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闘争2

通路を慌ただしく兵士が行き来し、外で労働をさせられていた捕虜は収容されていく。 

その中にバレないようスカル達は潜り込み、作業を手伝っているフリをし始めた。


「ちょっと、すみません」


スカルが指示を出している兵士の一人に話しかけると、苛立ち混じりの返事が返ってくる。


「ああ!?何だ!?」


兵士は現状に気を取られ、スカルの正体には注意が行かないようだった。


「建物が崩れそうですけど、捕虜はどうしましょう?」


「そんなもんほっとけ!」


「例の、重要人物もですか?」


スカルの言葉に、兵士ははっとする。


「いや…、そうか、メタル殿が言っていたな…。しかし…」


ぶつぶつと呟いていたが、スカルをちらりと見た。


「貴様、どこの所属だ?」


スカル達に緊張が走る。


「いや…どこのって…」


そう言いながらスカルは腰の銃に意識を向けた。

この中で発砲すれば、乱戦になるのは目に見えていた。


「…答えられんのか?」


訝しげな目を向ける兵士に、スカルは何も答えない。

ナイフと銃で応戦しようとした瞬間、スカルは強く肩を叩かれた。


「うんうん、"雑用隊"なんて名乗れんわな…。

 お互いヘマして飛ばされた身だものな、今のは少し意地が悪かった」


兵士は何度も頷き、スカルを慰め始めた。


「重要捕虜は2階の南だ。連行時は目隠しを忘れるなよ。

 手柄を立てて、はやく元の隊に戻れると良いな」


再び作業に戻った兵士に背を向けて、スカルは額から流れた汗を拭った。


「ずいぶんいい加減なところだな」


窓から差し込む日で方角を確認し、スカルはそう言った。

クラムがその言葉にうなずく。


「人質が王だとも知らされていないみたいですね。

 知ってたらあんな扱いにはならないはずです」


階段を登りさらに通路を走り抜けると、入り口にブロック兵が立っている部屋があった。

スカルは駆け寄ると、ブロック兵は銃を抜いた。


「止まれ、動くな」


「おい、撃つなよ」


スカルはそう言って両手を上げて、立ち止まった。


「ここは立入禁止だと通達してあるはずだ」


ブロック兵に対して、スカルは大げさに反応した。


「なあおい、今は非常事態だろ!俺たちは上司から指示されて、ここに来るよう言われたんだ。

 『中の重要捕虜を連れ出せ』ってな」


ブロック兵の様子を伺いながら、スカルは一歩前に進んだ。


「俺たちは雑用隊だ、言われたことをやってるだけなんだ」


スカルは両手を下げ、前に出す。


「頼むよ、これ以上何かヘマするのは嫌なんだ」


ブロック兵は呆れたように首を振り、スカルの顔を指さした。


「分かった。だが顔を見せろ。念の為だ」


「………了解した」


スカルはゆっくりと近づきながら、覆面を外し始めた。

素顔が出ると同時に、ナイフを抜きブロック兵の鳩尾に突き刺す。

プラスチックの割れる音がしたが、感触から核に直撃はしていないことをスカルは悟った。

ブロック兵が構えた銃口よりも体を低くして、突き刺さったナイフを足でさらに押し込む。


「ぐ…!!」


ブロック兵は空に向かってマシンガンを何発か撃つと、そのまま動かなくなった。


「今のは結構やばかったな」


クラムが倒れたブロック兵を確かめて、スカルを見た。


「防御してるって言ったでしょう。

 彼らは痛覚がほとんど無いから、生半可な攻撃だと反撃を食らいますよ」


スカルは覆面をかぶり直して、ナイフをブロック兵から引き抜き腰に挿した。


「結果オーライってことにしてくれよ。早いとこ王を連れて、装備を取り戻して、脱出だ」


スカルがそう言った瞬間、目の前の通路に巨大な穴が空いた。


体に切断された鉄格子をつけたまま、メタルが穴から這い上がってきた。


「やっぱりここに来るよね。本当に君たちはよくやる…。

 短時間で私達の弱点を研究しつくした」


軽い言葉とは裏腹に、怒りに燃えた目を3人に向けてメタルはそう言った。

3人は銃を構えていたが、それがあまり意味の無いことだと理解していた。


「神経を切断、使用した武器は刺したまま、おまけに念入りに首まで捻ってくれちゃって」


そう言って地面に唾を吐く。


「流石に超再生でも復帰に時間がかかったよ…でも間に合ったから良しとしよう」


3人は何度も発砲したが、メタルは弾丸全てを剣で弾いた。


「もう油断はしない。わざと当たってやったりだとか、そういうのも無しだよ」


メタルはそう言って斬りかかった。

先頭にいたスカルは身を翻してかわしたが、変形する刃に背中をざっくりと斬られる。

残りの二人も左右に飛び退き、発砲しながら距離をとる。


「銃なんか意味ないよ!!」


弾丸を再び弾き、左側のメルートに向かってナイフを投げる。


「くっ!!」


メルートが弾丸で軌道をそらしたことで、ナイフは本来刺さるはずだった首ではなく肩に刺さる。

それでも3人は怯むことなく射撃を続ける。

3方向に分かれたことで、弾ききれない弾丸がメタルの体に突き刺さる。


「こんなもの!」


メタルは持っていた剣を伸ばして、辺りを大きく薙ぎ払った。

スカルとメルートは飛び上がって斬撃を回避した。

ただ一人、クラムだけがそれに間に合わなかった。


「クラム!!」


綿の詰まった二本の足が、地面に転がった。

刃の回転の開始地点はクラムのすぐ横だった。

それでも体が両断されなかったのは奇跡と言える。

二人の怪我も決して浅くはない。

飛び上がったはいいものの、着地に失敗して動けない。

動けなくなったクラムにメタルは近寄って、剣を大きく振り上げ中心に狙いを定めた。


「まず一匹!」


そう言って剣を振り下ろしたメタルは、次の瞬間その場から消えていた。

通路の反対側にまで吹き飛ばされたメタルは、自身の空けた穴から登ってきた相手を見る。


「脱出した上に、ナンバーズと渡り合ってる…すげえぜ、お前ら」


血に塗れたシャツを着た、キリヒトがそこに立っていた。


「キリヒトがここにいる…ってことはステルスはやられたんだね」


メタルが立ち上がり、新たな剣を作り出してそう言った。


「おう。…スカル達のおかげでな。アレが無けりゃ負けてた」


そう言って、キリヒトは傷を押さえる3人に目を向けた。


「役に立って何よりだ、"隊長"」


邪魔にならないよう、スカルはクラムを担ぎその場から離れる。

離れたのを確認して、キリヒトは笑う。


「何が面白い?」


大きな剣を作り出したメタルはキリヒトの様子に腹を立てたようだった。


「いや……てめえとこの兵士はみんな逃げ始めたぜ」


キリヒトは窓の外に視線を向けた。


「はっ、何を言うかと思えば」


今度はメタルが馬鹿にしたように笑った。


「無能力者の助けなど初めから期待していないし、あっても無駄なだけだ」


キリヒトはメタルに視線を戻し、走り始めた。


「…その考えが、俺の間違いだったし…」


メタルは剣を振りかぶって、キリヒトを迎撃する。


「てめえらの敗因なんだよ」


横向きに繰り出された剣の刃をキリヒトは受け止めた。


「私の能力を忘れたのかな!」


「いいや、忘れてねえさ」


伸びてきた刃と回転鋸がぶつかり激しく火花が散る。

刃が隙間に入り込む前に、すばやく腕をもとに戻す。

体の数カ所を切られながら、キリヒトは一気に距離を詰めた。


「何を…!!」


体から刃を出そうとするが、それよりすばやくキリヒトは耳元で吠えた。

周囲に被害が出ないように威力を加減したとはいえ、メタルを行動不能にするのには十分だった。

地面に仰向けに倒れたメタルは、歪んだ視界に映ったものに目を見開いた。


「無能力者が何だって?」


キリヒトの後ろから顔を出したスカルは、メタルのナイフを彼女自身に突き刺した。

さらに刺したナイフを足でふみ、骨を貫通させた。


「私のナイフで…!!」


同時にキリヒトは、メタルの心臓を抜き取り離れる。

さらに間髪入れず、メルートがメタルの上に大量の手榴弾を乗せた。


「動かな…腱を貫いて…!!」


メタルの目に、初めて恐怖の色が浮かんだ。


「クラム!頼む!」


スカルの叫び声と同時に、メルートとスカルの腰につけられたワイヤーが巻き取られた。

同時に二人はキリヒトを掴み、そのまま元々3人が戦っていた場所まで一気に引き戻した。

二人は上手く着地したが、キリヒトだけひっくり返る。

ゆっくりとスカルは立ち上がり、服のポケットを探る。


「…ふう」


スカルは通路に背を向けて、煙草に火をつけた。


「私が!!こんな無能力者共に!!死にたくな」


「あー、これは俺の嫌いな銘柄だ」


スカルが叫び声を無視して、煙草を捨てると同時に、大爆発が起こった。


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