ep9
今日は俺の初の魔獣狩りになる。
普段、魔獣狩りとなると領の護衛隊を率いて見回りを行うみたいだが、今回はアレクシス、ミューシャそして俺の三人での狩りとなった。
ミューシャ姉は自前の剣を腰にっ引っ提げている。
なんでも、アレクシスの勇者パーティ時代に一緒だったドワーフ直々の一品だという。
なんでも、所有者の意思に合わせて大きさが変わるとか。
かくいう俺はアレクシスから譲り受けた剣を使う形になっている。
少々リーチは短いが、軽くて良い剣だ。
アレクシス曰く、邪を払うことに特化させるように改良されているらしい。
領からすこし離れた森に向かうと、アレクシスは足を止める。
「ここからは魔獣が闊歩する魔の森だ。ここまでは魔除けが張ってあるから魔獣は来れないがここから先は命のやり取りが発生する。必ず、周りを注意して命を第一に行動するように。」
「わかりました、父様!」
ミューシャは張り切って剣を抜き、警戒態勢に入っている。
かくいう俺は、まだ剣を抜かない。
なぜなら、魔獣のいる場所はまだ先だと分かっているから。
「アレン、ちゃんと警戒しないとだめじゃない!」
「ミューシャ姉様、まだ魔獣はいませんよ。もっと奥に数匹いる程度です。」
その言葉に、アレクシスが反応した。
「アレン、魔獣のいる場所がわかるのか?」
「父様、なんとなくですがあっちの方角に複数の気配を感じますがこの近くにはいないように思います。」
そういうと、アレクシスは感心したようにうなずく。
「アレンは気配察知の能力があるのかもしれないな。正解だ。アレンのいう通りこの近くには魔獣はいない。ただ、反応できないほど早く近寄ってくる魔獣もいるから、警戒はしっかりしておくように。」
「すごいわアレン!私はまだ全然気配を感じ取れないもの。」
「ミューシャ、これは魔力が高いほど感じ取りやすいものだ。しかし、ある程度経験を積んでいけば段々と感じ取れるようになっていいく。よく周りを見て、感じていくのが大事だが焦る必要もない。じっくりと練習していこう。」
「わかりました!父様!」
どうやら、俺が感じ取っている気配は魔力が高い為に感じ取れているものらしい。
早速チートが発動しているわけでもないようだ。
しばらく歩いていくと、俺たちの歩みに合わせて魔獣の気配もゆっくりと遠のいているように思える。
まるで、俺たちの気配を感じて避けているかのようだ。
まぁ、魔獣と出会わないのは好都合だが初戦闘が出来ないというのも少し考えようだな・・・
アレクシスもすこし疑問に思ったのか、魔獣の気配のする方へ歩いているようだがそのたびに近くにいるはずの魔獣が遠のいていく。
「おかしいな、魔獣が避けていっている。」
「父様、きっと勇者としての気配が魔獣を追い払っているのよ!すごいわ!」
ミューシャは目を輝かせているが、アレクシスは少し微笑んでミューシャへ語り掛ける。
「ははは、そうかもしれないな。父さんが強すぎたのかもな。」
そういいつつも、警戒は怠っていないように見える。
きっと、この後にでっかい魔獣と戦うんだ。
こういう展開、前世の転生系で見たことある。
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・・・そんなこともなかった。
結局、魔獣と会うこともなく散策が終わった。
まるでピクニックが如く、森を歩いて終わってしまったのでミューシャも物足りない顔をしている。
「父様、今日は魔獣と会いませんでした・・・」
「出会わないってことは、それだけ平和ってことだよ。いい事だ。」
「そうね、平和ってことよね!」
そんなことを言いながら、元来た方へ進んでいく。
領がそろそろ見えてくる頃かと思った時、アレクシスが剣を構えた。
「アレン、ミューシャ。後ろへ下がりなさい。」
「父様?」
魔獣の気配はないはずだ。
ましてや、もうすぐ領があるからそのまま進んでいけばいいというのに、なぜ森の方へ下がらせるのだろうか?
そう思っていると、目の前の木からゆっくりと人影が現れた。
「久しぶりだな、勇者。」
「久しいも何も、互いに干渉しないようにしたはずだ。なぜここにいる!」
アレクシスが声を荒げて言い放った先には、額から角をはやした現世の悪魔のような見た目の人物が立っていた。
「干渉?違うな。たまたまここを歩いていたら懐かしい気配があっただけだ。」
にやりと笑いながら、その悪魔のような姿の男は言った。
「お前の子供か?これはこれは、また強そうな子孫を作ったな、勇者よ。」
「不干渉のはずの魔族がなぜここにいるかって話をしているんだ!」
アレクシスを無視するかのように、こちらに向かって頭を下げる魔族の男。
「勇者の子孫たち、我は六魔将が一人≪ネビロウス≫だ。今後ともいい関係を築いていこうぞ。」
そういうと、カゲロウが如く姿が消えていった。
アレクシスは、姿が消えたのを確認して剣を収める。
「何だったんだ、わざわざ姿を見せてまで・・・」
「父様・・・」
膝を震わせながら、ミューシャがアレクシスのそばに駆け寄り声をかける。
確かに見た目は怖かったが、そこまで震えるほどなのか。
ミューシャ姉は意外と怖がりなのかもしれない。
「大丈夫だ、父さんがいるから心配ないよ。さて、帰ろうか。」
そういって、ミューシャをなだめつつ俺をみて帰ろうと提案する。
その後は何事もなく、家についた。
これが、何かの前触れで無い事を祈ってその夜はゆっくりと寝るのだった。
読んでくださり有難うございます。
ゆっくりですが、アレンの物語をこれからもお楽しみください。
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