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プロローグ
『猫!?』の虎視点です。
俺は虎。この広い公園を縄張りとしている黒猫だ。この辺りでは、俺に敵うものはいない。
俺は毎日鍛練に勤しみ、強さを維持していた。近所の猫とも上手くつきあい、それなりに楽しくやってきた。そんなときに俺の前に現れた綺麗な白猫がいた。
「ひゅー、可愛いね」
思わず俺の口から言葉が出た。こんなことを言いたい訳じゃないのに!
白猫は気だるそうに答えた。そんな表情も可愛らしい。
白猫は俺と話はじめて、嬉しそうだった。零れる笑顔。俺は一瞬で恋に落ちたんだと思う。
そんなときその白猫は、「自分は人間だった」と言う。そんなおかしなことがあるわけないと思ったが、この子が嘘を言っているようには見えなかった。だから、物知りの『ばあさん』のところへ連れていくことにした。道中、その白猫は「お腹が空いた」と呟いた。今俺の家には大したものはない。『ばあさん』のところへ行けば何かしらあるだろう。
俺たちは『ばあさん』のところへ急いだ。