おまけ
舞踏会に出席する話です。
きらめくドレスにアクセサリー、眼福だわ。
壁際で一人、ジュースを飲みながら時間が過ぎるのを待つ。
こんなに黒髪に緑の瞳の乙女が集まると壮観ね。皆きれいに着飾っているし。
私は王子様に挨拶をした後は粗相をしないよう壁の花となっている。
王子様と言えば森の乙女と無事に再会できたようで、真ん中で乙女とダンスをしている。
乙女の上気した頬と王子様を見つめる瞳を見るに両想いだろう。よかったね王子様。
聞こえてくる話では辺境伯様のご令嬢だそうだ。変な女じゃなくて国王様や関係者の偉い人たちも今頃、安心しているに違いない。
とっても可愛らしいご令嬢だ。私との共通点といえば髪と瞳の色しかない。
振り回されて大変だったけれど、いいこともあった。心の中で王子様に感謝する。
もう舞踏会に出席することなんかないだろうし、料理を堪能しようとテーブルに向かう。
でもあまり食べすぎないようにしないと。
次の春に結婚式をする予定なのだ。花嫁衣裳が入らなくなったら困る。
アラルに今夜の話をしたら、どんな反応をするかしらと考えながら料理を皿に取るのだった。
アラルはあれから再度プロポーズをしてくれた。
どうやら自分でもあのプロポーズはどうかと思ったらしい。
星のきれいな夜に、自分で作った指輪をプレゼントしてくれた。
前から準備していたけれどなかなか渡せなかったと言いながら渡された指輪はシンプルながら美しく私の指にぴったりだった。
今もその指輪をしている。
女官長様に結婚するので舞踏会に出席することはできないと言ったのだけれど、どうせ選ばれないのだから問題ないし、実際に舞踏会に出席することは仕事に役立つでしょうと言われて結局出席することになった。
万が一選ばれたらどうするつもりだったのだ。選ばれなかったから問題ないけれど。
そんなことを考えながら料理を食べていると、王子様から発表があるようだ。
やはり、あのご令嬢を婚約者にするみたい。これで舞踏会もお開きだろう。
着替えて、早く家に帰って報告しなきゃ。アラルも心配しているだろうし。
私は家路を急ぐのであった。
お目汚し失礼いたしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。