毒沼の恐怖
毒沼に来たところからです
あたりに広がるのは紫色の水に朽ちた木々。異臭もしそうなものだが、嗅覚にダメージを与えるような臭いはしない。
「さすがに、これは、ショッキングだね」セガハナは嫌そうな顔をしていた。
それは仕方ないのかもしれない。あんなに綺麗な場所の次にこの場所は趣味が悪い。しかし、進まないわけにもいかないので、俺たちは足を動かした。毒の水に足を入れないように注意しながら進んだ。
一向に景色が変わらないまま、俺たちは歩いていた。
「さすがに疲れたな。と言ってもこんなところで休む場所はないか」
あたりを見回すが、休憩ポイントのようなものはない。どこもかしこも紫色が目についてしまう。
「早く抜け出した方がいいかもしれませんね。幸い、見渡すことはできるので、出口はすぐでしょう」
デアンカもうんざりしてきているのだろう。俺もこの景色には嫌気がさしている。早く進まなければ。
「そろそろ出口じゃないかな。ほら、あそこで紫色が途切れてる」
彼女が指したその方向は確かに紫色の水や朽ちた木々はなくなっている。そこが出口付近なのかもしれないが、そこは急に霧が濃くなっていてその先を見渡せない。俺たちは期待してその霧の中に入った。
霧は濃くなっている。二人はまだはぐれていないので、何とか敵が出てきても戦えるだろう。そんな風に思ったことを俺は後悔した。
カラ カラ カラ
そんな音が聞こえたから。噂をすれば影なんて法則を俺は忘れていた。そいつは骸骨の戦士だった。
「セガハナ!」彼女は目の前に現れたそいつの剣を受け止めている。
「ちょ、ちょっと、早く何とかしてぇ」
なんとかと言われても明らかに俺では歯が立たない。矢や突剣は骸骨には効かないというのがほとんどのパターンだ。つまり、俺はほとんど役に立たない。
「アタックスキル。ビロウオフ!」
デアンカが急に加速して、盾の面で敵をふっ飛ばした。見事に砕ける骸骨。
「やりました」
こうも霧が濃いと不意打ちし放題という感じだ。警戒しなくてはならない。
何体かの敵との遭遇のあと、霧は晴れ始めていた。やっと終わるのか。そう思っていたは俺だけじゃないはず。しかし、行く手を阻むものはいるに決まっている。
霧が晴れて、その先にあったものは墓だ。それもいくつも並んでいる。
「なんかやばい感じじゃない?」セガハナは不安な顔でこちらに振り替えった。
それに歯車で動いているかのようにギギギと頷いた。デアンカも同じようにしている。
俺たちは硬直している。なぜなら今まで倒してきた骸骨の敵がわんさかと墓から出てきていたのだ。
「これ、相手にするの? 無理じゃないかな」
いつもはそんなことを言わない彼女も弱気だ。そもそもお化けみたいなキャラクターは苦手とか昔に言っていた気もする。そうじゃなくてもこの景色には圧倒されるのだ。デアンカは盾を構えてなんとかしようとしているようだが、何とかできる気がしない。
骸骨たちはいっせいに俺たちをターゲットして俺たちの方に向かってきている。どうするか、セガハナは怖がってるし、デアンカ一人ではこの数をどうにかすることはできないだろう。俺はなんとかできるアイテムなんかも持っていない。俺の武器などは効かないだろうし、セガハナの武器を借りたとしても、大したダメージを与えられる気はしない。これは本格的にピンチということだろう。
「ララ、僕がなんとかしますから。セガハナをお願いします」彼はそういって骸骨を一体一体吹っ飛ばしていく。
彼女の硬直は解けていない。しかたないのだ。怖いものがあるのに無理をさせることはできない。俺はセガハナを守りに入る。このままでは完全にじり貧だ。何か手だてを考えなくては、一旦退くというのも考えなくてはいけないがセガハナが動けないのではなんともしようがない。
ドォンッ!
何かが爆発して骸骨はいっせいに吹っ飛んだ。
「デアンカ! 大丈夫か!」
彼は何が起きたかわからないという風にたたずんでいた。無事みたいではあるが、誰が何をしたのか。さっぱりわからない。そのとき、後ろから声が聞こえた。
「ふう、危なかったね。間一髪だったよ」
声のした方に視線を向ける。そこには白衣を着た女子がいた。手には試験管を持っている。赤い髪をなびかせて深紅の瞳を俺たちに向けている。それも少しの間で、すぐに敵に目を向ける。
「さぁ、まだまだくるよ! 倒しちゃうからねー!」
そう言って彼女は試験管をポンポン敵に投げていく。デアンカに当たらないように計算しているのかたまたまなのかわからないが、デアンカは無事でいる。
しばらく爆発を眺めていると途端に音が止んだ。
「これで大丈夫だね。私は先に進むけど」くるりと俺たちの方を向いた。
「あ、ああ」
返事はこれが精一杯で俺は茫然としていた。セガハナもデアンカもそれは同じようだった。
彼女はすたすたと先に進んでいく。
謎の救世主登場。どうなる、この先!
続く




