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闇と名付けられた“もの”
光に照らされ感情を揺らす空間の側で
闇が深くなってすべてのものを呑み込んでいる
何もない空間に見えるその闇の本質は
果てしなく孤独で
果てしなく無力なのだろう
それ以外の何を持つと言うのか
小さくならない光をみつめる
羨ましそうに物欲しそうに
そこだけにぬくもりがあるからではない
そこだけに団欒があるからではない
ただ闇であるというだけで冷遇される理不尽を
訴えるでもなく叫ぶでもなく
静かに耐えて受けているのだ
そう
光というだけで優遇され
光というだけで尊敬される苦しみが
決してないと言い切れるのかと
闇は想いをはせて耐えて受けているのだ
しかし人間の目には
闇は闇以上のものに見えることはない
見えないことを恐れ
知ることが出来ないことを悪と言う
そうすることしかできない
人間の愚かさに嘆くことはない
闇はひたすらに耐え
時を知らせ眠りを許す
人間が勝手に決めた掟の中
闇は静かに光の側で深くなってすべてのものを呑み込んでいる
そうすることしか孤独も無力も側にいることを忘れられない
2012/07/03