β版クリア後
俺たちはクリアした後、三分の猶予を与えられてから、町に戻された。一度、全てのエリアボスを復活させるためだろう。俺たちだけでなく、他のフィールドにいたプイレヤーも同じように街に戻されることだろう。
「クリアできたねー!」
俺たちはまた武器と防具を鍛冶屋に預け、それからモンスターを倒した証を換金所でお金に変えた。ドラゴンを倒した証は換金せずにセガハナの手に残しておいた。これは記念品なのだ。
それから俺たちは誰にそれを報告するでもなく、一度行ったファミレスにいた。座る順番は前と同じだ。
「それでは、β版クリアを祝して、かんぱーい!!」
「「「「かんぱーい!」」」」
皆が手に持つグラスを掲げて、叫んでいた。飲食店にしては珍しく、俺たち以外の客は見当たらなかった。まぁ、前来た時にも客の数は少なかったと思うが、それでもゼロというのは商売あがったりだろう。ここは現実ではないので、そんなことは気にする必要は無いのかもしれないが。この店の経営のことは一度置いておいて、今は自分たちの祝勝会を楽しむことにしよう。
「前と同じものなのに、前よりおいしい気がするよ」
「そうかもな。そりゃ案だけ戦ったんだし」
「そうだね。これで前みたいに食べさせてくれたらもっとおいしくなるかも」
セガハナはちらりと上目使いでこちらを見ていた。
「一口だけな」
甘えられると断れない俺であった。鶏肉料理の鶏肉をフォークで一つ刺して、彼女の口元に運ぶ。それを彼女はぱくりと食べた。
「あの、本当にララさんとセガハナさんって付き合ってないんですよね?」
「ああ、そうだよ。でも、やっぱり距離、近いですよね」
それはもういいだろ。そう言う前にセガハナがデアンカの前に立った。
「デアもしてほしんだね。ほら」
そう言って彼女は俺が先ほど食べさせた鶏肉料理の鶏肉を一切れフォークに刺して、彼に差し出した。
「え、いや、そう言うわけではないんですが」
「食べないとララの口の中に入れちゃうよ」
随分勝手でわけのわからない言い分である。
「え、いや。それはおかしくないですか?」
最後の一音を出すと共に彼の口に鶏肉が突っ込まれた。彼はそれを仕方ないような顔をしながら、咀嚼していた。デアンカは俺とセガハナを付き合っていると言うが、案外この二人の方がお似合いなのかもしれない。
「ねぇねぇ、私のあーんもいる?」
俺にそう声をかけていたのは、ユーハであった。タケシシはどうしたのかと思ったが、彼はデアンカと話していた。あまり仲良く話しているところは見なかったが、仲良く話しているようであった。あの中には入りづらいだろう。
「どうしたんだ。俺に食べさせるなんて」
「いや、こういうマナーなのかなって思ったんだよ!」
こういう時に悪戯を仕掛けたような顔をするのは嘘を見破ってほしい時の顔だと誰かに言われた気がする。
「全く。俺にそう言うのはいらない」
「そっか。それはよかった。なんだかんだ言っても少し緊張してたんだ」
彼女でもそう言うことはあるらしい。ということはタケシシにしていた時も緊張していたということか。あまりそう言う雰囲気ではなかったように感じたのだが。まぁ、ただの悪戯好きでもないのだろう。詮索はしない。後々、面倒になったりするので。
「それより、これからもこのゲーム続けるだろ」
彼女は頷いて、返事をした。
「そうか、当然だよな。製品版でもよろしくな」
「え、良いの? 君とセガハナとデアンカでチームを組んでいるものだと思ってたよ。それにβ版に参加できなかった他の人も加えて、六人でチームみたいな?」
「いや、もともとは俺とセガハナだけなんだよ。昔からそうだった。まぁ、二人で十分っていう場面が多かったから」
「そうなんだ。じゃ、私もお仲間に入れてくれるかな?」
それはあの番組の振りか。間違っているかもしれないけど、乗ってみようか。
「いいとも~!」
そう言ってやると、彼女は満足そうに微笑んでいた。そして、ちょうどデアンカたちの会話も終わったようで、デアンカがこちらに視線を向けていた。それを確認したユーハはタケシシと話を始めた。
「結局、最後まで面倒見てもらいましたね。ありがとうございました」
彼は律儀にも頭を下げていた。ちなみにセガハナは料理に夢中で俺側の奥席で、一人料理を味わっていた。とても幸せそうである。
「何、、別れるみたいに言ってんだ。俺たちの旅はまだまだこれからだ、だろ」
「打ち切りのテンプレみたいですね。でも、このまま一緒に居て良いんですか。β版は終わりでしょう?」
「いや、ここまで一緒だからこそ、製品版でもチーム組もうってわけだ。勝手にどっか行くんじゃないぞ」
俺がそう言うと、彼は嬉しそうに微笑んでいた。
「それじゃ、またよろしくお願いします!」
「ふふ、デア、勝手に抜けたら怒るからね」
いつの間にか料理を食べるのをやめて、俺の肩に顔を乗せていた。
「わかってますよ。あなたたちと戦ってきて、成長はしているかわかないけど、少しは度胸がついている気がするんです。これからも頑張りますよ!」
「なぁ、俺もこのメンバーにこのまま居させてくれないか」
「当たり前だろ」「もっちろん」
俺とセガハナは即答だった。ドラゴンを倒したのはこのみんながいたからで、誰か一人欠けていては勝てなかったかもしれない。だから、彼だけ抜けさせるなんてことは無いのだ。
「そうか、ありがとう」
「というか、私もタケシシが抜けるならこのチームは抜けるよ。頼りになるからね!」
どうやら今まで少し勘違いしていたらしい。ユーハはタケシシに恋愛的な好意を持っているのかと思っていたのだが、この表情はセガハナが話すときと同じである。つまり、天然でこういうことを言ってのけるのである。
「ララ? どうかしたの?」
どうやら無意識に彼女の顔を見ていたらしい。見られていた彼女はとても不思議そうにしていた。
それからしばらく俺たちはこれまでの戦いの話とこれからの戦いの話をして、祝勝会を終えた。
それから、製品版が出た。製品版はβ版とは比べられないほどのフィールド数があった。まず通常のフィールドが六十、それに加えて、イベントなどのフィールドが定期的に出てくるのだ。イベントの方はやろうと思えばいくらでも出せる、そんな仕様になっていた。
俺たちは再び集まり、多くの面をクリアしていった。スキルの数が増えていたり、雪山の頂上を超えてからのフィールドのエリアボスに驚いたりしながら、俺たちは進んだ。その間にもイベントをこなしてみたり、ユーハが欲しいという素材を集めてみたりと色々やった。
そして、BARE1はクリアされた。最終ボスは巨大だった。何メートルと表現できそうにないほどの大きさで、俺たち以外にも多くのプレイヤーと共に戦った。多くの力をもってようやく勝ったのである。
BARE1がクリアされてから、すぐに新作が発表された。
BATTLEARENA2の発売が数か月先に迫っていた。
終了でーす!(第一部は)
この作品は並行して書いていた「糖度100%」に集中するために中断してしまった作品です。ですので、文体が前と後ろで違うことがあるかもしれません。申し訳ないです。
まぁ、これで止まっている作品がなくなりました。それでもこれからも書き続けるつもりです。
それと一つお伝えしなくてはいけないことがありまして、それはカクヨムの方にも小説を投稿することにしました。理由は、WEB小説コンテストがあるからです。そのための物語を書きたいと思います。とはいっても、賞を取るために最近の流行の書き方をしたり、自分の文章とは会わないような物語は書きません、作風は今まで通りです。ちなみにその話の内容はまずは恋愛ものですね。糖度100%みたいな物語を書きたいと思っています。まぁ、在来みたいにハーレムを作るわけではないですが。ちゃんと一人と結ばれます。というか、これを読んでいただいているころにはすでに、話はできてきているかもしれません。読んでくださる方はカクヨムにて、ReCruitと検索していただければ出ますので。そういうわけで、このサイトでの更新は止まってしまうかもしれません。ご了承ください。
それと「糖度100%」のあとがきで言っていたロボットものもちゃんと書きます。結構後になるかもしれませんが、書きます。はい。一応、最初の方の設定はできているので。書きます。
あ、あと、BATTLEARENA2はちゃんと書きますので、もし楽しみにしてくださる方にはそれをお伝えしておきます。まぁ、そもそも三部あるんだ、とあらすじで言っていた気もします。(笑)
それと相変わらず、更新は木曜日の夜九時です。
では、読者様への感謝と共にまた私の物語に付き合ってくださることを願って。また会いましょう!




