3-2話 あいつの歴史にまた1ページ
「でも、結局の所ダーリンの魔法色が一番珍しいわよ? 今まで見た事ないもの!!」
「えっ? お、俺にもあるの??」
ルカの一言に俺のテンションは一気に上がった。
絶対ないと思ってたから凄い嬉しいわ! しかも珍しいって!!
……俺、結構好きな色多いから、もしかして七色だったりするんじゃないか?? だとしたらめちゃくちゃ格好良いな!!
「なぁ、俺は何が珍しいんだ?? 色の種類か? それとも形か??」
「種類も形も珍しいわよ! だってダーリンの周りには透明な空間しかないんだもの!! これって本当に凄い事なのよ!! 形も色も透明なんて、ダーリンの心が綺麗な証拠だわ!!」
俺の興奮を上回る熱量でルカは目を輝かせながらそう言った。
……いや、それって透明なんじゃなくて存在しないって事なんじゃ。
まぁ俺って魔力もなければ魔素にも嫌われてるもんな。
それなのに魔法色だけあったらそっちの方が可笑しいよな。
「でも、そのせいでこの時代に来た時は苦労したわ。 私の探索魔法じゃダーリンを見つける事が出来ないんだもん。 だから私は決めたの……ダーリンから目を離さない様にしようって」
頬を赤ら目ながらルカは恥ずかしそうに下を向いた。
……まぁそのお陰でルカのこの反応を見れたって事で今回は良しとするか、めっちゃ可愛いし。
「さ、さぁ! 無駄話はもう終わり!! 着いたよダーリン! この部屋の中にブルーちゃんは居るわ!!」
少し歩いた後、照れ隠しなのかいつもより少しだけ大きな声を出してルカは目の前の部屋を指差した。
「えっ? あぁ、そうか。 もう着いたのか……」
どうしよう? 流れのままに来てしまったけどこのまま突撃して良いのか??
もし本当に落ち込んでたとしたら、一人で泣いてる可能性だってあるもんな……やっぱここは部屋の前で待つべきだよな。
「なぁ、ルカ。 あの青蜜が一人になりたいって言ってるんだし、このままこの場所で少し待っててみようと思うんだけっ」
「ブルーちゃん! ダーリンが用件があるみたいよ!!」
って全然聞いてないし! もう扉開けちゃってるし!!
「って、何やってのブルーちゃん??」
一足先に部屋の中を確認したルカが戸惑った顔をしていた為、俺も一緒になって部屋の中を覗き込んだ。
部屋の中は思ったよりも大きくその中心に青蜜はうずくまっていた。
あぁ、やっぱり泣いてたか……まぁ一人になりたい時なんてのは大抵泣きたい時だったりするもっ……ん? あれ? 青蜜なんか床に書いてない??
目を凝らして見ると青蜜の足元には巨大な魔法陣みたいなものが描かれていた。
ってか俺らの足元にも書いてあるじゃん。 えっ? もしかして一人になりたかった理由ってこれを書いてたの??
も、もしかして青蜜の奴……。
俺の額に嫌な汗が滲む。
この感じリアと初めて会った時に似てる気がする……俺達ご黒歴史を共有したあの時に。
願わくはこの自家製魔法陣が今日完成を迎える日でない事を俺は即座に神様に祈っ。
「ふぅー! ようやく完成したわ!! さてこれからが本番ね! な、なんだか凄い緊張しちゃう」
いや、ベストタイミングじゃねぇーか!!
俺達に気付いてないのか青蜜は独り言とは思えない声量で話すと、そのまま魔法陣の中心で立ち上がり目を瞑った。
……これ絶対止めた方が良いよな。 いや、今ならまだ間に合う、このまま扉を閉めて何も見なかった事にしよう!! うん、それが良いわ!!
「ルカ、なんか青蜜忙しいみたいだから一旦出て行かないか?」
「……ダーリン。 ごめんなさい、そんな訳には行かないわ。 もしかしたらブルーちゃん新しい魔法を作り出そうとしてかも知れない……いいえ、この雰囲気は間違いなくそうだわ。 だから私は絶対に見逃せないの!!」
「いや、絶対新しい魔法なんかじゃないから!! 俺にはわかるんだ! 青蜜のやりたい事が手の取るように!! 俺が魔法を使えたら多分やっちゃうやつだもん!!」
「………」
あっ、もう俺の声は聞こえていないのね。 目が本気だわ、青蜜の一挙一足を見逃さない研究者モードに入ってるわ。
目を見開いて食い入る様に青蜜を見つめているルカの姿に俺はもう止める事は不可能だと理解し、おそらくは精神統一でもしているであろう青蜜に俺は心の中で謝罪した。
こんな事なら号泣しててくれた方がマシだったかもな。
本当にごめんな、青蜜、お前の黒歴史また覗く事になりそうだわ。
……うん、別に俺だけでも目を逸らす事はできるんだけね……まぁでもここまできたら見るでしょ、後で殴られるのわかっててもちょっと気になるもん。
結局、俺自身も好奇心を抑える事は出来ずルカの隣で静かにその時を待つ事にした。




