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野球はスリーアウトから  アイスティーシーズン  作者:


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20/20

遊園地のバッティングセンター

 一昔ひとむかしまえわたしはアメリカを旅行りょこうした。さまざまな観光地かんこうちまわった。


 そのたび途中とちゅうで、ふとおもった。


本場ほんばのベースボールをてみよう)


 宿泊しゅくはくしているホテルにたのんで、チケットをってもらった。メジャーリーグの試合しあいだ。ホテルのちかくには、メジャーリーグのスタジアムがある。


 で、試合しあい当日とうじつだ。


 わたしはホテルを出発しゅっぱつした。試合しあいはじまるまで時間じかん以上いじょう


 スタジアムへまえに、ってみたい場所ばしょがある。アメリカの遊園地ゆうえんちはどんなものなのか、好奇心こうきしんがわいたのだ。


 いまでもおもう。あの好奇心こうきしん正解せいかいだった。


 わたし遊園地ゆうえんちたのしんだ。ジェットコースターにったり、メリーゴーランドにったり。


 ほかにも、いくつかのアトラクションをたのしんだ。


 ふとわれかえって、腕時計うでどけいる。


(あとひとたのしんだら、スタジアムへこう)


 スタジアムのなかまわりたい。アメリカの「球場きゅうじょうごはん」は、どんなものなのか。


 だから、遊園地ゆうえんちなかなにべなかったのだ。スタジアムにはどんなおみせがあるのか、たのしみたのしみ。


(さて、最後さいごひとつは、どのアトラクションにしようかな)


 遊園地ゆうえんち正面しょうめんゲートへかいながら、わたしかんがえる。


 すこすすんで、あしめた。


 さっきとおりかかったときも、ここはになっていた。


 アイスクリームさんのような、パステルカラーの外見がいけんをしているけれど、ここは「バッティングセンター」だとおもう。


 かべ一部いちぶ透明とうめいになっていて、なか様子ようすまるえだ。


 ピッチングマシンがだいある。マシンからんでくるのは、カラーボールだ。


 それをプラスチックのバットでつらしい。


 ピッチングマシンがならんでいる場所ばしょ、そのうえひろがっているかべには、いくつものドラムかんがあった。それらのドラムかんはどれも、うしろ半分はんぶんかべなかめこまれている。


 一人ひとりおとこったカラーボールが、ドラムかんひとつにはいった。


 そのおとこがいるバッティングボックスが、派手はで点滅てんめつする。


 ボックスにある電光でんこう掲示板けいじばん、その数字すうじえた。


 あれは点数てんすうのようだ。


(あとで、景品けいひん交換こうかんできるのかな?)


 わたしはバッティングセンターのまえで、なか様子ようすをしばらくながめる。


 バッティングボックスはすべてまっていた。


 バットをっているのは、おとこだけじゃない。おんなもいる。大人おとな姿すがたざっていた。


 バットのかたていておもう。


 野球やきゅう経験けいけんはばらばらのようだ。教科書きょうかしょどおりっぽいスイングもあれば、自己じこりゅうっぽいスイングもある。


 しかし、それがそのまま点数てんすう反映はんえいされるわけではないようだ。むちゃくちゃなかたなのに、ボールがドラムかんはいることもある。


 たとえば、ほら、あのちいさな。そのバッティングボックスがちょうど点滅てんめつしている。


 この場所ばしょにずっとっているのもなんだし、わたしはバッティングセンターのなかはいった。


 まだつとはめていない。見学けんがくだけになるかも。バッティングボックスはすべてまっているし、順番じゅんばんちも何人なんにんかいる。


 わたし店番みせばんをしている男性だんせいのところにかった。その男性だんせいのうしろにあるたなに、さまざまな景品けいひんならんでいる。


 ざっとたところ、ぬいぐるみやお菓子かしおおいようだ。


 でも、それだけじゃない。


 ほかに、メジャーリーグ球団きゅうだん公式こうしきグッズもある。この遊園地ゆうえんちちかくにある球団きゅうだんのやつだ。


 わたし景品けいひんていると、


「やっていくかい?」


 店番みせばん男性だんせいがにこにこしながらはなしかけてきた。かみしろいものがざっているけれど、そのからだはがっしりしている。


「みんなのヒーローになれるチャンスだぞ」


 なぞ発言はつげんわたしかんがえる。


 みんなのヒーロー? どういう意味いみだろう?


 店番みせばん男性だんせいが、はなれた場所ばしょゆびした。


 ほかのドラムかんよりもたか場所ばしょに、ひとつだけ金色きんいろのドラムかんがある。くろ文字もじで「HERO」とペイントされていた。


 そのドラムかんていて、わたしづく。


 いまバッティングボックスにいるおとこ一人ひとりが、あれをねらって打球だきゅうばしているのだ。


 で、わたしはじめてさんきゅうだ。


 おとこ打球だきゅうが、金色きんいろのドラムかんびこむ。お見事みごと


 つぎ瞬間しゅんかん、バッティングボックスが点滅てんめつした。あのおとこがいるボックスだけじゃない。すべてのバッティングボックスが点滅てんめつしている!?


 周囲しゅういから歓声かんせいがった。


 その歓声かんせいたいして、どやがおでガッツポーズをするおとこ


 なにきているのか、店番みせばん男性だんせい説明せつめいしてくれる。


 あの金色きんいろのドラムかんだれかがボールをれると、すべてのバッティングボックスで点数てんすう加算かさんされるそうだ。れた本人ほんにんうれしいし、ほかのみんなもうれしいサービス。


「ここだけのはなしだが」


 そのわりには結構けっこうおおきなこえで、店番みせばん男性だんせいう。


加算かさんする点数てんすうはこっそり調整ちょうせいしている」


 たくさんはいだなとおもったら、点数てんすうひくくするし、全然ぜんぜんはいらないだなとおもったら、点数てんすうたかくするらしい。


今回こんかいはどっちです?」


「ラッキーなほうだ」


 ヒーローになったおとこつづけとばかりに、ほかのバッティングボックスでも金色きんいろのドラムかんねらはじめた。


 次々(つぎつぎ)んでいく打球だきゅう


 しかし、金色きんいろのドラムかんにははいらない。


 店番みせばん男性だんせいがにこにこしながらう。


「あのドラムかんねらってれるのはむずかしいんだ」


 そうわれると、挑戦ちょうせんしてみたくなる。わたしもヒーローになってみたい。


 それに、日本にほんかえって「はなしたね」にするなら、わたし自身じしんがこのバッティングセンターを、実際じっさい体験たいけんしておかなければ。はなし真実味しんじつみがだいぶわってくる。


 できれば、「物的ぶってき証拠しょうこ」もしいところだ。


(そうだな・・・・・・)


 わたし好奇心こうきしんからいてみる。


 このバッティングセンターで、もっとたか景品けいひんはどれなのか?


 店番みせばん男性だんせいこえひくくする。


「『うらメニュー』もふくめて?」


ふくめて」


 とっさにそうこたえてしまったが、このバッティングセンターには、『うらメニュー』なんてものもあるのか。


 店番みせばん男性だんせいわたしかおをじっとてから、


「ここだけのはなしおれもとメジャーリーガーだ。成績せいせきはぼちぼちだったから、おれのことをらなくても、無理むりはない」


 これは冗談じょうだんっているのだろうか? わらうべき場面ばめん


 しかし、この男性だんせいからだはがっしりしている。本当ほんとうもとメジャーリーガーかもしれない。


 で、このバッティングセンターでもっとたか景品けいひんというのは、


おれのサインボールだ」


 必要ひつよう点数てんすうげてくる。


 たしかに、このバッティングセンターで一番いちばんのようだ。たなならんでいるほか景品けいひんとくらべて、だんトツにたかい。


「そっちのお菓子かしねらってみます」


謙虚けんきょわたし


 順番じゅんばんちの行列ぎょうれつならぼうとしたときちいさなおんな一人ひとり、バッティングボックスからてきた。


 店番みせばん男性だんせいのところまでいそあしでやってると、


「あのぬいぐるみ!」


 結構けっこうおおきなぬいぐるみをゆびした。


「あと、サインボールも」


 わたしはぎょっとする。


 おおきめのぬいぐるみに、サインボール。りょうりするには、かなりの点数てんすう必要ひつようなはずだが・・・・・・。


金色きんいろのドラムかんボーナス?)


 しかし、そうではなかった。


 サインをわったあとで、店番みせばん男性だんせいがこっそりおしえてくれる。


「このバッティングセンターを利用りようしてくれたどもには、ただでボールにサインをいてあげているんだ」


 そのあとに、こうつけくわえる。


「あんたは大人おとなだから、自力じりきでがんばってくれ。そので、小学生しょうがくせいってことはないだろ?」


小学生しょうがくせいじゃないけど、永遠えいえんじゅうななさいです」


 そんなジャパニーズジョークをかえわたし


大人おとなどもかでったら、ややどもりかもしれませんよ」


 しばらくのあいだ順番じゅんばんちをして、いざバッティングボックスにはいり、その結果けっか・・・・・・。


 もどってきたわたしたいして、


「えーと、たしかじゅうななさいだっけ? あとねんろくねんはやいたかったよ」


わたしもです」


 ちいさなお菓子かしゆびわたし


「これは特別とくべつサービスだ」


 お菓子かしのパッケージに、あお油性ゆせいペンでなにいている。


 これは、ひょっとして・・・・・・。


 わくわくしながら、お菓子かしわたし


 そのパッケージには、「Nice Batting!(ナイスバッティング!)」といてあった。


ご愛読ありがとうございました。

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