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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第九十五話

アンリとマスクウェルの結婚式は盛大に執り行われた。


周辺国からも多くの来客がありその対応が大変だったがこれも新国王と新王妃の役目だ。


自室に戻ってきたアンリは疲労を覚えぐったりとしている。


それを見てマスクウェルは心配そうな顔をする。


「疲れているなもう休むか?」


「いえ。この後、大事な話し合いがあるのでしょう?」


「そうだが・・・。無理をする必要はない」


この後は各国の首脳部との話し合いがもたれる予定だった。


アンリとしてはその席に同席するつもりだった。


「いえ。舐められたら終わりです」


アンリはそう言って気合を入れなおす。


「わかった・・・」


マスクウェルとしても初の首脳部との会談だ。


味方は1人でも多い方がいいのは確かだった。


各国との関係は1国を除き良好だ。


細かい調整は必要だが荒れるような展開にはならないだろう。


会議室に入ると各国の首脳部は全員が揃っていた。


王妃であるアンリが同席していることに最初は驚いたようだが顔には出さない。


流石に国を運営する者達だ。


一筋縄ではいきそうにない。


だが、予想とは違い会談は特に問題なく進行した。


輸出する農作物で少し揉めたが、それでも不自然なほどに何も起きなかった。


アンリは何となくその理由がわかった。


これはアンリ達と会う前に各国の首脳部ですり合わせをしていたのだろう。


少し揉めてみせたのはアンリ達の反応を見たかったのだろう。


失礼なことではあるが今後長く付き合っていけるのかそういう判断をする為の判断材料と言ったところだろう。


最終的に各国が納得する形で会談は終わり最後に握手を交わす。


アンリとマスクウェルは各国の首脳が退室するのを見送り最後まで会議室に残った。


2人きりになりマスクウェルはアンリに聞いてくる。


「アンリはどう思った?」


「明らかに試されていましたね」


「そうか・・・。アンリもそう感じたか」


どうやらマスクウェルも同じ考えだったようだ。


「新米の王に新米の王妃ですからね。これからも長い付き合いになるでしょうし、最低限の信頼は得られたかと」


「そうだな・・・。これから2人であの連中を見返してやろう」


「はい」


周辺国との関係は大切だ。


王国の財政は回復し軍備も整っている。


だが、周辺国が結託し全て襲ってくるようなことがあれば王国は滅ぶしかない。


そうならない為に外交があるのだ。


全ての要求を呑むことはできないがそれでも妥協できるラインとそうでないラインの見極めは重要だった。

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