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私的徒然草  作者: 半信半疑
117/117

117 はじめ に ついて

 2000字越えてますけど、引用部分があるので多めに見てください。

「はじめまして」というのは、今まで会ったことのない人に対して言う挨拶だ。これからよろしく、という想いも込められている。単に慣習として言っているだけの場合もある。


「はじめ」という言葉を出した時、対応する漢字として思い出されるのは二つ。それは、「初」と「始」だ。勿論、他にも当てはまる漢字はあるけれど、大抵の人はこの二つを思い出すことだろう。小学生の頃に習ってから、幾度も書く字ではあるけれど、成り立ちを良く知らないままに使っている人もいるのではないだろうか? かく言う私もその一人。ここはひとつ、調べてみることにしよう。出典は『新漢語林』だ。



◯初

<字義>

 ➀はじめ。

  ア)はじまり。おこり。

  イ)むかし。

  ウ)もと。根本。

 ②はつ。うい。はじめの。最初の。

 ➂はじめて。やっと。…したばかり。

 ➃はじめる。そめる。

 ⑤陰暦で、月の一日から十日までの日付をあらわす。「初一」「初九」

(国)➀そめ。はじめ。「書き初め」

   ②うぶ。

    ア)ういういしいこと。世間なれしていないこと。「初な娘」

    イ)はじめ。最初。「初着」

   ➂うい。名詞の上につけて、はじめての意を表す。「初孫」

<解字>

 会意。衣+刀。衣は、ころもの意味。刀(刃物)で衣服を裁断する意味から、それが衣服を作る手はじめであるため、転じて、はじめの意味を表す。


◯始

<字義>

 ➀はじめ。はじまり。

  ア)もと。おこり。起源。

  イ)以前。最初。

 ②はじめる。はじまる。新しくおこす。「開始」

 ➂はじめに。はじめて。新たに。また、やっと。 

<解字>

 形声。女+台(音)。音符の台は、農具のすきの象形で、大地を掘りおこしてやわらかにするの意味。子供から思春期を迎え、女性らしいやわらかさを迎えた、はじめの意味を表す。



 それぞれの成り立ちをみてみると、二つの漢字が全く違うものであることがお分かりいただけただろうか(謎低音ヴォイス)?

 かたや衣と刃物、かたや女と農具のすき。両方をごっちゃにしてしまい、間違った使い方をしている例も見かけるけれど、二つは別物なのだ。「始」の部分に使い分けの説明が記載されていたので、そちらも書いておく。



<使い分け>

〔始〕継続する事柄の出発点。第一回。「仕事始め」

〔初〕ある期間や時間の最初の部分。「咲き初め・年の初め」


 なお、動詞「はじめる・はじまる」は〔始〕、副詞〔はじめて〕は〔初〕を用いる。



 野球やサッカーなどの試合が行なわれる時、「試合、開始!」などと言い、解説の人が「さぁ、いよいよはじまりました」と続ける。使い分けを考慮するなら、この時の「はじまりました」は「始」を使うべきだろう。

 このエッセイの初めに、「はじめまして」の例を挙げた。あれは、会った人と過ごす時間の最初の部分のことを言うので、「初」を当てはめる方が自然だ。強引に考えるなら、その人との付き合いの出発点とも言えるかもしれない。そうしたら「始」でも良いのだろうか? けれども、「初対面」とも言うし、やはり「初」の方が良いか。


「初めて」というのは、日常の色々な場面に転がっている。すでに大人の方々はあまり初めての出来事がないのかもしれないけれど、逆に言えば、子どもには初めての出来事が盛りだくさんということか。


 有名な曲に、「はじめてのチュウ」というものがある。


「I will give you all my love」


のアレだ。恥ずかしながら、私はまだチュウというものを体験したことがない。青春は折木君以上に灰色だったので(というか折木君の青春は灰色なんかじゃないけれど)、記憶の彼方に押しやられている。ネズミなら見たことあるけれど(家でも、夢の国でも、岡田さんも)。どうでもいいことだけれど、「チュウ」って子どもっぽい言い方だ。でも、「接吻」なんて使ったことない。「キス」はよく聞くね。有名な言葉にあるように、やはりレモンの味がするんだろうか……。わたし、気になります!


 話が脱線したので、「はじめ」に戻ろう。

 そういえば、漢字を調べている時に、難読漢字の欄を見たのだけれど、中々面白いものがあった。クイズとして一例を出すので、読者の皆さんは読み方を考えてみてほしい。



<クイズ>

➀初心娘

②初切

➂初中終











 正解はこちら。

➀おぼこ

②しょっきり

➂しょっちゅう


「おぼこ」は別の当て字があるけれど、あっちは生々しいので、私としては「初心娘」の方が好き。

「初切」は花相撲、地方巡業などで取組に入る前に行われる三番勝負の余興相撲のこと。明治ごろから滑稽(こっけい)に演じる余興となったらしい。記憶の片隅にお相撲さんがひょうきんな動きをしていた映像を見たような気がする。あれは面白そうだったな……。

「初中終」は、「いつも」という意味。それこそ、しょっちゅう使っているような気がしないでもない。でも、漢字は初めて知った。中々洒落ているなと私は思う。


 小学校で習う漢字でも、意外と知らないことがいっぱいあって驚いた。小学生だと、基本ばかりに手一杯で応用の部分に目を向けることができないかもしれない。けれど、こういった言葉の繋がりを広げていった方が、漢字の習得に近づくのではないかと思う。まぁ、でも、小学生は漢字の書き取りに苦手意識を持っている子が多いから、中々難しいか。罰としての漢字の書き取りが無くなれば、少しはマシになるのかもしれない。


 あなたはどう思います?


・折木君

→おれきほうたろう。小説『氷菓』の主人公。

・わたし、気になります

→大天使チタンダエルの口癖。

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