第3話
第三話
私はすぐに病院に運ばれた。
「頭部から大量出血してる中学生一人です!すぐに緊急オペを!先生!」
看護士さん達が大きな声で先生を呼びかけた。
苦しい頭の痛みの向こうから聞こえてきた。
「霙!霙!私待ってるからずっと待ってるから。笑顔で戻ってくる時まで待ってるから、何日でもかけていいから。絶対もとの笑顔のままで帰って来てね?!」
由梨矢の声が聞こえた。
痛みにたえながら私は笑顔で由梨矢に言った。
「ありがとう。」
私はそう言い残して、手術室に入った。
(お願い、霙、笑顔で戻ってきて!)
由梨矢は祈った。
教室にいた。
みんなも、いそいでかけつけてきた。
ガー…
ドアが開いた。
「どうなってる?霙。」
息をきらしながら霙をぶった人が言った。
「どうなってるですって?! あなたが、あなたが霙を傷つけたんでしょ??!!」
ガッ
由梨矢は霙を帚でぶった女の子の制服の襟をつかんで、苦しい顔を近づけた。
「やめろよ。ここで、喧嘩したって、雪道が困るだろう?!」
一人の男子が言った。
そう、その男子はあの、厚樹だった。
「厚樹、あんた、自分が言ってることわかってる?!元はと言えばあんたが原因なんだよ?!返してよ!あの元気だった。霙を返してよ!!」
由梨矢はつらそうにゆっくりとしゃがみこんでいった。
『……。』
みんなは黙ってしまった。
由梨矢は泣いていた。
ガー…
手術室から先生(病院の)が出てきた。
「先生霙は?霙はどうなったんですか?!」
由梨矢は必死に落ち着かない様子を隠しながら先生に聞いてきた。
「おちついてください。大丈夫です。息もしっかりしてますし、心拍数も正常です。安心してださい。」
先生は由梨矢の肩を軽く叩いた。
「よかった。」
みんなは一斉にため息をついた。
「雪道さんのお母様、ちょっとお話が、ちょっとこちらにきてください。」
先生は霙のお母さん達を違うところに案内した。
由梨矢はそのとき嫌な予感が頭の中をよぎった。
窓の外は雪が降っていた。
ちらちら落ちる雪は桜のようにきれいで何かを伝えようとしてるのかもしれないと思ってしまうほど切なくて。
苦しい。
由梨矢は窓の外を苦い顔で見ていた。
(ねえ、霙、帰って来るよね?。笑顔で、帰って来てくれるよね?)
由梨矢は心の中で何度もこの言葉を繰り返していた。
翌日…
私は病院に入院していた。
お母さんはいつもとちょっとちがくて。
何故か苦しそうな顔を隠していた。
私はすぐにわかった。
だって、十四年間も一緒にいるんですもの、わからないわけないでしょ?
「ねえ、お母さん、何か今日は元気がないね?どうしたの?」
私は元気のないいつもと変わったお母さんに優しく声をかけた。
「な、何でもないのよ。ちょっと、寝不足なだけ。」
お母さんはつらそうに顔を笑顔に変える。
「そう、それならいいけど。」
私は心配かけないように言った。
だって、泣きそうなんだもん。
お母さんが…。
思ったら私もつらくなった。
ガラッ
急に病室のドアが開いた音に私はビクッとしてしまった。
「失礼します。」
ドアの向こう側から出てきたのはニコッとした顔で入ってきた由梨矢だった。
「どうぞー。」
私は軽く笑顔で言った。
「じゃあ、また来るわね。」
お母さんがガタッと席を立った。
「すみません。」
由梨矢は本当にすみません顔で頭を軽くさげた。
「いいのよ。ゆっくりしてってね。家じゃないけど。」
お母さんは作った笑顔で、由梨矢に言った。
「はい、ありがとうございます。」
由梨矢も、ちょっとだけ、作った笑顔で言ってるような気がした。
「じゃあ。」
ガラッ・ピシャッ。
ドアが開いて一気にしまった。
由梨矢は私のほうに向き直した。
「調子は大丈夫?」
由梨矢は私に心配顔で聞いてきた。
「うん、大丈夫。」
私は元気に顔を笑顔にした。
そして、つけたして、ピースをした。
「よかった。」
由梨矢はホッとしたみたいで、イスに腰をかけた。
「ごめんね。私のせいで。」
由梨矢は苦しそうに顔をしかめた。
「ううん。由梨矢は悪くないよ、変なふうに帚をうけとめたのが悪いんだよ。自業自得ってやつよ。」
私は由梨矢の痛みを少しでも、やわらげてあげたくて、そう…祈りながら言った。
由梨矢はその言葉を聞いて、目をうるませた。
「な、泣かないでよ? 由梨矢ー。」
私はやわらぐようにやったのに…。
「だって、そんなこと言ってくれるなんて思ってもいなかったから。」
由梨矢は泣きそうになりながら、私に言ってきた。
「あはははは、由梨矢って泣き虫だ。」
私は楽しくするため言った。
「もう、霙のバカ!」
由梨矢は目を手で隠しながら、笑って言った。
そのときの由梨矢は可愛くて、愛しいぐらい女の子で、いいなってちょっとだけ思った。
由梨矢はすぐに泣き止んだ。
「霙、ずっと友達でいてくれる?」
由梨矢は真剣な顔をして、黒く住んだ色の目を私の真正面に向けてきた。
「うん。ずっといてあげる。ずっと、由梨矢の心の側にいつもいるよ。」
私は今までになかったような満面な笑顔で答えた。
「よかった。」
由梨矢はホッとしたような顔をした。
「私は、由梨矢が大好きだから、大丈夫安心して、私が、もし、この星から消えたって、私は
由梨矢の友達だよ。」
私は笑顔で言った。
「私、一番の友達? それとも、親友?」
由梨矢は私の目をじいーっと見てきた。
「え?親友と一番の友達って同じじゃない?」
私は首をかしげながら私は尋ねた。
「え?あ、そうか。」
(以外に天然?)
「まあ、親友だね。私の一番の友達だよ。由梨矢は。」
私は由梨矢の顔を覗き込んだ。
「よかった!!えへへ。」
由梨矢は照れながら頭かいた。
「かわいいー。由梨矢。」
私は由梨矢をぎゅっと抱きしめた。
「もう、からかわないでよー。」
由梨矢はちょっとだけ笑顔で、怒った。
私達は一時間ぐらい、話をした。
その時間はかけがえのない時間となって、私の心のアルバムにしまった。
写真みたいに。
綺麗に保管する。
ズキッズキッズキッ…
(い、痛い!)
頭が痛くてたまらない。
痛い痛い痛い痛い…ずっとその言葉が私の頭の中を蝕んでく。
私はナースコールをおした。
たえられない。
ガラッ
病室がのドアが開いた。
「どうしたんですか?雪道さん。」
看護士さんが私に呼びかけた。
「頭…が…痛いんです……うっ。」
ズキズキズキズキ…痛い!!!
「誰かー!、先生を呼んでー!!!」
看護士さんの声が病院の廊下に響く。
私はなんとか、その言葉は聞こえたけど。
もう、それから、どう運ばれたのか。
どう処置してもらったのかは覚えてない。
ていうよりわからない。
目が覚めたら一日中寝ていたらしい。
「お母さん?」
最初に目にはいったのは、私の手を握り締めていたお母さんだった。
泣きそうなしょっぱい顔をして握り締めていた。
何かを祈りながら。
「あ、やっと目が覚めたのね。」
お母さんは一気に明るくなった。
目がウルウルしていた。
「うん、大丈夫?お母さん、ずっと一緒にいてくれたんじゃないの?目の下にクマができてるよ?」
私はつらそうなお母さんに優しく声かけた。
「うん、ずっと一緒にいたから。安心して寝てたと思うわ。体調、大丈夫?」
お母さんは顔をちょっとだけゆがめて言った。
「うん、すごく元気だよ。」
私はお母さんに気をつかいながら笑顔で言った。
「そう、よかったわ。」
お母さんは眉毛をちょっとだけよせて笑った。
「また、夕方くるわ。体調がおかしくなったら、ちゃんと看護士さん達を呼びなさい。」
お母さんは、心配そうに顔をしかめながら言った。
「うん。」
私は笑顔で言った。
ガラッ
病室のドアは開き、そして、閉まった。
私は病室で、静かに寝ようと思った。
でも、一日中寝てたからか、全然寝付けない。
しょうがないがら天上の壁をキャンバスと思って何かを描こうとした。
まっさきに出てきたのが…由梨矢の笑顔だった。
「そうだ!いいこと考えた!」
私はお母さんが買ってくれた落書き張を開いて、クラスみんなの笑顔を描いた。
先生の顔も描こう。
みんなを描こう、誰一人ぬけることのないクラスなんだよ。
私はみんなの似顔絵をかいた。
すらすらと手が動いた。
私はそれを完成させた(十五分間の間に)。
私はそれを見て、みんなに逢いたくなった。
この子とはこんなことがあった。
あの子とはあんなことがあった。
全部よみがえって来た。
「みんなー、逢いたいよー。」
私は思わず言葉にしてしまった。
その時いきなり、病室のドアが開いた。
「!?」
私はビクッとした。
「えへへ、みんなで来ちゃった。」
由梨矢と、クラス全員が入ってきた。
「ちょっ、何?いきなりー。」
私は引きずった顔で、言った。
「あはははは、霙泣いてたみたいだね?」
由梨矢はからかってるように言いながら私の頬のついってる涙をハンカチでふきとってくれた。
「からかってるでしょー。」
私はちょっと怒って言った。
「あははははは、逢いたいって言ってたの誰よー。」
由梨矢はお腹をかかえながら笑った。
「聞いてたのー?!!」
私は顔を赤めながら言った。
顔が熱くて熱くてたまらなくなった。
「あはは、顔真っ赤ー。」
「あんた、本当におちょっくてるでしょう?」
私はムカつきながら言った。
「まあまあ、みんなで来たんだから、いろんなこと話そう?」
由梨矢はちょっと笑顔で言った。
「まずは、あやまってもらおうか?厚樹達?」
由梨矢はちょっと怒りながら言った。
(以外に迫力があるな…)
私は由梨矢の顔を見ながら心の中で思った。
女子五人ぐらいと、厚樹が出てきた。
「ごめんね、霙。」
女子達が言ってきた。
「ごめん。」
あっけない終わりの言葉。
でも、そこもまた厚樹らしいとこ。
「暇つぶしにするのは、これでこりた?」
私は首をかしげながら聞いた。
「あぁ…。」
厚樹はうつむいた。
「これで、もしかしたらこうなることもあるってことをわかってほしいな。」
私は厚樹の顔を覗き込んだ。
「うん。本当にごめん。」
厚樹は苦しそうに顔をしかめながら言った。
「許すよ。」
私は真剣な顔をして言った。
「ありがとう。」
私と厚樹達と仲直りした。
いっぱい話した。
いろんなこと。
先生も一緒にいて楽しく会話がはずんて楽しい。
もっと話したかった。
でも、もう、こんな機会は無くなってしまうんだ。
私は思いもしなった。こんなこと……。




