節約
姉が居間で、ノートパソコンを見ながら悩んでいる。
プロ野球の試合を見に行くかどうか。贔屓の球団が今、絶好調らしい。
姉が顔を上げて、私に話しかけてくる。
その試合は特別なイベントがあるそうで、チケットの値段がいつもよりも高めだとか。
「あと千円、いや、五百円安かったらなぁ~」
私は適当に相づちを返すと、その場を立ち去る。
こういうことは、姉一人で決めさせた方がいい。
で、三時間後だ。
まだ悩んでいる。
そこまで迷っているなら、チケットを買えばいいのに。
少し考えてから、私は自分のタブレット端末を取ってきた。
ある会社のホームページを姉に見せる。
「ん? 何これ? 宇宙旅行?」
そう。宇宙旅行の会社だ。ちょこっと宇宙に行って帰ってくるやつ。
「高っ! こんなにするの!」
単位は億だ。ゼロの数がゴージャス。庶民に媚びない値段設定だ。
「最初は、こういうものだよ。超お金持ち向け」
そして、にこにこしながら姉に言う。
「たぶん『タイムマシン』ができた時も、最初はこんな値段だと思うよ。あとで後悔して、『タイムマシン』でその試合を見に行こうと思っても、五百円や千円じゃ絶対に無理だね」
私は姉の前に千円札を一枚置くと、
「もしも試合を見に行くなら、これで『私へのおみやげ』をよろしく。おつりが出たら、自分の懐に入れていいから」
すると、姉は顔を輝かせて、
「わかった♪」
ノリノリで試合のチケットを買った。
次回は、野球場が大げんかするお話です。




