今日から本気出す~ウサギ……?~
これでノルマまであと2羽。この分だとあと1時間もしないうちに家に帰れるだろう。
個人的にはついでに金になりそうなモンスターとか狩っていきたい。この世界のモンスターの標準的な大きさを実感してみたいし、夫婦揃って腕試しがしたい。ウサギでは全然力が計れん。
「にしても、ここって結構ウサギ多いんだな。ちょっと歩いただけで4羽も捕れるとか楽すぎだろ……」
「確かに……。ま、私達の運がいいって事でいいんじゃない?」
「…………俺達そんな運良かったっけ?」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……悪い…………のかな?」
「悪い悪くないで言えばどちらかというと悪いだろうな……」
思えば夫婦揃ってオタクなのに、全然そっち方面では運がない。
携帯ゲーではガチャで欲しいカードが出ない、マ○オ○ートではバナナの確率が異常に高い、バト○ピではいくらガチャを回してもレアが来ないから箱買いする始末、ポ○モンではラッ○ーが全然出ない、懸賞には全然当たらない、その他エトセトラ……。
ほんと、オタクであることが罪だとユートピ(ry
だがその見返りなのか、オタク成分抜きの私生活での運は頗る良い。夫婦初めての新婚旅行で泊まった旅館も、近くのショッピングモールのくじ引きで一等を当てたから行けたわけで。
ということは、このクエスト自体の運は私生活準拠なのだろうか。夫婦揃ってオタク心爆発していたのに、不思議な物だ。
「ま、そんな事より今はクエストクリアが優先だ。ウサギ探しに戻るぞ」
捕らえたウサギを落ちてた棒に紐で結び付けて肩に背負うと、更なるウサギを探すため立ち上がる。
耳元でウサギが鳴くのが心に突き刺さるが、これも自然の摂理と割り切って慈悲の心を抑える。こちらも、(今のところは)ウサギを捕らないと生きていけないのだ。すまない、ウサギ達……。
「なぁ美咲……」
「ん、どしたの?」
「……ウサギを狩るのって……難しいな……」
しかし、ウサギを想う悲しみを捨てきれずに思わず男泣きしてしまう。世界での精肉業界の方々の何割が、今の俺と同じ気持ちを思っているのだろうか。これからは少しでも考え方を変えなければ。
命のやり取りをしているのだ、俺達人間や生きとし生ける者全ては。
そう心の中で悟った時だった。
後方で、バィン、と何かが跳ね上がる音が。
間違いない、何かが罠に掛かった。
これで5羽目のウサギ確保、と思った瞬間──
「ぬおぉぉぉぉぉぉっ!!? 何処の誰かは知らんがぁ、この我輩を罠に掛けるとは──出来るっ!! 今すぐにでもその顔を見てみたいぞぉっ!! 何処に居るぅぅっ!? 我輩は逃げも隠れもせんぞぉぉぉぉぉっ!!」
──掛かったのがウサギで無いことを確認した。
仮にウサギだとしても、どこぞのブリ○ニア皇帝のような声であんな台詞を可愛いウサギが喋っていたら正直ドン引く。最低でもティッ○ーがあんな声を出した時の衝撃はあるだろう。出来ればそんなことになってほしくは無いが。
生憎こちらからでは竿は見えても肝心の何が掛かっているのかが分からないので、戻って確認しないといけないようだ。
「ぬおぉぉぉぉぉぉっ!!? 来ないのか? 来ないと言うのかぁぁぁっ!? ならば我輩は死ぬまで待つぞぉっ! 我輩を罠に嵌めたその腕、試してみたいぞぉっ!!」
あー、暑苦しい。
「…………どうする?」
「まぁ、もし人が掛かってたら助けて謝らないとだし、行くしか無いだろ」
「だよねー」
最早嫌な予感しかしないが、先程罠を仕掛けた場所に戻ることに。
まさか自分の仕掛けた罠がこんな形で自分の首を絞めてくるとは想像だにしていなかった。というかしようと思っても出来ないだろこんな展開。
そんな訳で謎の叫び声を聞き流しながらトボトボ歩くこと数分。俺達は罠に掛かった物の姿を眼にした。
──眼にしたのだが。
「それ」は俺達の予想の直角に近い数値をいっていた。
だってさ──
──掛かってるのが「ウサ耳付けた筋骨粒々のダンディーなおっさん」なんだぜ?
11/23 ウサ耳おっさんの一人称を「私」→「我輩」に変更。




