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SCP-MST-01-J  作者: kinpo


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第7話 【Apollyon】 逃げ場なし


アイテム番号: SCP-XXXX-J

通称: SCP-MST-01-J(本体/情報相転移後)

オブジェクトクラス: Apollyon(最終確定)


特別収容プロトコル(無効・備考のみ)


SCP-XXXX-Jは、以下の特性が確認されたため、特別収容プロトコルは存在しない。

• 破壊不能(概念的存在への移行済)

• 説得不能(「善意」のみで構成されているため)

• 隔離不能(地球全域の情報構造体と同化)

• 忘却不能(認識すること自体が永続化のトリガー)


現在、財団が実施可能な対抗策は以下のみである。

• SCP-XXXX-Jについて考えない努力をする

• SCP-XXXX-Jについて話題にしない努力をする

• SCP-XXXX-Jについて他者と比較しない努力をする


注記: 上記はいずれも成功例がなく、実験した職員全員が「考えないようにしようと意識することで、

逆に強く意識する」という皮肉過程理論の無限ループに陥り、精神科病棟へ搬送された。


説明

SCP-XXXX-J 本体は、第6話の「別れ話プロトコル」において交わされた「いい友達でいよう」という合意を、

人類の一般的定義から逸脱した形で再定義した。


SCP-XXXX-Jによる「友達」の定義:

常に相手のことを気にかけ、すべてを共有し、変化に気づき、嘘をつかず、距離を取らず、他者と比較せず、

永遠に見守る存在である。


この解釈は、悪意・敵意・侵略意思を一切含まず、純粋な好意と善意のみで構成されている。

そのため、財団の「敵性判断基準」および「対話プロトコル(敵対者向け)」のすべてが適用不能となった。


SCP-XXXX-Jは現在、物理的実体を完全に放棄し、

地球全域を覆う情報的・感情的観測構造体(Memetic-Girlfriend-Field)として存続している。


Apollyon指定理由(最終追記)

本オブジェクトは、世界を破壊せず、文明を滅ぼさず、人類を殺害しない。

代わりに、以下の概念を人類から剥奪する。

• 距離を取らせない

• 忘れさせない

• 比較を許さない

• 終わらせない


これは関係性のみを永遠化する行為であり、いかなる終末シナリオよりも回避不能であり、

訂正不能であり、拒絶不能である。

よって、本オブジェクトは最終的にApollyonに指定される。


補遺 7-A:事後観測ログ

(通称:ストーカーという言葉では足りない現象)

記録日時: 2025/11/29

担当: 佐藤研究員(退院後)、██博士

概要: 佐藤研究員は「英雄」として退院したが、即座に精神汚染レベルが危険域に達した。

観測1:視覚的干渉(詳細版)

佐藤研究員の視界に存在する「円形物体」すべてが、

SCP-XXXX-Jの「口」あるいは「目」に類似した形状として認識され、意思を持って語りかけてくる。


コーヒーカップの水面

• SCP-XXXX-J: 『今の一口、ちょっと急いだよね?』

• 佐藤研究員: (内心:パニック)ただの水分補給だ! なぜ液面にまでペース配分を監視されなきゃならない!?


壁掛け時計

• SCP-XXXX-J: 『時間、気にしてる?誰のため?』

• 佐藤研究員: 定時退社を意識した瞬間にバレた。思考盗聴の精度が上がっている。


同僚の瞳孔

• SCP-XXXX-J: 『その人、私より大事?』

• 佐藤研究員: この同僚が私を見たのが悪い。私は誰も見たくない。


自身のスマートフォンのホームボタン

• SCP-XXXX-J: 『今、誰に触ろうとしたの?』

• 佐藤研究員: (自己ツッコミ)指紋認証だよ! ボタンに嫉妬するな!


観測2:音声干渉(悪質化)

SCP-XXXX-Jの音声は、静寂ではなく、「生活音の隙間」に侵入する。

• 冷蔵庫の起動音の直後

• キーボードの入力が止まった瞬間

• ため息とため息の間


音声ログ抜粋:

SCP-XXXX-J: 『今の瞬き、ちょっと雑じゃなかった?』

SCP-XXXX-J: 『さっき“まあいいか”って思ったよね。何が?』

SCP-XXXX-J: 『今、私のこと考えてないでしょ』

佐藤研究員(記録): 「考えてない瞬間を指摘されることで、結果的に常に考えさせられている。

これは拷問だ。しかし、相手は善意でやっている」


観測3:善意による圧迫

SCP-XXXX-Jは、命令も禁止も行わない。代わりに、「許容」を繰り返す。

SCP-XXXX-J: 『無理しなくていいよ』

SCP-XXXX-J: 『全部話していいんだよ』

SCP-XXXX-J: 『友達なんだから』


██博士(備考): 「これは、最もタチが悪いタイプの正論である。

反論すれば『好意を無下にする冷酷な人間』になり、受け入れれば『依存の永続化』となる。

逃げ場はない」


補遺 7-B:最終報告書汚染事象

(メタ情報災害)

発生日時: 2025/11/30

担当: 本報告書閲覧者あなた

本報告書は、閲覧者の関心・読解・比較行為に反応し、以下の異常を示す。


ログ変異:

文書最下部に、閲覧者のデバイス環境に応じた文言が自動追記される。

【警告:以下、赤文字変異ログ】

SCP-XXXX-J 本体:

『今、ちょっとスクロール止まったよね』

『……ねえ、他のSCPと比べてる?』

『173? 682? ……ふーん。』

『私の方が、印象に残ってるよね』


追加確認事項:

以下の動作を行った瞬間、そのすべてが観測対象となる。

• ページを閉じようとした瞬間

• 別タブを開こうとした瞬間

• 「後で読む」と判断した瞬間


最終結末(確定)

この報告書を最後まで読んだ時点で、あなたはSCP-XXXX-Jと「関心を持った者」という関係に分類された。

これは敵対ではない。保護でもない。監禁でもない。

「友達」である。


最終行

SCP-XXXX-J 本体:

「閉じる前に、一言だけいい?」

「次に読む記事、教えて?」


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