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4-7 後続

登場人物まとめ

A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]

B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]

D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]

E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]

G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]

K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役] 

O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い] 

P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い] 

S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ] 

T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格] 

H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]

I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物] 



 山間の朽ちたコンクリート製の建屋、どうやら昔は旅館として営業していたらしいが、このパンデミックが起きる少し前には廃業に追い込まれていたらしい。中山間地域の人口流出問題はよくニュースでも話題に取り上げられていたが。


「なんつーかねェ、無駄なんだよなァ・・・インフラ的に考えてさァ」


 Gは何の気無しに呟く。山間にぽつぽつとある集落跡、殆ど人はいなくてもこのパンデミック前までは電気、水道の維持に税収以上の過大なコストが生じていた。国家運営を商売として考えれば完全なる赤字部局だ。


「何か言いましたGさん?」


「ん?ああI、大した話じゃァないがね、以前は過疎やらコンパクトシティ構想とかの話題があったなってなァ」


「ああ、この旅館ですか。確かに少し物寂しいものはありますね。バブル以降はお金も無くて開発も下火になったらしいですし仕方が無いですが」


「それが今や、本当にコンパクトになっちまたなァ、俺たちみたいな変わり者を除いてさァ」


 コンパクトシティ、機能を集約すれば水道管やガス管、電線の消費も減るし公共交通機関も無駄に路線を長くする必要も無い。大幅にランニングコストを削れる計画は行政が望んで止まないものであったが、いささか現状は皮肉に過ぎた。眺める景色には自然が溢れていたが、マトモな人間の姿はそうそう最早見られない。


「G、I、ドローンが戻ってきた。偵察は無事終わったってKから連絡があったぞ」


 ふいにかけられた声に、少し気が抜けてたかとGは心持ち反省をしながらTに続きを促した。





 Oは拠点となる大学でヘッドマウントディスプレイを長時間使用して多少の疲れを感じつつも慣れた手つきでコントローラーを操作していた。


 中継地点で立てられたアンテナを介して操作されるドローンはバッテリーを補充されて目的地へと近づく。山に拓かれた大規模なソーラーパネル群、ギリギリまで近づきながら施設の状況を確認していた。ドローンの映像はOのヘッドマウントディスプレイ以外に別のモニターにも映っており、Kが腕を組みながらその光景を見ていた。


「O、もう少し近づいてくれ・・・フン、いいぞ。施設の状態は悪くないな」


「K、他にどこを見ればいい?遠景だけど塞がれている」


「いや、もう大丈夫だ。変に破壊されている部分も無い、必要な工具のリストアップも済んだ」


 Kは内心、安堵していた。わざわざソーラーパネルを破壊して回るような人間はいないと思いたいが、往々にして理論の通じない愚者が存在するものだ。現に、混乱期、特に政府が地方を見捨てたあの日以降は暫くは暴徒が絶えず、絶望に駆られた人間が建屋を無意味に破壊し、火さえ放つこともあった。そのような後先考えない者の大半は騒ぎで呼び寄せられた感染者の群れに飲まれ、その一員となって今もさまよい続けているだろう。


「持ってくるのはパネルだけでいいのかな?」


「ああ、パワーコンディショナーはこの大学にもオーバースペックのものが建てられている。現状は少数のパネルしかないが・・・売電ブームの際にはもっと大規模な増設を想定していたらしくてな」


「なるほど、結局電気の値段下げられちゃったし立ち消えになったんだね」


「フン、公共施設にはよくあることだ。まあいい、偵察は成功だ。偵察班に連絡を取るぞ、そしてパネルを手に入れる。すぐに必要な人員に準備の指示を行う」


「了解!ドローンは一度戻すよ」


 Oが現地の3人に連絡を行い、ソーラーパネル回収を実施することを伝える。そしてすでにKが考えていた草案をベースに僅かな時間話し合いが行われた。




 3台の電気バイクは脇道を引き返してもとの大きな道路へと戻り、目立たない場所で警戒しつつ待機していた。


「予定到着時間は、そろそろの筈だなァ」


 手持無沙汰にGが呟く。出発してからそれなりに時間が経過し日が落ちるのもそう遠くは無い時間に差し掛かってきている。しかしまだ残暑が厳しくただ待機しているだけでも、いや待機していてやることが無いからこそうんざりとさせられる。


「うん、そうだな。まあもう少しだよ。俺たちが掛けた時間よりもかなり短い」


「はは、しょうがないですよTさん。中継地点をつくるのと道路の確認で時間がかかるのは仕方ないですからね」


「分かっているけどね・・・おや?」


 南を向いていたTが遠くから迫りくる影を見つける。そう幾何もかからずしてキュルキュルという静かな音を立てて3人の目前に止まる大きな姿。


 それは大型のトラックであったが、只のトラックでは無くガラス面を含めてあちらこちらに補強がなされ、上部や側部には奇妙な出っ張りがあった。また、そのサイズの割には極めて音が静かであった。


「はっはっは!どうだこの電動装甲トラックは!!素晴らしいだろう!!」


 助手席から降りてきたのは完全防備のAの姿であった。中席にはSが通信中、運転席にはHが座っており、いつでも動かせる状態で待機している。


「よォミスターA、確かに静かだなァ、でもバッテリーは大丈夫なのか?」


「問題ないぞG!モーターならクラッチもエンジンもいらんからな!!取り外して空いているスペースにこれでもかというくらい押し込んであるぞ、150kmは動く!!全部充電するのに24時間以上かかるがな!!!」


 充電時間に難はあるが、それでもこのトラックは力作といっても良い出来であった。シャーシは既存のものを流用したとしても、エンジン等を取り外して大型のモーターに換装し動けるようにするには専門の知識が要求された。幸い工学部棟には工作機械も多く残っており、必要なパーツも大学内には多くあったがそれでもかなりの労力を要していた。充電時間についても常に動かすものでは無い以上、仕方が無いと言えたし、実験機器等で急速充電を行えるだけのキャパシティが大学の発電機には無かった。


「よォし、これで準備はいいかねェ・・・S!通信でKに伝えてくれェ、いまからミッションを開始するとな。まずは・・・まァ、交渉さなァ」


 Gはスピーカーのついた小型のドローンを到着したばかりのトラックから降ろすと、モニターを覗きカメラとリンクしているかを確かめる。確認が終わると、ドローンは空へと舞い上がり、道を封鎖していたバリケードへと接近するのであった。


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