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ひかり
人工光は空を暗くする
ほのかな星光は見えない
ただ一点 月光は夜に大地を差す
日光が青空をつくるなら
月光は紺青の空をつくっているのだろうか
心が“ひかり”に惹かれてゆれる
月光は雲に隠れてまた見えない
星光もまた同じように見えなくて
人工光にあふれさせた部屋の中でため息をつく
心がゆらゆらと蝋燭の火のようにゆれる
求めてやまないわけじゃないのに
どこか寂しい
星光は人工光に負けて
月光は日光の鏡で
人工光は日光の代わりで
それなのに心は
人工光を厳しく見つめて
日光に目をつぶされそうに感じて
星光を自らに例えそうで
月光に何かを求めてる
“ひかり”は何も語らないのに
“ひかり”はあるだけなのに
私は“ひかり”に何かを望んでいる
優しさなのか
懐かしさなのか
安らぎなのか
わからないけれど
“ひかり”が生み出すこともしないのに
何かを生み出しているように感じてる
そしてその何かが自分にとって利であることを
なぜだかわからないけれど望んでいる
2012/05/01