愚かな花
高校生になった。
私は受験に失敗した。身の丈に合わない学校を受けるものじゃない。噂では圭太も同じようだった。
千種と一緒の女子高に通うことになったが、クラスも離れたので、お互い新しい環境に身を置いていた。
圭太には受験の後ろめたさがあり、見掛けても声を掛けずらくなっていた。
1年生の夏くらいだろうか…。
私は高校から仲良くなった友達と一緒に、地元のお祭りに行った。
屋台の明るさと、それに集まる人々の陽気さに久し振りに浮足立っていた。
そんな時に、人生で初のナンパをされてしまった。
「可愛いね〜。」
いかにもな二人組で、普段の私なら気にせず振り払っていたが、祭りに浮かれていたからか、誘いを受けてしまった。
暫くは祭りを回っていたが、友達ともう一人の男が二人で回りたいと言ってきた。
「俺らも二人で行こうか。」
男はそう言うと、私達は別れて祭りを楽しんだ。
遅い時間になった時、男が家に寄って行かないかと言ってきた。
私は断ろうとしたが、祭りの熱が残っていたのか、その提案に乗ってしまった。
…男の家に入る所を圭太に見られたような気がするが、気のせいだろう…。
私は今日知った男に、初めてを捧げた。
それからは、あっという間だった気がする。
高校3年生になり、彼氏と同じ大学の推薦を貰えることになっていた。
ここから、遠い場所だ。
地元を離れることが決まったからなのか、今までのことが走馬灯のように思い浮んでいた。
ふと、引っ越して来た時の事を思い出す。
私の人生の殆どが、ここで過ごしたんだ…
…圭太、どうしてるんだろ…
(…会いたいな)
今更、会ってどうするのか…。私にもわからない、でも、気づくと圭太の通う学校に足が伸びていた。
暫く、校門で待っていると、待ち人がやってきた。
「久し振りぶりだね。」
小学校時代、毎日のように一緒に帰った道…
今でも昨日の様に思い出せる。
私は、あえて小学生の時みたいに振る舞っていた。
あぁ…懐かしいなぁ…
圭太も同じなのだろうか…
懐かしさで心が張り裂けそうになりながらも、言いたいことを伝える。
「県外の大学から推薦を貰えそうなの。」
賢い圭太なら、これだけで意味が、わかるのだろう。悲しそうな表情をしていた。
「だからね、これが最後。」
「好きだったよ。」
「知ってた。」
…私もだよ…
少しの間、見つめ合いう、
「それじゃ、行くね。」
「あぁ。さよならだ。」
「うん。さよなら。」
別れ際、私は泣いていた。
最後になっても伝えることのできない愚かな花。
そんな自分の心の弱さに感情の針が深く刺さるのを感じていた。




