猫の耳、犬の耳、ロバの耳
兎の耳もいいよね。
エリちゃんと一緒に秘密基地の掃除をしてご飯を作る、ううむ、至福。
「エインちゃんこれでいいかなぁ?」
「ん・・・」
どうせこれはアルなんたらに食べさせるだけだしいいと思うよ。
そう思いつつすっかり怪我も癒えた居候の姿を横目でちらりと見る、傲岸不遜とはこのことよと言わんばかりに藁と皮でできたソファにその赤い髪を靡かせながら座っている。
死ねばいいのに、そう思いつつエリちゃんの作ったスープをアルに渡す。
「ん・・・」
「ふん、大分遅かったようだな」
「・・・」
「いや、それは食べるから置いてくださいお願いします」
「ん・・・」
「お前らはどうするのだ?」
「・・・?」
俺はエリちゃんと一緒に昼食です、どうした、欲しいのか?絶対挙げないけど。
アルが見ている前でバスケットの中のサンドイッチを頬張る、ふふふっ、どやぁ。
「がぶっ・・・」
「美味しい、エインちゃん?」
「ん・・・」
うまいっす、マジで。
「きさまぁ・・・」
「アルさんも食べますか?」
うまいなーこれも美味い、タマゴサンドだ、うまうま。
「いいのか?」
「アルさんだけ食べさせないのも酷いかなって思いまして」
肉入りが一番うまいよなぁ、ああ美味し美味し。
「ふ、ふん、よかろう・・・食べて欲しいというのなら食べてやらんこともない・・・」
あ、バスケットが空になった、もう少し食べたかったなぁ。
そう思っていると空のバスケットに手を伸ばして呆然としているアルとエリちゃんがいた。
「どう、した・・・の?」
「エェェイィィン!!」
「わふっ!?」
裏切られたとばかりに叫ぶアルに驚き変な声が出てしまう。
「エインちゃん、それは酷いと思うの」
その後散々二人に怒られて同時に魔獣がここにこないかどうかで戦々恐々してた俺の話でした。
忌まわしい昼食を食べ終わって、スープの味が何故かしょっぱかったが気のせいだと信じたい、とにかく昼食を食べ終わっていつもだったらひたすら武器の手入れをするエインを我が眺めるだけで一日が終わるのだが。
「ふふっ、エインちゃんは甘えん坊だよね」
エインは現在エリとか言う女の膝で寝ている、とても幸せそうだ、綺麗というより可愛いという表現がよく似合う。
「うにゅ・・・」
なんなんだろうかこの甘い空間は、一体全体どうしてこうなった。
「おい小娘」
「むぅ・・・なんですかアルさんうるさいですよ死んでください」
「エインが寝てたらお前口悪いな」
「獣人の血の匂いがする人族にかける言葉などありません、況してやエインちゃんを奪おうとしてる人になんて言葉どころか殺してもいいぐらいです」
だよな・・・これが獣人なのだ、獣人は人を弱い者とみなし、人は獣人を獣と同等とみなす。
「それをエインちゃんはどうして人族なんかを・・・」
「全くだ・・・」
この女は気に食わないが我もそこだけは同意しよう。
「「エインは変」」
二人が同時に同じことを言う。
「くすくす、取り敢えずエインちゃんのおかげで命拾いしてよかったですね?」
「全く、洒落にならんし詰まらんな」
いつでも動けるように剣の柄を手で触る、目の前の女は隙あらばこちらを殺そうという気満々だ。
「エインちゃんは渡しません」
「さぁどうかな?」
久しぶりの殺気に独特の興奮がやって来る、心臓が波打ち静寂が耳に痛くなる。
「少なくともあなたのような人族には・・・」
殺気が極限まで達し、女がその爪で我を切り裂こうと立ち上がる動作をする前に女の膝で丸まっていたエインが唐突に起き上がった。
「・・・にゅ?」
いつも眠そうな目をさらに眠そうにしてよく分かっていないが取り敢えず顔を拭こうと女の腹に顔を擦りつけるエインに女が感極まったように抱きついた。
「エインちゃんっ・・・」
「きゅっ・・・」
エインが女の腕を必死でタップしているが気づいていないのかそれともワザとなのかますます抱きしめる力を強くする女。
「く、はははは!」
馬鹿らしい・・・全くもって馬鹿らしい、獣人にも親娘、親友の情はあるものなのだな。
「全く・・・貴様らには負けるな、全く・・・」
駄目だ笑いが止まらん、エインも女も阿呆のように目を丸くしていたが滑稽よな。
早く血みどろの戦争が書きたいなー、でも始まらないなー、更新遅くてすいません