八話 ナルーガ王国大事件!
「はーい、これにてあなたも本当の本当に冒険者でーす。」
私は、受付嬢から差し出される冒険者証明書を受け取りながら、ひとりで緊張していた。
この証明書を受け取った瞬間。私は冒険者になるのだ。
緊張しつつも、右手で証明書を受け取る。
刹那、右手から身体中にパワーがみなぎってくるような感じがした。
華奢な手が、少しだけ筋肉がついて太くなる。
身長も少し伸びたような気がする。
なるほど、これが剣士のパワーというものだな。
「ありがとうございました。」
私は、証明書を人差し指と親指でつまみ、席を立って外に出る。
そこには、スバルとナビーちゃんが待っていた。
「おかえり!冒険者さん!」
スバルがニヤリとして私を見て言った。
そうだな。この世界にサクラと言う冒険者が誕生した。
もう私は、普通の女の子ではない。女剣士だ。
「ただいま!先輩!」
私もニコリと笑い、言った。
「それじゃあ、武器を選びに行くナビ!」
うん。冒険者たるもの、魔物と戦うので武器が必要だ。
剣士だから、剣を使う。当たり前だけど。
私も、剣士のガイドブック見てきたから剣には知っていることがある。
片手剣、両手剣、大剣、双剣、刀、太刀。たくさんあるけど、なにを使おうかなぁ。
「それじゃあ、武器屋に行くナビ!」
ナビーちゃんの後ろ姿を追いながら武器屋へ向かった。
☆☆☆
武器屋に着いた。
やはり、王国だけあって武器屋はかなり大きかった。
多彩な武器が売っていて、もう見るだけでも十分楽しい。
「剣類はここナビ。」
ナビーちゃんに案内されて、ここまで来た。けど、店の看板に「ペット入店禁止!」と、大きく書かれていたので、大丈夫なのだろうか。
とはいえ、案内役がいないと困ってしまうので、看板に書かれていることは無理やりにでも忘れてしまおう。
見ると、いろいろな刃物が並んでいる。
ただの鉄刀もあれば、魔物の骨を削って作ったものや、氷で作ったものもある。
すごい。ものすごくかっこいい…❤︎
でも、これだけあると、どれにするか迷ってしまう。スバルのお金を使うんだし、高いもn…ゴホン。安いものを買わないと…チッ。
「サクラ様。」
「!?」
突然、どこかで私を呼ぶ声がした。スバルでもなくナビーちゃんでもない。女の人の声だ。
それに、直接頭に響いてくるような声だ。
「サクラ様。」
もう一度、私を呼ぶ声が聞こえた。と思ったら、目の前に少し透明だが、光に満ちている、小さくて白い衣を着ている妖精が現れた。
「あなたは…誰?」
目の前の妖精に問いかける。
「私は、マリーナ・オペローゼと言います。マリーと、お呼びください。私は今日から冒険者となったあなたのサポーターをやらせていただきます。これから、よろしくお願いいたします。」
目の前の妖精が、おしとやかに自己紹介をした。
かと思うと、妖精は私の胸に飛び込んできた。すると、身体の中に埋まるように入って行ってしまった。
また、頭に声が響いてくる。
『これからは、私が頭の中に話しかけますので、質問がありましたらどうぞ。』
「あな…。」
『声を出さないでいただいても結構です。私はあなたが頭に思ったことを読み取れます。』
なにそれこわい。
『あなた、何者?』
『私はサクラ様のステータス。体調に合わせた食事や運動方法をアドバイスしていくサポーターです。』
え?私の身体を知り尽くしてるの?この妖精…。
『えぇ、知り尽くしておりますよ。』
うわ。読み取られた。これじゃあスバルと私のいろんな妄想とかも読み取られる…え?これ、収録中?今のカットしてくださいお願いします。
『それでは、早速サポートですが、私は軽めの長剣をお勧めします。』
『いやいや。長剣ってみんな重いもんじゃない?』
『そうですが、軽長剣というものがあります。レイピアくらい軽いですよ。』
へぇ。そんなものまであるんだなぁ。
「ねぇ、ナビーちゃん。軽長剣ってある?」
「あぁ、それはこっちナビ。」
ナビーちゃんに案内されて、それがある所へ行く。見ると、確かに長い。しかし、持ってみると、羽根のように軽い。
『それがいいですね。見た目は普通の鉄の剣ですが、魔力が施されています。あなたの属性解放もしやすいでしょう。』
『…属性解放?』
『属性解放と言うのは、剣士になった時に必ず付与されるもので、一人一人能力が違います。まぁ、これは後で説明しましょう。」
それじゃあ、これに決定だろう。値段も10000エルと、他の武器よりは少し安い。
「これでいいよ。」
「おっ。ってあれ?普通の鉄の長剣じゃねぇか。それで良いのか?」
「マリー曰く、これでいいらしいよ。」
「マリー…サポーターのことか、よし、いいぞ。」
私は会計に軽長剣を持っていった。
スバルがお金を出して、購入。これで私も武器が手に入った。
腰のベルトに、その長剣をさして、店を出た。防具は、お金がないから今度買うらしい。
私達は店を出る。スバルが時計台を見る。
「1時半になるな。事情聴取…。めんどくせぇけど行くか。」
「分かった。」
「城は、こっちナビ。」
城から遠く離れているここから見ても、城はかなり大きい。赤と白を基調とした。かっこいいお城だった。
ナビーちゃんに案内されて、私達は王国へと向かった。
☆☆☆
「ふう〜。やっと着いた〜。」
門前に着いて、スバルが手をおでこに当てて言った。
私も、まさかこれほどまでに遠いとは思っていなかった。
門を見ると、城の門なのに、何故か、門番が一人もいない。何かあったのだろうか。
そう思いつつ、恐る恐るスバルに付いて行き、スバルは門を開けようとする。
鍵が…閉まっていない。
門扉を押すと、中から慌ただしい兵の声が聞こえてきた。
「警報!警報!ただいま、王様が何者かに腹部を刃物で刺され!意識不明です!それと、王女の姿が…お見えになりません!」
「なんだと!?すぐ国中に知らせろ!」
どうやら、事情聴取はとても行えない状況らしい。
誤字等。ありましたら報告お願いします。




