表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホラーゲームですから!  作者: うばたま
第四章 錯綜する記憶
32/45


 「ねえ、今度って、一作目のリメイクなんでしょう?ストーリーとか大幅に変わるの?」

 「いや、基本は変わらないよ。前作の三組の主人公たちと、新キャラ。悪役令嬢のリーガンと不思議少女アナベル。あと、隠しキャラというか、全キャラでクリアしたら出てくるおまけキャラに、最強戦士ジェイソンを入れようと思うんだよね」

 「……へえ。それより、前作の三組って、確かフレッドとエスター、アッシュとキャリー、サミュエルとデニスだったっけ?」

 「ストーリーとして面白かったのはフレッドとエスター組だけど、使いやすかったのはサミュエルとデニスだったなあ」

 「ああ、あの二人ね。男同士でむさいから、反応はどうかと思ったけど、悪くはなかったよね」



 「リーガン!」

 耳元で名を呼ばれ、リーガンははっと顔を上げた。

 「疲れましたか?でも、いつ敵が来るかわからない状況です。気をしっかり持ってください」

 「……そうだったわ、ごめんなさい」

 リーガンは、休憩のために入った空き教室で、杖を握りしめた。

 ホールに戻って生徒たちに危険を知らせる。そのために向かっていたのに、それはとうとうできなかった。

 ホールに向かう途中で、何体ものゾンビに襲われたからだ。

 「遠くで、たくさんの悲鳴が聞こえたわ」

 「おそらく、ホールでも異変は嫌というほど伝わっていることでしょう」

 全校生徒のほとんどがあの場にいたのだ。それなのに、廊下は多くのゾンビがいた。しかも、ドレスアップしたゾンビたちだ。それが意味することは、考えなくてもわかる。

 ホールに行って危険を知らせる必要はなくなったが、今度は彼らをかいくぐって、この島を脱出しなくてはいけない。島を出るには、島と本土を繋ぐ唯一の手段である跳ね橋を渡る必要がある。しかし、跳ね橋はゲームの中では上がっており、役に立たないのだ。そしてそれは、現実でも同じように思えた。

 「この島を脱出するにはどうする?」

 「考えられるのは、おとなしく王家からの救助を待つことですね。うまく小舟を見つけて、湖を渡ることも考えられますが、どこにあるかわかりませんしね」

 リーガンも頷いた。確か、あのゲームでも生存ルートとして屋上に逃げるというのがあった。屋上に逃げ、王家からの救助の気球を待つのだ。

 「屋上に行かなくても生き残っていれば、王家から騎士団が助けに来てくれるでしょうね。跳ね橋を使ってこちらに渡り、ゾンビを片っ端から倒すでしょう。ただし、彼らが到着するのは、少なくとも明日の昼は過ぎるでしょうが」

 「騎士団ってそんなに強いの?」

 ええ。フレッドやアッシュが、手も足も出ないような精鋭がたくさんいるそうです。ゾンビくらい、多少強化したところで、いくらいても問題はないはずです」

 ゾンビだけならば。

 リーガンはふと、かのゲームに出てきたおぞましい生物の姿を思い出してぞっとした。

 ゲーム「ROLE」に出てくる化け物は、何もゾンビだけではない。

 中盤から出てくるゼノと呼ばれる爬虫類を思わせる凶悪な化け物がいた。幼体は黒い蛇のような姿だが、やがて成体となり、人型の姿になる。ただし、外見は爬虫類を連想させるものだ。奇妙な形の頭部に、目も鼻もないくせに、やたらでかい口だけは持っている。しかも、鋭い歯が並んでいるのだ。

 幼体は幼体で十分脅威なのだが、やはり恐ろしいのは成体だ。

 そいつは二足歩行で走り、人間の姿を見つけるや、いきなり真っ赤な口を開けて襲い掛かってくる。その動きは素早く、大抵の人間はその存在に気付く間もなく喉元を食いちぎられるのだ。彼らの牙から逃れたとしても、今度は鋭い爪で体を引き裂かれる。それは、おぞましい暗殺者といったところだ。

 幼体と違って分裂しないことは救いだが、あちらと違ってひたすら攻撃力が高く、また、全体を強固な鱗で覆われているため、生半可な攻撃では傷一つ付けられないのだ。そして、恐ろしくタフだ。

 (やっぱりゼノもリメイク版に出てくるのかしら。リメイク版はよく覚えていないのよね。たぶん、リメイク版をするより先に、私は死んだのではなかったかしら)

 先ほどふと脳裏によぎった会話も、リメイク版をプレイする前のものだったと思われる。前世でやっていれば、その知識が、ここを脱出するために何か役立つかもしれないのだが。

 初代の流れなら、エスターたちは確か屋上を目指していたはずだ。それには、屋上の鍵が必要になる。屋上への鍵は職員室にあるが、それらは確か何者かに奪われていた。予備の鍵を見つけるために、確か生徒会室へ行く流れだったような。

 「ダミアン、どうする?」

 「屋上へ行って、王家からの救助の気球を待つ。屋上なら鍵もかけられるし、それさえできれば一番安全です。あそこのドアは、割と頑丈ですからね」

 とはいえ、ゾンビが大勢やってきたら、ドアの一つくらい簡単に破壊されてしまうのではないだろうかと思わなくもなかった。ただし、ゾンビは基本的に獲物である人間が視界に入る、もしくは物音を聞きつけるなどをしないと動かない。気付かない間は、ぼうっと目的も持たずに歩くだけだ。ドアを開けようとなどはしないはずだ。

 「ゾンビに極力気付かれずに屋上へ行き、そこで救助を待つ、ということね。でも、他の生存者はどうするの?」

 「今は自分が生き残ることを第一に考えるべきです」

 ダミアンがきっぱりとした口調で言った。その眼鏡にちょうど光が当たったせいで、彼の表情は見えなかった。

 リーガンにも彼の言うことが正しいのはわかっていた。どこにいるのかも、生きているのかもわからない生徒たちを心配するような余裕は、今の二人にはない。だが、そう割り切れるものでもないのも確かだ。少し前まで一緒に戦っていたアナベルやチャールズのことも気にかかるし、ホールにいるエスターのことも気になる。

 (あら?そういえば、エスターはフレディやアッシュが傍にいるのよね。ゲームではフレディと一緒に行動するけど、別行動をとったのかしら。でも、ミシェルは?)

 元婚約者の安否は、正直どうでもよかったが、エスター、フレディ、アッシュとゲームの主人公たちが一緒にいて、なぜミシェルがプレイキャラクターじゃなかったのか、少し気にかかった。

 (初代のゲームでは主人公たち以外の生徒は基本助からなかったと思う。具体的にそんなシーンはなかったけど。つまり、ミシェルも死んだのよね。リメイク版でもそうなのかしら?)

 しかし、フレディとアッシュが守っているはずのミシェルがなぜそうなるのか、リーガンにはわからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ