をしている。

「おつかれさま」

 そう言いたくもなる。



「それで、そちらは?」

「途中でひろった。

 放っておくのも何だったから」

 そう言って、一緒に来させた三人を示す。



 トモルとカヲル、それと女の子。

 彼らはタクマと共に会社に入ってきていた。

 部外者は立ち入り禁止ではあるが。

 今の状況では、そうも言ってられないと判断してだ。

 仕事を見せるわけでもないし。

 こんな状況では仕事も何もあったものではないのだから。



「それは、さすがに」

 サヨはさすがに難色を示す。

 まだ部屋の入り口あたりだからまだ良いが。

 さすがに中に入れるのは抵抗があるようだ。

 そこはタクマも承知している。



「会社の中までは入らせないけど、目の届くところにいさせたい」

「そういう事なら。

 でも、そうなると廊下の休憩室で待ってもらってた方が……」

「じゃあ、そうする。

 ちょっと待ってて」

 そう言って三人を連れて廊下に戻った。



 休憩室に三人をつれていき、そこで待つように告げる。

 手持ち無沙汰もなんだから、置いてある自販機からジュースを買って渡して。

 また、ネットで現状の確認などもしてもらう。

 こうしてる間に、また新たな何かが出てくるかもしれないからだ。

「じゃあ、頼む」

 返事もろくに聞かず会社へと戻る。



「お待たせ」

「いえ、大丈夫ですよ」

 戻ったタクマはあらためて状況を聞く。

「一応来てみたけど。

 仕事はなさそうだね」

「ええ、そうなんですよ」

 困ったような調子でサヨが応じる。



「見ての通りで」

 そう言って後ろを振り向く。

 割と広い事務所と、そこに散見される者達を。

 普段は何十人といるが、今は数人程度しか人がいない。

「状況が状況なんで、仕事が出来る状態でもないですから」

「だろうな」

 むしろ、ここに人がいる事に驚く。



「他の人は?」

 連絡がとれた人は、自宅に待機してるようです。

 あと、逃げ回ってると」

「なんとまあ……」

 無事に生き延びてもらいたいと思う。

「あと、仕事は?

 片付けなきゃいけない事もあったはずだけど」

「それが、こんな状態ですし」

 サヨの顔が更に困ったように曇っていく。



「一応、相手の担当者にも連絡は入れてみたんですけど。

 まともに返事が来たのがほとんどなくて」

「まあ、しょうがないよね」

「その返事も、『こっちも仕事にならない』っていうだけです」

「どこも似たようなもんなんだろうな」

 それだけ広範囲で問題が起こってるのだろう。



「仕事の方も、出来れば期日までにはあげてもらいたい……とは言ってます」

「この状態で?」

「ええ。

 でも、こんな状態だから、もしかしたら変わるかも、とも」

「そうなってくれると助かるけど」

 納期や納品を守ろうにも、この状態ではそれも難しい。

 それを相手も分かっているなら良いのだが。



「それでも変わらず期日通りにとか言い出しそう」

「そうなんですよねえ……」

 タクマもサヨも、そうなる可能性を考えてため息をもらす。

 組織というのは、こういうところで融通が利かないものだ。

 その場合の事を考えると憂鬱にもなる。



「でも、仕事になるの?」

「正直、ちょっと無理ですね」

 サヨも現実はしっかりと見えている。

 それでも社員でもある。

「でも、出来るだけ進めておかないと」

 そう言うしかないし、そうしていく事になる。



「他の人は?

 派遣も」

「来れるなら来てくださいとはメールしました。

 無理するなとも」

「じゃあ、来ない奴の方が多いか」

「今のところ、来てくれたのは御津来さんだけですから。

 そういう事なんでしょうね」

「ああ、そうなんだ」

 タクマは自分の真面目さに泣きそうになった。



「在宅の人も、出来る事はしてもらってますから」

「そいつらも真面目だよな」

 周りに化け物は出てないのだろうか、と心配になる。

「連絡がついた人の周りはどうなってる?

 何か聞いてる?」

「おかしなのがうろついてるとは。

 私も、会社に来てから、周りに出てきたので」

 どこも状況は同じようだ。



「でも、そうなるとずいぶん早く出社したんだ。

 あの化け物が出てきたのって、結構朝早くだったし」

 それよりも早く出社したとなると、かなり早く会社に来てた事になる。

 そう思ったのだが。

「いえ…………忙しくて昨日は会社にとまりました」

「そうなんだ…………お疲れさまです」

 悲しき現実がそこにあった。

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おまえら、教えやがれ
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http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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