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過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

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254/339

編成


 まず最初に目に入ったのは、こちらを覗き込むエリーさんの顔。

 次に、少し離れたところで椅子に座っているモータル。


「……顔が近いです」


「身体に異常はありませんか?」


 俺の言葉を奇跡的に聞き逃したのか、顔の距離はそのままにエリーさんがべたべたと俺の身体に触れてくる。

 難聴系ヒロインかぁ。


「どのくらい気絶してたんだ……」


 エリーさんの手をそっとどけ、立ち上がる。

 

 不気味なくらい白い部屋だ。

 家具も椅子二つとベッド一つ。


「何の部屋だこれ」


「処分室だってさ」


 なんで? イカれてんの?


「つーかこんな白い部屋で殺せんのか? 血が目立つし掃除がだるいだろ」


「白くて何も無いのは、舞台を貼り付けやすいからですよ。それにしてもその着眼点……」


 わずかに開いた扉から、見慣れたメイドが顔を覗かせている。


「同業者だったりします?」


「正義の味方だが」


「ひーーーー嘘くさ」


 殺すぞ。


「あ、あと夕飯の仕度できたので。食べますよね?」

 

 ろくでもねぇ人殺しメイドに連れられるまま、三人で食事場らしい部屋に移動する。

 

 木造の扉を開けると、長方形の木製長机がまず目に入る。

 ここまでは木材のオンパレードだが、他は石材を使用しているように見える。

 照明は電球っぽいが……魔力絡みだろう。


 正面にレオノラ、横の長辺の方に捨て子たち、ブーザー、ムカデ女。

 あともう一人。


「随分と早い目覚めだな」


「ナイスガッツだったぜ」


 レオノラと拳聖から声をかけられる。

 

「なんで居るんだよ」


「同じく魔女殺害を志す者だ。共に食卓を囲むのは当然だろう」


 まぁ確かに居た方がいいか。

 モータルとエリーさんに挟まれつつ、席に座る。


「……料理は勝手に取ればいいのか?」


「ああ。好きに食え。無くなればそこの従者が補充する」


 俺はひとまず正面の謎スープをよそって啜った。

 ふむ。コンソメスープか何かだな。


「これって誰が作ってんだ?」


「シェフ用の救世の兵がいる」


 エリーさんがよそってきた肉団子を頬張りながら、サラダらしきものに手を出す。


 うん、うん……味がしっかりしてる。

 美味いな。


「メシマズだったらキツいからな。助かったぜ」


 しばらくここで飯を食うことになるだろうからな。


「タカさん、口を開けてもらっても?」


「素直にあーんって言っていいですよ」


 言い回しがさぁ。


 というか、あーんって冷静に考えたらほぼ相手に生殺与奪の権握らせてるよな。

 怖くなってきた。


「タカさん」


 ねじ込まれた食材を咀嚼しながら、次の食事には銀弾のおっさんを招こうとひそかに決意した。







 皆が食事にあらかた満足した頃。

 レオノラが口を開いた。


「銀弾から一つ、魔女の作品の場所について情報が届いた」


 は? 仕事早すぎだろ。


「元々目をつけていた獲物だそうだ。そして勝手ながら討伐チームはこちらで決めさせてもらった」


 レオノラが紙を取り出す。

 紙には、その魔女の作品のスケッチらしいものが描かれていた。


 妙にカラフルで……甲殻っぽいものに覆われている。

 また虫モデルの作品か?


「メンバーだが、モータル、レトゥ、スルーグ、ブーザー。この四人で頼む」


 俺はいないのか。

 それに妙なメンバー……何か意味があるのか?


「ブーザー、お前はどうせ魔道具を駆使すれば水中戦は可能だろう」


「あぁ? できるけどよぉ」


「よし。レトゥとスルーグは聞くまでもないな?」


 レオノラの言葉に、二人が頷く。


 スライムであるスルーグさんはともかく、修道女にしか見えないレトゥさんが水中戦?

 見た目が大した意味を持たないのは知っているが……エリーさんみたいに変身するんだろうか。


「残りはモータル。戦えるだろ?」


 雑じゃない?

 確かにどこでも敵をぶっ殺せそうな安心感はあるけども。


「何とかなるよ」


「当たり前だろうがよぉ! 俺の修練についてこれた、数少ねぇ優秀な戦士だぜ!」


 拳聖がモータルを差し置いて偉そうに語る。


「あれ、モータルも同じメニューの訓練を?」


「うん。結構キツかったけど、三回は攻撃が通ったよ」


 普通に戦ってるの何?

 俺は知恵絞って、何とか一発かましただけなんだけど?

 しかもその一発も威力めちゃくちゃに誤魔化した一発なんだけど?


「はははははは! タカぁ! 落ち込む事はねぇ、俺の最強さに比べりゃ誤差だからよ!」


 うるせぇよ。


 拳聖の下手くそな擁護を聞き流し、モータルの方に向き直る。


「いくら強いつっても人間だぞ。モータルは流石に編成から外した方が良いんじゃねぇのか?」


 人狼と人間の混じり物……ほぼ人間だ。

 水中活動用の機能は何も搭載してないはず。


「ふむ……しかしだな、今回の作品も嘆きの母のように甲殻を持っている。以前その硬さを素で突破した実績があるモータルは編成しておきたいのだよ」


 確かに、それは……いや、にしても陸上と水上では勝手がまるで違う。

 反論しようと口を開いたところで、モータルが先に声を発した。


「大丈夫だよ。魔力伝導もわかってきたし」


「それでも流石に呼吸できるようにはならねぇだろ」


「だから、息継ぎする前に破壊する」


 かっこよすぎだろ、ふざけんな。

 俺も言ってみてぇよ。次の息を吸う前に殺すって。


「……納得したかね? 私は短期決戦を想定しているのだよ」


「ああ、わかったよ。スルーグさんは失敗時の離脱要員か?」


「ブーザーもな。メインの火力はレトゥとモータル。その2人だ」


 一応理解した。

 納得し切れたとは言い難いが……まぁ、置いておくか。


「ムカデ女は? 現地にいなくていいのか?」


「回収すべき部位は把握済みだ。持ち帰って吸収させる」


 なるほど。

 そこで俺はもう一つの疑問を口にした。


「残りのメンツはどうすんだ? 遊ばせとくのか?」


 レオノラの口角が上がる。


「いやぁ? 別の作品を狩るのさ……しかしタカ、お前は違う」


 嫌な予感がする。


「みっちり修行をしてもらえ。お前は速いが……少々、基礎火力が足りない」


 自分の顔が苦渋に歪むのがわかる。


 離れた席の拳聖がぐっと拳を握って俺に笑いかけてきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 修行の成果回が今から待ち遠しいぜ! [一言] ひゅ〜お前の父ちゃん短剣職〜www
[一言] 強くなれば、エリーさんからの恐怖も減るしWinWinじゃん
[一言] おっとまさかの真っ当そうな修行編。 モータルさんマジカッケェっす!
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