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2-12 ミーティング

登場人物まとめ

A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]

B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]

D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]

E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]

G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]

K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役] 

O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い] 

P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い] 

S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ] 

T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格] 

H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]

I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物] 

同日、19時。アルファベッツの面々は、ミーティングのために各々の部屋へと戻っていた。会議室ではない、それぞれの自室であり、PCの目の前に座っている。電気屋から拝借したゲーミングデスクトップにディスプレイを3面仕様にしたものをそれぞれの人員が所有している・・・Bを除き。モニターは参加しているそれぞれの顔をリアルタイムで映し出していた。


 どこかの部屋で全員一斉に集まるという旧体制じみた会議方法など、感染のリスクと無駄な手間をかけるだけであった。もともと大学内の構内ネットワークを使用できたため、手間もあまりかからなかった。


『定刻だ、始めよう』


 Kが口火を切る。頭の回転も速く、機械やネットワークに精通したKは自然とリーダー的な役割を担うようになっていた。


『参加者は・・・A、D、G、H、I、K、O、P、S、Tの10人か。Bの教授がいないのはいつものことだが、Oよ、Eはどうした?』


『うん、会議中の間は監視モニター見ていてくれるって聞いてるよ』


『そうか、ならこれで全員だな。それでは現状の確認を簡単に行う。もっとも、共有フォルダの活動記録に記載されていることの復習ではあるが・・・まあ、今日はGとIは戻りが遅く見ていないだろうし他にも忙しい者がいたかもしれん』


『まあなァ』『ええ、すいません』


『よし、まずは俺を含む、K、Oの施設班からだ。構内を常に陽圧にしたり分析機器が電力を喰うせいで、燃料がだいぶ減っている。このままの運用だと3週間持たんな、当初は潤沢にあったが仕方あるまい、予想はできた事だ。また、施設への侵入者も無く、感染者が向かってくることも無かった。2点ほど別件があるが・・・まあ、これは後にする』


『お?いいニュースかぁ?』


『微妙だ』


『じゃあ楽しみにしておこう』


『ああ、だが話の腰を折るな、A。ならば次はお前だ、整備班はAとE・・・Eは監視を行っているから今はお前だけか』


『おう!装甲トラックの試運転は良好だ!ただ、エンジン音を抑えるために防音処理したから水冷に改造して重量が増えたし多少整備性が悪いシロモノになっちまってんな!クレーンやウインチも取り付けてあるし牽引用の台車も作ってある。そろそろ働かせたいもんよ!この前拾ってきた電気自動車は微妙だな。馬力を上げると10kmしか動かん、改造すればいけるだろうが他の2台の車はもともと普通に動くからバッテリーくらいしか管理してねえわ。おっと!遠征班に渡した電気バギーは後で感想を教えてくれ!』


『むやみに使えばエンジン音で感染者や他の生存者を呼び込みかねん、慎重に使うしかあるまい。研究班のB、D・・・こっちも一人、Dだけか、で、Bは相変わらずこちらを無視して研究中か』


『・・・ああ、そうだ。放線菌Y634も培養は順調だ。だが、液体培地の試薬がかなり少ない・・・臭気成分抽出の有機溶媒の在庫もまだあるが減りつつある。・・・抽出をあとで行う、G、手伝ってくれ・・・培地の原料についても相談したい』


『おうふ、マジかよ・・・この作業はくっさくてキツイけど仕方ねえかァ、細菌を使った研究を学生の時ここでやってたの俺だしなァ。ま、それにあれは外で活動するときの生命線だ、感染した奴らも野良犬も近づけねェ、在庫が必要さな。お、それに培地の原材料は糖に麦使ってっけど、米も検討しようぜ。ミスターD』


『・・・感謝する。あと1点報告したいこともあるが・・・Kと同じ案件だ、後にする』


『では、つぎは遠征班、・・・H、T、S、Pだったな。P、頼む』


『うん、予定通り僕たちは廃車からガソリンを集めてAさんから貰ったバギーの荷台に積んで持ってきたよ。バギーは電動だから静かだし狭い道も多少の凸凹も問題なく動いたね。ただ、荷物載せたら結構重くなったせいかな?バッテリーの残量も20%くらいになっちゃったからもう少し走れれば安心だね。全部はガソリンの缶は持ってこれなかったからいくつかの場所にまだ置いてあるし後で回収に行くよ』


『おっと!!結構バッテリーには余裕を持たせたつもりだったがいかんなあ!後でもう少しデカいやつ詰めるか試してみっか!!つってもこの前の戦利品のやたらとある電気チャリ用のバッテリーをいくつか繋げてケースに押し込んだなんちゃってバッテリーだから車体に乗る分には増やせるぞ!!』


『うん、何度か往復したいし交換用のものもできればおねがいするよ。』


『了解した。遠征班、ご苦労。だいぶ通れない道も多く入り組んでいた場所のはずだが・・・置いてある場所までは問題ないか?』


『うん。僕は一度見た景色は、忘れないから。後は・・・特には問題なかったかな?相変わらず臭いの袋がきつかったけどゾンビはみんな勝手に逃げてくれたし』


『愚問だったな、謝罪しよう・・・次はGとIの偵察班。G、頼む』


『オーケイ、ミスターK。俺とミスターIは例のガススタに偵察に行ってきた。もう聞いてるやつも多いと思うが・・・結論から言えばァほとんどが空だった。が、灯油は結構たんまりあったぜェ、ディーゼル機関で上手くすりゃあ使える。ま、それで量が多いし井戸の発電機とかも運びてェからAには装甲トラックを頼みたいところだな。道は途中にゾンビが結構いたから強引に通るか、裏道を・・・あァ、廃車で結構ふさがってるからトラックでいくなら力業になっちまうな。ゾンビを轢き殺して後でよく洗ってUV灯を車庫に運んで1日照射だなァ』


『ははは!ついに装甲トラックが動くか!!デカいタンクとポンプ持ってかんとな!!』


『頼むぜェ・・・あと、屋根にソーラーパネルあったが、下すのもしんどいしミスターIとは話したが、山近くのメガソーラーからがめねえか?手間ではあるし遠くてリスクもあるがァ、電力問題は今後もついてまわるさね、ミスターK』


『・・・そうだな、長距離偵察ドローンをOに飛ばしてリスクが許容範囲内なら実行する計画を立てよう』


『ああ、いいだろ、廃車からガソリン抜くのも面倒なんだ、ま、ガソリンは発電以外にもあるに越したことはないから集め続けんといかんがなァ。ミスターI、他にあったっけ?』


『あ、Gさん、生存者の話は?』


『おやいかん、そういやそうだったな。帰り道で違和感があってなァ、念のためドローン飛ばしたらなぜか知らんが学生服を着た変な一団が感染者に追われて人を減らしつつ逃げているのを確認した。方向がこっちじゃなく海だったから『始末』はせずに放置したがァ・・・ま、8割がた今頃お釈迦だろうなァ。あっと、あとはガススタのカフェでいい感じのコーヒーとか拾ってきたから使ってくれ』


『そうか、ご苦労。明日は早速人数をそろえて灯油を回収する・・・では、微妙なニュースを2件今から説明しよう。そのうちの1件は今の話にも出てきた学生服の集団についてだ―――』






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