15回目 馴染みの顔をみながら、これからを考える
「他に来てるのは?」
「うちだと、あとは登和さんくらいですね」
「アスマか」
登和アスマは派遣で、タクマと同じ所から来ている。
顔を合わせたのはここに来てからだが。
誠実に仕事をしてくれるので助かっている。
「確かにいるな」
見れば机で作業をしている。
地道にこつこつと。
「在宅の方は、戸守さんと何人かが」
戸守ヒタチは在宅ワークをしてる者だ。
直接会ったことは無いが、メールでのやりとりはした事がある。
作業確認のためだけだが。
「でも、何人かは無事なんだ」
「今のところは」
いつまでもそうだとは限らない。
「これからどうすればいいのか」
「そうだよなあ」
問題は何一つ解決してない。
山積みのままだ。
「あ、でも」
「なにか?」
「会社で化け物になった人っていないの?」
「それは……ないですね。
人が変わってるとは聞いてますけど」
おそらく、全員が出社する前に化け物への変化が起こったのだろう。
だから、会社では被害が出てない。
逆に考えれば、このあたりはそれほど危険では無い。
化け物にならなかった者が集まってる可能性が高い。
「それだけはありがたいか」
まだここにいた方が安全そうではある。
「しばらくはここで様子を見た方がいいのかな」
「それはなんとも」
そこは保証が出来ないところだった。
いつまでも安全というわけではないだろう。
この先どうなるかは分からない。
ただ、下手に動くよりは安全かもしれなかった。
「でも、そんなに長居は出来ないと思いますよ。
食べ物も寝る場所もないし」
「それだよなあ」
長期間の滞在はさすがに難しいものがあった。
かといって自宅に戻るのも難しい。
倒せない訳では無いが、化け物は脅威だ。
数で押し切られると厄介だ。
不意打ちされたら、それだけで吹き飛ばされる。
だから警戒を怠れない。
そんな危険が無いだけ、会社の方が安心出来る。
化け物が来たらどうなるか分からないが。
「警察も今はあてにならないだろうし」
「大変みたいですよ。
戸守君からがメールに書いてたけど」
「戸守が?」
「家で仕事しながら、ネットを見てるそうです」
「あいつは……」
仕事中に何をと思ったが、今は控えた。
何にしろ、情報があるのはありがたい。
ある程度まとめてくれてるなら何よりだ。
自分で探すよりも手間が減る。
その分、収拾した者の感性や考えが色濃く出てしまうが。
「それでなんて?」
「印刷しますね」
「助かります」
眺めるならその方がありがたい。
「あと」
「なにか?」
「待たせてる子達はいいんですか?」
「…………あ」
それからタクマは急いで休憩室へと向かった。




