072 おにぎり に ついて
それが何かと聞かれたら、「お米を握って三角などの形にしたもの」と答える。しかし、これは変な話だとは思わないか? 「おにぎり」という名前は、米のことなど一切触れていないのだ。言葉を分解すると、「お」と「にぎり」となると思うのだが、これは丁寧語の「お」と動詞の「握る」・連用形からできた言葉だろうか? だとすれば、ほら、米については何も書かれていない。「握る」という動詞から少し考えを飛躍させると、思いつきそうではあるけれども(にぎり→握る→飯を握る→おにぎり)。だが、それにしたって米のことを直接的に表現した感じではないように思う。
何故「おにぎり」なのか、私は考えた。私たちが、「おにぎり」という言葉を「お米を握って三角などの形にしたもの」の意味で使うようになったのは、恐らく稲作が原因だろう。というのは、まだ何事も栄えていなかった時代、稲作が生活の中で重要な位置にあって、「握る」という動詞がそんなに多くの物に適用されておらず、米を握る食べ物(あるいは食べ方)を「おにぎり」と呼んだのではなかろうか。そしてその呼び方が今日に至るまで受け継がれてきた、というわけだ。
大事な食糧だから「お」を付けて、握ったものだから「握り」とする。二つを合わせて「お握り」。あながち間違えではないと思うのだが、どうだろう。勿論、納得できない部分もあるだろうから、これが正解などという気も無い。ただ適当に考えて適当にその考えを披露しているだけだ。「「握り」という言葉が使われ始めたのはいつ頃なのか」とか、「他の食材に対しても「握る」という動詞は使われていたのではないか」とか、粗さがしをすればいくらでも見つかることだろう。
だから、憶測で語るだけでなく、語源も調べてみることにした。日本おにぎり協会によると、「「おにぎり」は「にぎりめし」の転じたものと言われている」らしい。めしを握るから「にぎりめし」とは、また安直だが分かりやすい。ちなみに辞書で「おにぎり」を調べると、「「握り飯」の女性語」(『新明解国語辞典』)とあった。つまり男性語が「握り飯」であるということか。
しかし、「おにぎり」に関していえば、現在ではそんなに女性語男性語の区別は無く、「にぎりめし」ではなく「おにぎり」ということの方が多いと思う。コンビニやスーパーの商品名に、「おにぎり」という言葉が使われていることからも分かるように、「にぎりめし」よりかは「おにぎり」の方が一般的なようだ。まぁ、店によっては「おむすび」のものもあるが…。
「おむすび」は、「神の力を授かるために米を、山型(神の形)にかたどって食べたもの」と日本おにぎり協会は言っている。それに関して、おにぎり倶楽部は、神様の名前を参考にしてより細かく書いていた。曰く、二柱の神(「高御産巣日神」、「神産巣日神」)が天地分かれて初めて現れたことがおむすびの由来、その一説として考えられる、と。本当は、天と地が分かれた時に「天之御中主神」という神も現れたのだが、ここでは置いておく。
二柱の神の名前に注目すると、「産巣日」という言葉が両方に使われていることが分かる。この言葉は、天地万物を生み出す神霊、またはその霊妙な力を意味するらしい。それで、「当時の日本人は山を神格化して、その神の力を授かるために米を山型(神の形)に象って食べた・・・それが「おむすび」の始まりだそうです。」とおにぎり倶楽部にはあった。一地方的な考え方がその地域でのみ広がったのか、それとも同時発生的に様々な場所で広がっていったのかは分からない。けれども、力を求めるのは人の欲だろうから、ありえないことではないと思う。
「おにぎり」の形が比較的自由であるのに対し、「おむすび」はその名称から三角形でないといけないらしい。形にこだわると言うのなら「おむすび」を使うべきということか。私は別にこだわらないので「おにぎり」を使うけれども。神の力を授かりたいとは思わないし、三角にしただけで力が得られるとも思えないし。それだったら、他の食材でも三角にしたら力が得られるのかとか疑問が湧いてくるし…。
結局、断言できるような証拠は提示できないけれど、以上のような話がおにぎりにはあるのだ。しかし、初めの疑問に戻るのだが、「おにぎり」は米のことに触れずに間接的に表現している。これなら、途中で挙げた「にぎりめしから転じた説」や「神様の力が欲しいおむすび説」の方が説得力があるような気がする。果たして、真相はどんなものなのか。
参考サイト
・日本おにぎり協会 >おにぎりの雑学>おにぎりの歴史
http://www.onigi-re.com/knowledge/history/
・おにぎり倶楽部 >おにぎりの呼称
http://www.o29riclub.com/knowledge/name.html




