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10.ギルドに行こう

ブクマ頂き有難う御座います!

 

 足音が聞こえなくなり、視線を感じて横を向けば3人の姿が目に映った。


 あーもう終わった----


「あら、ミンハったら甘えん坊ね」


「勇者様が困ってしまいますわよ?」


「もう出発しますぅ、皆馬車に乗るにゃん!」


「チっ」


 た、助かった----? ミンハなら大丈夫なのか。まあ幼女だし、変な事もないしな。


 良かった、すげぇ安心した。



 再び馬車に乗り込み進んで行くと、振動が丁度良い揺れで眠くなってきた。ツラツラと夢との境目を行き来し気持ちよく風を感じていたらグイッと横に引っ張られていきなり体勢が崩れる。



「ユーマ、約束した」


「あー」


 忘れてた、約束したんだったよな。それにしても今か---- ハア。


「とりあえず見せてくれるか?」


 ミンハは頷くと小さな掌を俺の前に出した。


「ステータス」


 お、出てきたな、しょうがない---- どれどれ----



 ==== ミンハ・シーベル ====


  LV   68

  HP  590

  MP  430


  必殺技  アースフレイム


   習得技   ロックボム

        ソウルフレイム

        レイン


  スキル   オールインクリース

        スポットガード

        ディフェンスブレイク

        サイレントパフォーマンス


   属性   火 土


 ==============================


 ------ 十分じゃねえか! オズには負けるけど、幼女なのに何でこんなレベル高いんだ? どんな修行をしてきたんだか---- オズやりすぎだろ。


 しかもサイレントパフォーマンスって無詠唱か?

 これは羨まし過ぎる。簡単な魔法なら俺も出来るけど、技になると無理なんだよな---- いーなー。どうやったらこのスキル手に入るんだろ。


「ミンハ、このサイレントパフォーマンスってどうやって取得したんだ?」


「最初からあった」


 えー、そんな事あるのかよ。欲しいなあ無詠唱スキル。



「ユーマ、ミンハ強くなる?」


「あ、あぁ。ミンハは凄いなあ。今でさえ良いスキル持ってるしレベルも高いもんな」


「へへ。ミンハもレベルカンストしたい」


「レベルのカンストかあ、70くらいから上らなくなるんだよなー。大きなモンスターが出てきたらミンハ1人で戦うか?」


「うん、ミンハ戦う。あとは?」


「そうだなあ。もう一つ必殺技を得るにはレベルが足りないし---- スキルを取得するのが良いかもな。ミンハはオズの様に戦いたいんだろ? スピードを上げるスキルか、攻撃力を高めるスキルが良いんじゃないか? 身体強化だけじゃ足りないだろ」


「---- 分かった。ユーマ教えて」


「約束したからな。洞窟が近くなったら教えてやるよ。人もいないだろうし安心だろ」


「分かった、ミンハ楽しみ」


「あら何やら楽しそうね、私も教えて欲しいわ」


「レーリアも?」


 2人もかあ、面倒くさいな。でもまあ1人も2人も変わらないか----


「レーリアなら防御スキルを取得するのが良いんじゃないか?」


「防御ですか? 必要でしょうか?」


「魔物と戦うってなったら1対1じゃ無くなるからな、今までの経験から1対5ぐらいの気持ちでいた方が良い」


「そうですか。それでしたら防御スキルを取得しましょうか。本当は攻撃を上げたかったんですけど仕方ないですね、夕間殿お願いします」


「分かった。皆でやろうか」


「嬉しい! ミンハ頑張りましょうね」


「フンっ」


 俺も皆の戦い方を確認したいし、パーティーとして連携を取る練習も出来るな。


 レーリアのフリーズフレイムってのが気になるんだよなー、ミンハのレインていうのがどんなのかも見てみたい。


「みんなー!! 街が見えてきたにゃん!」


 お、やっと着いたか。


 街に着いたらとりあえず冒険者ギルドにでも行くか。

 情報収集はしといて損はないけど---- ギルドかあ、いい思い出あんまりないんだよなあ。


 変な奴には絡まれるし馬鹿にしてくる奴も多いんだよな。見た目からして俺が勇者なのが気に入らないのか、戦いたいを挑んでくる奴もいた。


 俺からみたら脳筋みたいな奴らばっかで頭使えよって言いたいけど、絡むのが面倒くさいし時間が勿体ない。


 ナックル武器を見られた時なんかは凄え笑われたしなー。ああ憂鬱になってきた。


「夕間様、街に入りますが何処か行かれますか?」


「あー、どうしようかな。情報収集だけしようかなと思ってるんだけど」


「分かりましたわ。それならモンスターの素材も渡しておきたいですしギルドへ寄ってから宿に向かいましょう。サバンナには私から伝えます。ゆっくりしていて下さいね」


「あ、ああ。分かった」


 座ったまま幌馬車の後ろから景色を眺めていると、馬車が止まり男性の話し声が聞こえる。


 街の検問所に着いたようなので前を覗いてみれば、石造りの大きな壁が見え動き出すと街並みが見えてきた。


 ゲームのような街の様子は昔から何も変わらない、初めて見た時の事を思い出し少しだけ懐かしく感じてくる。検問所を過ぎて幌馬車を預けると、二手に別れて行動する事になった。


 何でも王女とバレるのが嫌なのかあまり騒がれたくないらしい。レーリアがフローラに付き添い宿へ先に向かうと言うので、俺はサバンナとミンハを連れて冒険者ギルドへと歩き出した。


「そういえば素材売るんだろ? サバンナはギルド登録ってしてあるのか?」


「まだしてないんですぅ。ミンハはしてるにゃん?」


「ミンハない」


 誰も持ってないのか---- 確か素材を売るなら登録しないと駄目だったよな? オズも登録してたし、折角だから作ってみるか。


「俺もないから、登録してみるわ」


「勇者様もないにゃん?」


「今まで必要なかったからな」


「ミンハ、作る」


「じゃあ折角だし皆で登録するか」



 街の中心にある噴水広場を抜けて右に曲がると、屋台やお店が並び活気に溢れている。行き交う人も多くいつもと変わらない様子に目を奪われながら歩いていけば、冒険者ギルドの看板が見えてきた。剣が交差するマークの旗は定番過ぎて笑えてくる。どの世界でも発想は変わらないもんだと思いながら入り口の前で旗を見上げた。


 目の前の西部劇さながらのウェスタンドアを開けて中に入ると、屈強な体格をした男やローブを被った魔法師などがチラホラと目に入ってくる。ゲームさながらの建物を歩きカウンターへ向かえば俺達の様子を見ていたであろう奴らがヒソヒソと何か話し始めた。


 あー、面倒くせえ。


 こういうのは時代が違っても何も変わらねえな。前にオズと来た時は何もなかったんだよなー、やっぱ見た目か。今は猫耳娘と幼女と俺だもんなあ。ハア---- 絡まれる前に早く出るか。


「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどうされましたか?」


「素材を売りにきたにゃん。ギルド登録と素材の鑑定をお願いするにゃん」


「分かりました。登録はお1人で宜しいですか?」


「んにゃあ、皆で登録するにゃん」


「3人ですね。それでは1人づつこちらに手を翳して頂けますか? カードを作成致します」


 おお、まるでアニメで見たような感じだな。それにしても石板に手を翳したらどうなるんだ?


 カウンターに大理石のような真っ白い石板が置かれていて、石板には魔法陣が描かれている。円の中には五芒星があり端々に文字があって青く光っていた。


 どうやってカードが作られるんだろう、早く見てみたい。


「分かったにゃん。私からやるにゃん」


 サバンナが石板の上に手を翳すと魔法陣が強く光りスキャナーのように上下に動きだした。魔法陣が元の位置に戻りサバンナの手に淡い銀色の光が集まってカードの形になっていく。


 不思議だよなー。カードって何の素材で出来てるんだ? 


「登録するお名前をカードに向かって言って頂けますか?」


「分かったにゃん。---- サバンナ」


 パァァと光が強くなると、石板の上にシルバーのカードが置かれていた。


 あれ? オズはゴールドだったよな? 何か違うのか?


「まあ、初めての登録でシルバーだなんて凄いです。 ええ! LV60ですか?! 若いのにお強いんですね。シルバーだと直ぐにランクの高いお仕事が受けれますよ」


「んにゃあ、それ程でも---- にゃにゃ」


「なあ、シルバーとか何か意味あるのか?」


「私としたことが! こほん。説明させて頂きますね。ギルドカードではレベル毎に色が変わります。LV1から20は青、LV21からLV40は白、LV41からLV60はシルバーとなっています。シルバーより上になりますと、LV60からLV80でゴールド、LV81以上だと黒になります。カードの色によって受けられる仕事が変わりますので、レベルが上がる毎にカードの更新を皆様にはお願いしています。サバンナさんはLV60なので、61になると色が変わりますからレベルが上がり次第更新をお願いしますね」


「にゃ、シルバーの方が良いにゃん----」


 なる程----- だからゴールドだったんだな。レベル毎にカードが変わるなんてシステムはあまり聞いたことがない、仕事を受けていってランクが上がる訳じゃないのか。


 俺のLVは90だから黒いカードか。


「ミンハ次やる」


 カウンターが高いのか背伸びして一生懸命手を伸ばしついる。ギリギリ届くミンハの手をスキャナーする様に魔法陣が動くと、今度は金色の光が集まりカードの形になっていく。


 なるほど、カードと同じ色の光が集まるんだな。どうしてレベルが分かるんだろう、分からない事だらけで見ていて面白い。


 ミンハが名前を言うと石板の上にゴールドのカードが置かれ、ミンハは嬉しそうな顔でカードを見ていた。


「お、お疲れ様でした。ゴールド---- LV68ぃ?! ミンハさんは一体おいくつなんですか?」


 お、それは俺も気になってた。聞くタイミング逃してたんだよなー。


 ミンハはカードが早く欲しいのか、カウンターに手を置いたままギルドのお姉さんが持つカードをじっと見ている。カードが中々貰えない事にふてくされて口を尖らせた。


「12」


 うわ、8くらいだと思ってた---- 幼く見えるな。


「おい、ゴールドだってよ」


「ああ? 本当にゴールドかよ? さっきはシルバーだったよな?」


「あんな見た目で強い訳ないだろ、嘘じゃねえか?」


 俺達にわざと聞こえるように言ってきてるのか、周りの奴らがさわがしくなってきた。声の感じからあまり良い雰囲気とはいえない。何事もないといいけど---- 嫌な予感がするな。早く終わらそう。


「俺も登録していいか?」


「12---- あ、申し訳ありません。では最後の方こちらへお願いします」


 俺は2人と同じ様に石板の上へ手を翳す。


 どんな風になるか見ていて分かってはいるものの、ドキドキが止まらない。間近で動く魔法陣をよくよく見ていると、いきなり途中で光が消えた。


 はっ? どうしたんだ壊れたのか?


 手を翳したまま石板を覗き込むと、急に白い光が発光しだし手を擦り抜けて上へと伸びていく。見上げると光の端に五芒星がクルクルと回っていて、徐々に俺の手まで光が下がってくる。


 ここで名前を言えばいいのか? 皆と違うしどうすれば良いんだ?


 チラッとギルドのお姉様を見たが、固まっているのか目を見開いたまま口を開かない。


 ま、いいか。物は試しだ。間違えてても別にいいだろう。


「夕間」


 丸くなった光が収まり黒いカードへと変化していく。チタンカードのように光を帯びた黒いカードは意外にも格好良く顔が綻ぶ。


「わ、私、ギルドマスターを呼んできます! ここでお待ち下さいー!」


 な、ギルドマスター?!


 あー、面倒くさくなりそうだな。早く出たかったのに時間がかかりそうだ。


「なあ、お前ら」


 低い声に嫌な気持ちで振り返えってみれば、大剣を背にした強面の大男が他の奴らを引き連れて立っている。


 大男の顔は真剣な表情で俺達を見ていたが、後ろにいる奴らはニヤついた顔をしていて何だか腹立たしい。


 群れないと何も出来ない奴の方が俺は嫌いだ。大男よりも後ろにいる奴らが気に食わない、言いたい事があるなら直接言ってこいよな。


「ここは詐欺とかしていい場所じゃねえ、お前らどうやってカードの色を偽装したんだ?」


「にゃにゃ?」


「とぼけてんじゃねえ。見るからに弱そうじゃねえか。しかも小さい奴がゴールド何てあり得ないし、お前もそんな細い体で黒いカード何てあり得ねえ」 


 ------ ハア。嫌な予感したんだよなあ。


 何でこいつらは見た目で判断するんだか。確かにミンハがゴールドっていうのが信じられないのは理解出来る。普通じゃねえしな、まあー俺も皆の事女だからって強いと思ってなかったし---- 悪い事したわ、もう見た目で判断するのやめよ。


「お前っ! 無視してるんじゃねー」


 大男の後ろにいた男が俺へと飛びかかってきた。


 拳を前に出してきたのを見て、上段受けで男の拳を払い逆の手に力を入れて男の胸へ背刀打ちをくらわす。


 俺の背刀打ちを受けて男は尻餅をつくと、直ぐにまた飛びかかろうとして来たので腰を捻り後ろ蹴りをする。男の顔に蹴りがあたり鼻血を吹き出しながら床に蹲った。


 全然大した事ない、身体強化もしてないのに弱すぎるだろ。よくそんなんで飛びかかってきたな。


「お前、調子こくんじゃねえぞ!」


 大男が顔を真っ赤にして凄い勢いで襲いかかって来る。


 はあ、やれやれだ。何でこうも絡んでくるんだか----


 大男の拳をしゃがんでかわしそのまま足払いをすれば簡単に倒れてくれたので、大男の脇腹を狙って溜めた拳を振り下ろした。


 大男からグエェっと変な声が聞こえてきたが、立ち上がられても面倒なので蹴りを入れてやろうと膝を上げると強い魔力を感じて後ろに下がる。


 魔力を感じる方へ体を動かしてみれば、体格の良いシルバーの髪したおっちゃんと先程のお姉さんが立っていた。


 おっちゃんの手は黄色い丸い渦の魔法が纏っていて、仁王立ちでこちらを威嚇するように睨らんでいる。


 ---- やべえ、何だあの魔法。見た事ねえ、あれがギルドマスターか? 殺気が怖すぎる。


「お前ら---- ギルド内での乱闘は禁止だ!」


 体格の良いおっちゃんが声を張り上げると、絡んできた奴らが一斉に逃げ出していなくなり、倒れた大男と俺達だけが取り残された。


 ---- やべえ。俺やり過ぎた?


 体格の良いおっちゃんと目を合わせたまま、俺は自分の残念さに嫌気がさして息を盛大に吐いた。






読んで頂き有難う御座います!


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