町にて~家探し~
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「──はいっ、これで冒険者登録完了しました!」
「お、あんがとさん。んじゃ行くか」
「ありがとうございましたー!」
数時間後──ラグナノヴァ、ハルトーバの町の冒険者ギルド。
美咲の暴走というイレギュラーがあったものの、俺達は当初の予定である冒険者登録を完了させていた。
登録は関所の兵士が手を回してくれたようですんなりと進み、ギルドに立ち寄って10分と経たずに終了した。
冒険者になった事で、ギルド内の掲示板やスマホのアプリからクエストや依頼を受けることが出来るようになるらしく、現にプロフィールのアプリの項目に『受注可能クエスト一覧』が追加されていた。
クエストと依頼の具体的な違いとして挙げられるのは、
・クエストは追加されない限り内容は不変の物で、一部を覗いて報酬額は一定であるが、依頼は個々人の意志が介入するため内容はクエストより幅が広いが、報酬額はバラついて安定しない。
・クエストは主に冒険者の育成を兼ねた物が殆どで、報酬内容は現金及び一部アイテム。
・依頼の報酬内容はクエストの枠に左右されず、依頼主の謝礼によっては大金を得たりすることもある。
・クエストはギルドに行かずともアプリから受注可能だが、依頼はギルドの掲示板から受付に受注手続きを踏まないといけない。
という感じだ。他にも色々差違はあったが、説明がめんどくさいので割愛する。
「薫っ、これからどうする? クエスト? それとも依頼?」
「ははは、何言ってんだ美咲。そんなの決まってんだろ──」
そう、異世界生活を始めるにあたって最も大切な最優先事項。
ラグナノヴァに連泊する可能性を考慮し、それを為すために必要な事──。
「──家探しだっ!!」
そう、家。
家さえあれば、心の安らぎを得ることが出来、尚且つラグナノヴァに連泊だって可能。元の世界での休みの日はこっちの家で寝泊まりすれば毎回こっちにワープする手間が省ける! そして何より夢の異世界新婚生活っ!! それが真っ向から実現できるのだっ!!
「というわけで、まずは掲示板だ。報酬に空き家出してるやつを探すぞっ!」
「がってんっ!」
そうして雄々しく(片方女だが)掲示板に歩き出す俺達。
幸い掲示板周りに人は居らず、じっくりと掲示板を拝見出来そうだ。
「えーっと……? 『迷い猫探しています』、『隣町までの護衛お願いします』、『弟に会わせてください』、『迷い猫の飼い主探しています』……。ほんとに個人的な依頼ばっかだな」
「報酬は、『5000円』、『MP回服薬』、『30000円&砥石×10』……。流石に『空き家』なんて報酬は無いみたい」
「ま、普通はそうだよなー。んじゃ、適当に町回って空き家探すか」
どうやらお目当ての報酬の依頼は無いようなので、地道に歩いて空き家を探すことにした。元の世界の俺達が住んでた町の数倍はあるこの町だ。探せばいくらでも空き家はあるだろう。
幸い金の方は神様が出した金塊を譲り受けたので問題はない。どんな豪邸でもドンと来い、だ。
え? 何処に山ほどの金塊突っ込んでるのかって?
────突っ込んだら終わりだよ?
というか秘密は俺達は腰につけている″これ″にある。
見掛けは普通のウエストポーチのようで、革製で中々に丈夫である。
プロフィール画面で確認したところ、『無限収納ウエストポーチ』という物らしく、その名の通りあらゆる物を無限に収納可能なウエストポーチとのこと。中に詰め込める物の大きさの限界は普通の段ボール程で、その大きさの範囲内ならば無制限に詰め込められ、収納した物の重量は反映されないらしい。
現に今俺達のこのポーチの中には、総重量100kgは下らない金塊が収納されているが、全くもって重さを感じさせない。
収納したものを出すときは、思い浮かべれば手元にやって来るとのこと。その辺りはどこかの青い狸風猫型ロボットのポケットよりは高性能である。
説明では言及されていないが、きっとそのポケットと同じようにこの中も四次元とかになっているに違いない。
説明が長くなってしまったので、さっさとギルドを後にする。
「さて、こういうときは人様に聞いた方が早いんだよな……」
「まぁ確かにね。歩いて回るよりそっちが効率いいし」
「だろ? そんじゃ、早速聞くとしますか────なっ!?」
と、その時。俺の眼に″ある物″が飛び込んでくる。
それは、こちらに向かって歩いてくる少女三人組。一人は黒髪の腰まで届くロングヘアーで、腰元に銃を二丁、肩に刀を背負っており、もう一人はビキニアーマーを着けた緑髪のサイドテール。
そして俺が最も注目したのは最後の一人。
なんと猫人っ!!
しかも露出高いし胸も美咲程じゃないが大きいし金髪だし外人風だし、ハッキリいって萌えるーわっ!!
まさかこんな所で純度100%の猫人に会えるとは……っ!!
よし、早速モフらせてもらおう。
「薫……? 節操無く猫人をモフるのはやめようねー?」
「すんません、俺が悪うござんした許してくだせぇ」
しかし俺の下心を察知したのか、美咲が俺の右腕をギチギチと締め上げる。どうやら相当お怒りのご様子で、冗談抜きで関節が悲鳴をあげる。
すみません、美咲の事を全力で愛しますから許してください。
「えっ、あのどうかなされたんですか?」
と、黒髪の少女が俺達の様子を心配したのか話し掛けてきた。
「いえいえ、ただの夫婦の戯れですから」
「そうだよねーっ」
「ふ、夫婦の……戯れなんですか?」
「正直引くわね」
「Oh! 仲良シ夫婦っテこんな感じなんですネ!」
俺達が笑顔で返答すると、三人は各々の反応を示す。二人は半ば引いているが、ワーキャットの少女には好印象のようだ。
「あ、そう言えば私達、空き家を探しているんですけど……」
関節技を解除すると、美咲は三人に問い掛ける。正直に言うと美咲の胸が密着していたので、もっとやっていて欲しかったのだが。
すると、緑髪の少女から嬉しい返答が。
「空き家? それなら家の隣にあるけど」
「「マジで!?」」
「マジよ。私の両親が保有する家の内の1つだけど、殆ど使ってないから売ってあげるわ」
「是非お願いしますっ!!」
勢いよくその場に土下座すると、緑髪の少女は他の二人を引き連れて俺達を先導して歩き始めた。
今回出てきた三人組は、作者の別作品「兄と妹は身体を共有して異世界生活を謳歌することにしました。」のメインキャラです。世界観が同じなので出しちゃいました。
詳しくは当該小説をご覧くださいm(__)m




