表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第2章 ナルーガ王国の異変
31/52

二十八話 大虐転

久々の投稿で申し訳ありません。

「……ジャマだ。退けよ」


  激しい金属音と共に、火花がらとナルーガの前で弾けた。その、聴こえるはずのない音を、ナルーガは聴いた。

  殺される事を覚悟して、目をつむっていたナルーガにとって、その音は、安心の音というよりは、意味が分からない音だった。その音が聴こえた、という事は、誰かがナルーガを助けたということだ。しかし、助けるような人物はいない。ナビどらごんは死んだ。サクラは眠っている。パイスも気絶している。

  ーーなら、一体誰が、僕を……?

  それを確かめるために、ナルーガはゆっくりと目を開いた。まず目に映ったのは、鎌と剣が、目の前でぶつかり合って震えている光景。

  そして、次に映った光景は……。


  赤黒いローブに身を包み、剣を両手で持ち、ナルーガに迫り来る大鎌を防いでいる青年の姿。

  ーーこの人は……洞窟で倒れていた……確か……


  紛れもない、左目があったところ(、、、、、、、、、)に眼帯をはめた、召喚士……


「いい加減、退けっての!」


  ーー……ス、バル、さん?


  鎌を押し切り、体勢を崩したバクーンの胸に、剣を深く突き刺す。出血はしない。やった手応えもない。スバルは剣をバクーンに突き刺したまま、剣を離し、ナルーガを右手で抱えて後方に跳ぶ。

  そこには、サクラも眠っている。隣にゆっくりとナルーガを下ろし、ナルーガは岩にもたれかかる。

「もう大丈夫だ」

「……あなたは」

  と言いかけてナルーガは、意識が薄れていくのを感じる。このままでは……眠れない。

「……いや、これだけ言っておきます。……サクラさんを、絶対に守ってください。奴らの狙いは、サクラさんです」

  ナルーガは分かっていたのだ。戦いの最中、バクーンはずっとサクラを見ていた事を。戦っていて分かっていたのだ。

「……そうか。分かった」

 息を深く吸い込んで、軽くフッと吐き出し、告げた。

「頼み……ますよ」

  ナルーガは、スバルに向かって右手を伸ばす。

「任せろ」

  それに答えるように、スバルはその手をぎゅっと握りしめた。

  その言葉を残して、ナルーガは目をつむり、欲に身を任せた。


 ☆☆☆


「さてと。……ナビどらごん……」

  振り返ってスバルはバクーンを、これまでにないようなおそろしい形相で睨んだ。その先の、八つ裂きにされたナビどらごんが、目に入ってしまい虚しくなる。

  スバルとナビどらごん、なんやかんやで長い間、共に旅をしてきた仲間だ。

 名残惜しいのも無理はない。

  だが、このまま別れるわけにはいかない。

「……アレを、やるしかないな」

  スバルのすぐ右の空中に、緑色の魔法陣が浮き出る。その中に剣をいれ、そして杖を取り出した。

「強引だが、ナビどらごんを生き返らせる(、、、、、、)には、これしか無いな』

  杖を天に掲げ、スバルは目を瞑る。

「そういやこの能力、ナビどらにも明かして無かったっけな」

  記憶を探る。ひたすら探る。

  ここに来て。……ここに召喚されて(、、、、、、、、)、四人で共に冒険した日々を、思い出す。

  まず、ファフニール。

  次に、レヴィアタン。

  それから、イフリート。

  あとは、ヒドラ。

  そして……。


「闇夜にうごめく一匹の竜よ。

  黒い身体を持ちし、世界の核よ。

  汝、稲妻をかき分け、我の元へ降り立ち、我に従え。

  蘇れ。ナビどらごんを借りて」


  大地が揺らぎ、雷鳴が轟く。杖の先端の水晶が紫色に光り、激しく光を放つ。

  突然、まるで、嵐の雲に飲まれたかのように、激しく雷が落ち、轟音を立て、大地が、まともに立っていられないくらい激しく揺れる。

  バクーンは異変を感じ、小さく跳び、空中に留まり、スバルを警戒の目で見る。

「知ってるか、お前ら。これはな、死者を復活させるものだ。ただ、ちょっと方法が無理やりでな。できればあんまり使いたくなかった」

  散らばっていたナビどらごんの肉片が、紫色の光に包まれ、空中に浮く。

「固まれ」

  スバルが言うと、その光は、ある一つの場所に吸い寄せられるように集まり、空中でくっつく。くっついた光は、一つの塊になり、次の瞬間、限界までつがえた矢でも打ち出すかのように、超高速で天へと向かい、雲に消えていった。


「今だッ! ……宿れ! バハムゥゥトォォォォォッ!」


  雲の上で、紫色の光の塊が、一気に弾ける。その光度は、雲の上だというのに、地上にいる者が目を瞑るくらい眩しい。目の前でそれが光ったら、おそらく失明してしまうくらいの激しい光。

  スバルの倒した竜の中では、もっとも強かったと感じられる竜。バハムート。

  四人で挑み、やっとの事で倒した思い出が、スバルの脳裏に染み付いていた。

  ーー強かったなぁ。あれは。竜皇なんて呼んでたっけなぁ。

  その竜皇を、記憶の中にいる、竜皇の魂を、ナビどらごんの身体を代わりに召喚させた。


  結論から言うと、この魔法は、死者(ナビどらごん)の肉体に、かつて倒した、または倒された(バハムート)の魂を宿す事で、死者(ナビどらごん)を復活させることができる魔法である。しかし、その代償として、ナビどらごんは不死の力を与えられ、そして永遠にバハムートを身体に閉じ込めて生きていく事になる。

  ので、使いたくなかった。できれば、そんな事はしたくなかった。バハムートを永遠に封じ込めて、死ぬことのないまま生きていく。だったら安らかに眠ってもらったほうがマシだった。

  しかし、この現状を打開するには、これしか方法が無かったと言える。スバルは助けには来たものの、バクーンがいることは全く予想していなかった。即ち、この魔法を使うことになるとは夢にも思わなかった。

  この現状を打開しなければ、ここにいる皆が、ナビどらごんと同じ末路をたどってしまう。ので、仕方なくこの、どうしても使いたくない魔法を使ってしまった。

  実のところ、この魔法を使いたくなかった理由は、ナビどらごんが、永遠に不死の力に苛まれながら生きていく事に同情することより、もっと重大な別の理由があった。

  それは……


「俺は、お前に賭けた! お前がバハムートを身体の中に止めてくれることを! だから、お前がその(バハムート)を抑制しきれなくて、不死のバハムートになっちまったら! 俺が! お前を殺す!」


  ーー心得た。


  空から突然、小さい隕石が、バクーン達に向かって超高速で落ちてくる。

  その速さは、バクーン達でさえ気づかないほどのとてつもない速さだ。……ので、ちょうど一匹のバクーンの頭部に落ち、次の瞬間、頭が四方八方に弾け飛んだ。

  それに数秒遅れて気がついた、もう一方のバクーンは、命の危険を感じ、音速でその場を離れ、着地する。

  隕石が落下した地面には穴が開き、もくもくと白い煙が上がっている。

「ソンナバカナ! ングッ……」

  バクーンが、とてつもなく低く、ガラガラの声で言葉を発した。

「んだよお前、喋れたのか。……じゃあ吐け、お前らは何が目的だ?」

「……クッ! シャベッテシマッタコトハシッタイダッタガ、マァイイ、コロセバイイダケノハナシダ」

「んな事できんのかよ。ここには? バハムートがいるのに?」

  そう言ってスバルは穴を見る。……そこから、小さいドラゴンのような影が穴から這い上がってくる様子が見える。

「調子はどうだ? バハムート」

「…………手荒なものじゃな。このバハムートをこんなちっぽけな身体に住まわせるとは……。まぁ、この身体にはせんが、あやつらを倒すことくらいはできるな」

  穴から、初老の男のような声が辺りに響く。その声に、バクーンは鎌を構える。

「まぁまぁ、そう怖気づいて、鎌を構えんとも、カマ(、、)かま(、、)えんとも……」

「さっさとやれ」

「……はい」

  穴から、黒い影が翼を広げ、羽ばたき、白い煙から姿を表す。その姿は……。

「ムゥ!!」

  ナビどらごんである。……力を入れる声と共に、小さくて可愛いらしい右腕を振りかぶり……突如、その腕がドブゥ! という音と共に、黒い鱗が、艶やかに光る、太く刺々しい、巨大なバハムートの腕へと、脱皮するように変化を遂げた。……ナビどらごんのものとは思えない、その腕が、そのまま、バクーンへと振られるが、それを鎌で受け止める。

  金属が鱗と触れ、カキイイィン! という音が響く。……とてつもなく硬い、

 バハムートの鱗は、|バクーン程度の力では制することができない《、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、》。

「おや、鎌(、)で受け止めたということは、構(、)って欲しいのじゃな?」

「サラマンダーはあったかいな」

「アオォ(さむい)」

  それからは、バハムートの攻撃の嵐が続く。バクーンは防戦一方、なす術なし。高速の、刃と腕のぶつかり合い。

  ナビどらごんが腕を振ったかと思うと、またすぐ腕を振って……このとてつもないスピードの闘いは、この二匹だからなし得た事である。

「ほれほれ、若いの、しっかりせい。わしゃ眠いぞ」

「……ッ! ナメヤガッテ!」

  「あらぁ!」

  ナビどらごんが放った一撃が、バクーンを吹き飛ばす。

  バクーンは、ちょっと先の岩に叩きつけられ、跳ね、転げまわる。

()よ。こんなやつに苦戦していたのか?」

  余裕の表情で、膨らんだ腕を回すナビどらごん。兼、バハムート。だが……

「甘く見んな、そいつ、傷ひとつついてねえだろ」

「ん? ……おぉ、確かに、やるのぅ、あやつ」

  それもそのはず。先程、スバルがナルーガを助け出した時、バクーンの胸部に剣を刺したのだが、苦しんだ様子も見せず、一滴たりとも血を流さなかった。

  このくらいで傷がつくはずないのだ。

「しかし、さっきわしがあやつの頭に猛突進したときには、ちゃんとダメージがはいったぞ」

  言われてスバルは顎に手を当てる。ーーもしかして、あいつの弱点にしか攻撃が効かない? だとしたら、あた……

「バハムート! 頭をねら……」

  指示を告げる前に小さな身体は動いた。鎌を取ろうとしていたバクーンの頭を鷲掴みにし、持ち上げ、叩きつける。砂埃が舞い、石飛礫が飛ぶ。バクーンはまだ死なない。

「頑丈な身体じゃの! この!」

  ナビどらごんは、巨大化した腕に力をこめ、頭を強く握りしめた。……スバルはそれを見て、目をつむった。直後、何かが破裂するような音と共に、バクーンの全てが終わった。

第三章の大まかなプロットは立てたんで、今度は行き詰まらないかなと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ