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第二章 蠢く者達 2-1 腐臭の街

第二章です、ぶっちゃけ第一章は舞台づくりのようなものなので飛ばしていただいても大きな問題はありません、本章は序章の続きとなります。よろしくお願いします。


登場人物まとめ

A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]

B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]

D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]

E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]

G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]

K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役] 

O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い] 

P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い] 

S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ] 

T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格] 

H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]

I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物] 

あらすじ・・・

日本は謎の理性を失う奇病によって崩壊、有効な手立ても無く主要都市を除いて大部分の地域は放棄された。多くの市民が多大な危険を冒して主要都市へ逃れるか、希望の見え無い故郷に留まるかの選択を余儀なくされる中で各々をアルファベットで呼び合う奇妙な集団が生まれた。生存し、奇病に立ち向かわんとするその名前は『アルファベッツ』。今日も彼らは必死で街を彷徨い、そして立ち向かう。







 それなりの規模の地方都市であった街並み、多くの車で朝と夕方に小さな渋滞を作っていたその光景はかつてのものだ。今や路肩に乗り捨てられた乗用車やひっくり返ったトラックが道を塞いでいる。ウインドウショッピングで親しまれたショーケースのガラスも割られ、そうでないブランド物の服には埃が積もっていた。


 とある一帯は建物が焼け焦げ、骨格だけになった車や店舗、そして人間の躯が片付けられることなく放置されている。かつての喧騒と様々な色の照明で彩られた姿は無く、ただ静かに太陽の光に照らされていた。


 ただし、その中にもかつての趣を残すモノがある。


 それは、街中に集う人々の姿であった。



 ―――もっとも、かつての小奇麗な姿や、わざとらしく破かれたジーンズを履いて流行の波を追いかけて闊歩していた小市民達ではすでに無い。体毛は生えるに任せて整えられておらず、体中は汚れ放題で脂まみれで所々に青あざや出血が見られる。服も傷み、血や汚れ、排泄物等で変色したズボンなどは明らかだ。いや、むしろ服など余計だと言わんばかりのほぼ半裸の姿の者の方が多いほどだ。


「あれまァ、若い子が乳放り出しちゃって・・・放送できないなこりゃ」


「テレビ放送なんて最後に見たのは大分前ですね、電波なんて『ドミ』さんが趣味でラジオやってくれてるくらいのものですよ」


「そうさなァ、それにそんなにご褒美でも無い・・・やっぱ見た目ってものは大事だなァ」


 やや猫背気味になり、引きずるようにして歩く。靴も脱げるに任せて片方の足がアスファルトに擦れて血を流しているがそれを特に気にした様子も無い。腕は力なく垂れているが、時折何かを求めるかのように前へと突き出されている。


 目は大きく見開かれ、半開きになった口から唾液が垂れていても拭おうとする様子も無い。呻き声も上げずにただその視線は焦点も無く前へと向けられていた。もはやソレは、人間とは呼べないヒトの形をした何かだった。



「ドローンで偵察した通りのルートで行けそうかね」


「ええ・・・手早く行きましょう」



 GとIは行き交う『ゾンビ』の隙間を縫うようになるべく接触しないように進む。かすかな物音に『ゾンビ』達も振り返るが、カヒュッと嗄声と咳が混ざったような音を鳴らして逃げていく。


「ヒトならぬ~ヒトさえ逃げる~この臭さ」


「川柳ですか?はは、どんな生き物だって食欲を失いますよね」


「俺達だって参りそうなくらいなんだからなァ・・・まあ、奴らも大概臭うがな。ちなみに以前サンプルをGC-MSに放り込んでみたが芳香族と蛋白質由来のフラグメントイオン・・・」


「ああ、そっちの話はよく分かりませんよ・・・それより手早く行きましょう、臭いもあと2時間はもつ筈ですが鼻が慣れたゾンビが来るかもしれません。」



 『ゾンビ』と呼ばれている者たちだが、別に腐っているわけではない。ただ、垂れ流しにされる排泄物、体液、老廃物等々で元々大分臭う上に、さらに得体の知れない臭気物質が分泌されているらしく、これがどうにも不快に臭うのだ。そして、この臭いこそが男達に安全を与え、そして一方で危険も与える原因であった。


 

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