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3-1話 あいつの歴史にまた1ページ

 

「あれ? そう言えばダーリンはなんで部屋の外にいたの? いつもならこの時間は出てこないのに??」

 

「えっ? あぁ、ちょっと用事があって、青蜜と結衣ちゃんを探しに来たんだ」

 

「そうなのね! まぁ理由がどうあれ、お昼にダーリンが部屋から出てくれて嬉しいわ!!」

 

 そう言ってルカは満面の笑み浮かべる。

 

 な、なんか凄い気を使われているな。 

 確かに最近は部屋に篭もりがちで、言わばニートみたいな生活してたもんな……いや、みたいって言うか完全にニートだったけど。

 

「なんか心配かけてたみたいだな。 ありがとうなルカ」

 

「べ、別にお礼を言われる事はしてないわ! ダーリンを心配するのは、か、彼女として当然でしょ? 

 そ、それより今はブルーちゃん達に大事な用があるんでしょ? 早く会いに行きましょう」

 

 ルカは顔を逸らし赤くなった耳をこちらに向ける。

 

「そ、そう言えばさ、ルカは青蜜達が何処で特訓してるか知ってるのか? 

 一人で特訓したいって事は二人とも別々の場所に行ったって事だろ? 何か心当たりとか無いかな?」


 そのあまりの可愛さに思わず抱きしめたくなってしまった俺は一先ず話題を変えることにした。


「うーん、正直言えば心当たりは全く無いわ。 

 ブルーちゃんも結衣も練習の最後にはいつも一人になりたがってたから、私も深く干渉しない様にしてたの。 ダーリンと同じで異世界から来てるってだけでそれなりのストレスを感じてるんだと思って」

 

「……そうなんだ」

 

 青蜜と結衣ちゃんも一人で色々考えてたりしてたんだな。

 そりゃそうだよな、慣れない異世界での生活だもん、辛いのは俺だけな筈ないよな……こんな簡単な事に今更気付くとは。

 

「じゃあ二人が帰って来るまでここで待とうか。 適当に探しても見つかる様な所には居ないだろうしな」

 

 あのおっさんのお城の癖にここはかなり広いし、それに一人になりたい時はそっとしておくのが一番だもんな。

 

「えっ? 探そうと思えば見つけるのは簡単よ? 私は探索魔法が得意なの、ブルーちゃんも結衣も珍しい魔法色だから直ぐにわかるわ!!」

 

 そう言うとルカは目を瞑り、小さく呟く。


「あっ、ルカさん? 別に無理に探さなくても良いよ? ほら、そんなに急いでなっ」

 

「見つけたわ! ここからだとブルーちゃんの方が近いわね。 行きましょうダーリン!!」

   

 はやっ!!


「えっ、あっ、ちょっ」

 

 目を開いたルカはそのまま俺の手を握って勢い良く走り始めた。

 

 いや、見つけるのも早かったけど、それよりルカの走る速度もかなり早いわ!!

 やばい、このままじゃ吐くかも……。

 

 

 

 

「はぁはぁ、ち、ちょっと待ってルカ!!」

 

 全速力で10分程度走った俺はもうこれ以上走れないと判断し大声でルカに叫ぶ。

 

「どうしたのダーリン? もうそろそろでブルーちゃんが居る所に着くわよ??」


「い、いや、その……」

 

 どうしよう、 ついさっきルカのペースに合わせるとか行ったっ手前、吐きそうだからゆっくり走ってくれなんて恥ずかしくて言えない。


 ってかマラソン舐めてたわ、こんなの絶対40キロも走れん! 死ぬ!! 

 

「も、もうそろそろで着くならここからは歩いて行かないか? ル、ルカに聞きたい事もあるんだ」

 

「聞きたい事? 何かしら??」

 

 そう言うとルカは掴んでいた手を離し俺に合わせて、隣で歩き始めた。

 

「えっーと、その……そうだ! さっき魔法色とか言ってたよな? それって何なんだ? 言葉通り色が見えるのか??」

 

「そうよ! 基本的に魔素は人の周りに集まるの。 そしてその人の持つ魔力と混ざり合い、その時に色が出るのわ!! それが魔法色よ」

 

 得意分野なのかルカは自信満々に答えた。

 

 よ、良かった、何とか会話を捻り出せたな。 こう言うのだけはこの世界に来て上手くなった気がするわ。

 後は体力が回復するまで会話を出来るだけ続けよう……また走り出された困るしな。

  

「な、なるほど。 つまりその色が青蜜と結衣ちゃんは珍しいから見つけやすいって事か??」

 

「うーん、厳密言えば探索魔法は少し違うんだけど、まぁわかりやすいからそれでも大丈夫ね!!」


「因みに珍しいって事はやっぱ良い事なのか?」 

 

「全然!! 魔法色に良いも悪いも無いもの、ただのイメージカラーみたいな物だわ!

 赤や青、緑とか大体その人が好きな色になる事が多い気がするわ。 まぁどっちにしろ気にしてる人はあんまり居ないわ」

 

 イメージカラーねぇ。

 なんかオーラの色って感じで珍しいって言われると嬉しい気分になりそうだけど、この世界の人にとってはあんまり興味はないんだな。

 

「ってあれ? それなら青蜜は別に珍しくないんじゃないか? あいつの事だ、どうせ青色だろ??」

 

 青大好きっ子だからな、あいつ。

 

「確かにブルーちゃんは青色なんだけど、他にも色が混じってるのよね。

 それが珍しいわ、普通は一色、もしくは二色なんだけどブルーちゃんは三色も混ざってるの。 

 青と赤、それから黒ね。 まぁ本人は青しか認めてないみたいな事言ってたけど、比率で言えば赤の方が多いのよね」

 

 そうなのか……ってかなんか申し訳ない情報を聞いた気分だな。 

 青の価値を高めるって口では言ってたけどやっぱ赤には負けてると心の中では思ってたみたいなのが透けて見えた気がする。

 まぁあくまでイメージカラーだからあんまり関係ないし、一様青蜜あかねって名前だし、赤も好きって言ってたから納得は出来るんだけど……それでもせめて青がメインであって欲しかったな。 

 ……黒があるのは何となくわかるけどね。

 

「じゃあ結衣ちゃんも三色なのか?」

 

「結衣も三色だけど、あの子は形も特殊なのよね。 基本的に魔法色は花びらみたいに辺りを舞うんだけど、結衣のは円形なの」

 

「へぇー! それはなんか格好良いな! 色のついた丸い玉が何個も浮かんでるんだろ? 流石に結衣ちゃんだけあって特別感あるな」

 

「何個もは浮かんでないわよ? 頭の上に二つだけあるの」

 

「そうなの? ちなみに何色なんだ?」

 

 まぁ二つだけでも格好良いか。


「メインの色は肌色ね」

 

 肌色かぁー、やっぱ優しい感じの色だな。 闇抱えてそうな色じゃなくて安心したわ。

 

「そして中心が薄いピンクかしら? 中心といっても殆ど肌色だから少しだけどね」

 

 ピンク! 可愛くて女の子らしいな!! ……あれ?? 肌色の球体で中心が薄いピンク?? 


 ……いやいや、流石にそんな訳ないよな。 俺が男だから変な方向に考えちゃってるだけだろう。

 

「後はピンクに囲まれた真ん中に赤みを少し帯びたっ」

 

「あっ、もう良いよ。 大体わかったから」

 

 真顔で話すルカの説明を俺は無理矢理に遮った。

 


 まさか魔法色までおっぱいになってるなんて……これならまだ闇を抱えてくれた方が良かったわ。 

 思春期の男の子でさえこんなにおっぱいの事考えてないと思うけど。

 

 ってか冷静に考えたら頭の上におっぱいの形の魔法色を晒してるって凄いな……そりゃ一人になりたい時もあるわ。


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