ばあさんの家
虎は白猫を『ばあさん』のところへ連れていった。
「よう、ばあさん。元気かい?」
俺の呼び掛けにばあさんは嬉しそうに笑った。
「おや、虎じゃないか。とうとう結婚するのかい?」
俺はどきっとした。
すると、俺の横から間髪入れずに叫び声が上がった。
「違います!」
そんなにきっぱり否定しなくても……落ち込みそうだぜ。だが、本来の目的はそれじゃないしな。
俺はこの白猫の腹が減っていることを伝え、メシを頼んだ。するとばあさんは奥から豪華な食べ物を持ってきた。活きのいい魚だ。
「ばあさん、どうしたんだ、これ?」
「隣からもらったのさ」
白猫は俺たちの会話を聞きながらも、困惑しているように見える。こんなに豪華な食い物は珍しいはずだ。とその時、白猫が意を決したように言った。
「いただけるなら……ください」
こうして白猫は魚を食べ出した。こんなに新鮮な魚も珍しいってのに、時々顔をしかめている。しかし腹が減っていたのか、魚を半分ほど食べた。
「ごちそうさまでした」
「礼儀正しい子だね」
確かにそうだな。綺麗な上に、言葉遣いも洗練されているように見える。
俺は話始めた。
「このお嬢さん……名前を聞いてなかったな」
「……茜」
名前も可愛いぜ!
「茜は自分が人間だったって言うんだ。そんなことってあるのかい?」
ばあさんは考え込んでいる。いつものことだが、膨大な情報を持っているからだ。
「ああ、昔の話だが聞いたことがあるね。でも本当のことかわからないよ」
「それでもいいです!教えてください!」
ばあさんの言葉に食らいついたのは茜だ。本当に人間が猫になるなんてあるのか?




