戦闘開始
本編です
「やっはろー。待った?」
「いや、全く。むしろ時間通り。ていうか何その挨拶」
「なんか漫画で言ってたから」
「そうか。なんか頭悪そうだな」
そうだねとセガハナは返事をした。
今日も洞窟へと探検だ。コボルト以外の敵を見つけて、Lvを上げなくてはいけない。そして、確かβ版は10個のフィールドが実装されていて、その最後の10個目にβ版のボスがいると噂がある。参加人数は多くはないから、結構強いんじゃないかとの情報もある。俺たちの目標はそれを倒すこと。しかし、オンラインゲームなので先を越されれば、その目標は叶うことはなくなる。だから、俺たちは急いでレベリングに励んでいるのだ。
「早くLv上げないとだね。先越されちゃう」
「ああ、そのためにもこうしてレベリングを頑張ってるんだろ」
俺たちは洞窟に来ていた。そういえば、このフィールドには名前が××洞窟みたいな名前がついていない。製品版で名前が付くのだろうか。そのことを彼女に訊いたら、製品版で付くって説明書に書いてあったでしょと言われた。俺は説明書は読まない派だ。
グルゥラァァァ!
獣の咆哮が洞窟内に響く。コボルトの鳴き声とは全く違う。もっと強そうなやつだと思う。
「早く行こう。ララ」
その言葉におうと答え、二人で走り出す。
そこにはコボルトに似た、しかし、大きさが桁違いの敵がいた。こいつは多分、コボルトのボス的な存在なんじゃないだろうか。今の俺たちで倒せるのだろうか。
「ちょ、ちょっと。あなたたち、だめです。勝てる相手じゃないんです!」
その敵の足元には尻もちをついた男がいた。そいつは鎧を付けて、大きな盾を持っていた。剣はなく、その盾には刃がついている。確か、刃盾と言う武器だったか。かなり使いずらく、どちらかというと守りの合間にちょっと攻撃できるという武器だったはず。ソロプレイには全く合わないものだ。
「ララ、行くよ! あなたなら当てれるでしょ」
「わかった。頭だな」
セガハナは頷くと、大きなそいつとにらみ合いを始める。むやみに突っ込むんじゃなく、牽制して俺の時間を稼いでくれている。
よし、集中だ。
矢を玄にあて、ゆっくりと引いていく。セガハナの背中が視界から消えていく。頭だ。高いところにあっても、大した高さじゃない。行ける。そう思うと的は近づいてくる。目の前までここまで来れば、誰でも充てられる。引ききった矢をリリースした。
シュッッ!
矢は見事に頭にヒットしたのだが、そいつは倒れない。攻撃したから、奴も動き出した。そいつは素手でセガハナを吹っ飛ばした。
「セガハナッ!」
俺は彼女に急いで駆け寄る。
「セガハナ、大丈夫か」
「うん。まだ大丈夫。だけど、私の怒りは頂点達してしまった」
そういうと彼女はは立ち上がる。それを見ている間に彼女は走り出した。
「こんにゃろぉぉぉぉ!」
彼女の持つ剣が光を放つ。
「アタックスキルッ! チャージランジ!」
彼女は剣先を前に向け、走った勢いを乗せて飛ぶ。そして、その巨体のど真ん中に剣を突き立て、さらに貫いた。その一撃に敵は消える。
「どうよ! 私に手を出した罪よ!」
決め台詞は忘れない。昔からの二人のルールみたいなものだ。ヴァーチャルになってから決めた。
「セガハナ、やったな」
「もちろんよ。スキルの後は決め台詞!」彼女はグッと親指を立てていた。笑顔ではあるが、疲れが見える。
「今日はもう帰るか」
その言葉に頷くと彼女は先を歩く。
「あの、待ってください」
さっきしりもちをついていた人が声をかけていた。俺たちは二人して振り向く。
「さっきのよく倒せましたね。すごいです」
それを言うためだけに声をかけたわけではあるまい。
「それでさ、僕も仲間に入れてくれませんか」彼はおどおどしていた。
そんなことだろうとは思った。確かに盾役はいないから助かるが。
「盾役になれますから」
「どうする、セガハナ。盾役は必要かもしれないけど」
「そうだねぇ。この人あんまり盾役って感じじゃないしね」
俺は言葉に出さなかったのに彼女ははっきりと言ってしまった。彼の方を見ると少しだけ落ち込んでいるように見えた。
「あの、僕は強くなりたくて、このゲームを始めました。盾なら怖いのとか克服できるかなって」
「なんだ、そういうことだったのか。ララ、この人仲間にしようよ」
何が納得いたのか俺にはわからないが、彼女が仲間にしてもいいと思ったのなら従おう。
「俺は構わない」
「よっし、これでパーティーが三人になった! 動きやすくなるね」
それから、三人で街に戻り、換金、鍛冶屋と回った。そして、暇つぶしの時間だ。
今日も甘いものが食べたいらしく、カフェ風の店に来た。ここには一度も来たことがない。
「私は、これにしよっと」彼女はパフェを指さして、注文していた。
「俺は今日はいいや。デアンカは何かいるか」
「僕もいいんですか。特に役にも立ってないのに」
鎧がないと、彼は戦える人には見えない。なんでそんなキャラを作ったのか。
「当たり前だよ。それに換金したときにあなたの換金分もパーティー金に入ったんだから、好きなものを頼んでいいんだよ」彼女は出てきたパフェを食べながら、元気に言った。
「じゃ、僕はこのパンにします。美味しいですよね、メロンパン」
「私も好きだなぁ。それより普通にしゃべってよ。敬語とか好きじゃないし」
「そういわれても、これが普通ですから。両親の前以外ではこうしてます」
「それなら仕方ないかー」
「あの、それより、本当に仲間でいいんですか? それに何かお邪魔になっている気がして」彼は何かうつむいてしまった。
「ん? なんで?」
「だって、その二人お付き合いしてるのでしょう? このゲームは性別詐欺はできませんから」
「ええっ! 私とララが、付き合ってるって?」
彼は頷く。
「ないない、ないよ。そんなこと。私と彼はね、昔から一緒にゲームしていただけだよ」彼女は頬を赤らめて早口で否定する。何を照れているのか、そんなに慌てることもないだろうに。
「そうでしたか。すみません、変なこと言って」彼は照れているのか頬が赤くなっている。
「気にするな。そういうことだから、お前は仲間だよ」
「はいっ!」メロンパンを持ちながら、彼は元気な笑顔で返事した。
それから、鍛冶屋で直してもらった武器、防具を受け取った。
「よし、じゃあ、また明日」
「はい、また明日」
「おう、じゃあな」
俺たちはログアウトした。
続きます




