4-2 巧速
登場人物まとめ
A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]
B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]
D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]
E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]
G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]
K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役]
O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い]
P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い]
S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ]
T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格]
H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]
I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物]
Kの発言で一度静まった場ではあるが、そう時間を置かずにGが笑う。
『いやァ、Kにしては迂遠さなァ・・・北だろ?行くのは、プランもあるんだろ?とっとと話そうぜェ』
『・・・フン、いいだろう。だが、意見があれば話せ、衆愚政治は唾棄すべきだがここはそうではあるまい』
一息つくとKが計画を話し始める。
『電力問題は喫緊の課題であるが、南は今不安定だ。よって、南の経過を観察する間に北のソーラーパネルを回収する・・・意見は?』
Kの問いにPが手を上げる・・・モニター越しの会議でありほとんど見切れていたが。
『概ね賛成、でも一度見に行かないといけないよね?』
『偵察は必須だ。必要な工具や回収の手順を明確にせずに行くのは非効率的だ。さらに言えば場所は大分遠い、万一の待避所ともなる中継地点を設営しつつ進むべきだ』
40km、車で時速60kmならば一時間もかからない、信号があれば2時間。在りし日であれば。
今はこの距離を進むのは簡単ではない、道は塞がれているところも多く、『ゾンビ』が徘徊している。なるべく身を隠して進むが今回の場合は多量の荷物を運ぶ必要性がある以上それを見越したルートの設定が求められる。他の生存者に発見されるリスクもあり問題は多い。
だが、やらないという選択肢は無くリスクは恐れるべきだが躊躇するべきではない。
『オレ達は巧遅でも拙速でも無く巧速を目指すってことだな』
『はは、Sもいい事を言うね!』
『オレだって元編集者だよ?H』
『・・・確かにいい言葉』
『フン、否定はせん。そうなるように詳細を詰めるぞ』
方針が決まり各班の状況と要望を含めた話し合いの結果、南の様子は10日間経過観察と交渉を行い、その10日の間に北のソーラーパネルの回収を行うことが決定した。
『早速明日から偵察に出るわァ、足はどうするかねェ、歩くにはキツイ距離だが』
『はっはっは!バッテリーを改造した電動バイクがあるぞ!!ピザ屋の原付みたいな奴だがな!!荷物も積めるし追加でバッテリーも載せておくから交換すれば往復は余裕だ!!明日朝までには充電と整備をしておくぞ!!』
『Aさん、速度はどれくらい出ます?』
『おおIよいい質問だ!!全力で60はいくぞ!フレームも補強してあるし3輪で安定だ!!ゾンビ共にぶつかったらそのまま押し切れ!!燃費は悪いがデカイ電池をピザ代わりに積んである!!』
『そりゃあ助かるなァ、もっともデリバリーするわけじゃあなく持って帰ってこなきゃいかんがなァ』
『あー、二人だと今回大変そうだし俺もついていこうか?』
『そうさなァ・・・頼むわT、予備機はあったよなA?』
『おう!4台は用意してある!!』
『G、偵察で問題なければトラックを出してこっちも動くよ』
『おおミスターH、そっちの方が助かるなァ』
『・・・衛星通信で写真を見たが、三日程度なら天気もそう悪くなさそうだ』
『それはいいね!K、カーナビって使える?』
『無論だT、取り外しても動くようになっている。衛星はまだ生きているようだからな・・・』
その後も会議は続き、必要な荷物や方針について入念にブラッシュアップが行われた。
翌朝、日の出と共にドローンが行く。その空の下で3人の男がルートの再確認と装備の点検を互いに行う、防毒マスクを装着し、全身を灰色のポンチョで覆った異形。隙間からは防護服にプロテクター、腰には拳銃さえ見える不穏な小集団。
都市迷彩が施された3輪車に跨るストローハットを被った大柄な影がゲートを潜る。後に続くは細長い影と小柄な影。
「さァて、行こうか」
作戦開始。




