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召喚ゲーマー  作者: tamazo
第一章
10/26

10.ぶっちゃけ

サブタイトルを考えるのがきつくなってきた今日この頃、いかがおすごしでしょうか。

■10.ぶっちゃけ■


 ラモナへの旅は、順調そのものであった。 途中、ラモナへ向かうほかの商人や旅人も自然に合流し、ちょっとした旅団のような様となっていたため、獣や盗賊もおいそれと近づけなくなっていた。


「うちの護衛はスルメ団のトーマスと一緒に仕事していた御仁だぜ。」


 とある商人が自慢気に話し始める。 その後ろでは、流れ者が自慢げに酒を飲んでいた。


「トーマスさん、知り合い?」


 サンドラがトーマスに尋ねると、トーマスはその流れ者を一瞥するが、「知らん」とそっぽを向く。


「うちなんか、剣聖のサンドラと剣を交えたお方だ。」


「サンドラ、貴方いつから剣聖になったの?」


 シャルがサンドラに尋ねると、サンドラは頭を抱える。


「しかし、法力の達人のシャルも、なかなか凄いらしいな。」


 シャルが飲みかけの酒を噴出していた。 トーマスとサンドラはそんなシャルをにやにや見ている。


「皆さん、有名なんですね。」


 シャドウは純粋にその様に関心していた。 あらかじめ商人にはスルメ団のことを伏せて置くようにトーマスが話しを通していたため、依頼人の商人はうずうずしながらも、ほかの商人の話をきいていた。


「しかし、魔女にさらわれていたフランソワ様を助け出すとか、まさに流れ者の鑑だぜ。」


 他の商人達の護衛を勤める流れ者達の会話が聞こえてくる。


「魔女から救ったことになってるんですね。」


「そうみたいですね。」


 シャドウにフランソワが答える。


「まあ、その辺はいろいろあるんだろ。」


 トーマスが酒をあおる。


「ええ、いくら公爵令嬢といえ、呪い姫と分かったら大変ですから。」


「なんでですか?」


 シャドウがフランソワに尋ねる。


「あなたは気にしてませんでしたが、一般的に呪いは危険なものと認識されてます。 それに普通は呪いが解かれるということは、死を意味します。 つまり、生きている以上、呪いは解かれないというのが一般的な認識です。」


「つまり、呪い姫のレッテルははがれることはない?」


 シャルがシャドウに頷く。


「いくら公爵家令嬢でも、呪い姫を后として迎える貴族は、よほどのことがない限りはいないでしょう。」


 シャドウは、なるほどと頷く。


「でもさ、あんたはそういう婚話は無かったわけ? 貴族って政略結婚多いんでしょ?」


「まあ、ゼロではなかったでしょうが、父上、母上はあまりそういうものに気にしない方でしたので。 それに法力にしか興味ない娘はそういう用途には向きません。」


 シャルが自虐的に笑う。


「サンドラこそ、ほかの商人の方とそういう話があったのでは?」


「あったといえばあったけど、清楚な妻とか言い出す奴をぶん殴ってからは、まったくないかな。 うちの父さんも諦めてると思うし。」


 サンドラが笑ってみせる。 しかし、二人ははあーとため息をついた。


「でも、お二人は目的があるし、働く女性ていうのもカッコいいと思いますよ。」


「シャドウ、あんたいいこというね。 あたしと決闘、じゃなくて結婚する?」


「いや、どちらも遠慮しておきます。」


 にやにやとにじり寄るサンドラに、思わずシャドウは後ずさる。




 無事、ラモナに到着した一行は、早速宿を探す。


「ダメですね。 どこもいっぱいです。」


 シャルとサンドラがうつむく。


「こっちもいっぱいだ。」


 トーマスとシャドウが空を仰ぐ。


「しゃあない、うちの支店にちょっと掛け合ってくるか。」


 サンドラがため息をつく。


「支店?」


 シャドウがサンドラに尋ねる。


「うん、ここにはうちの支店があるからね。 まあ、宿は無理でも、部屋ぐらいはかしてくれるかなと。」


「でも、貴方のところの支店って、シャドウは入れないのでは?」


「あっ!」


 どうやら目的のそれは市民エリアにあるようだ。


「いや、その辺で野宿しますんで、大丈夫です。」


 シャドウは、町外れで大量にいる宿にあぶれた人達を見る。


「まあ、俺も付き合うか。 お前らだけで言って来い。」


 シャルとサンドラは、自分達もと言い出すが、結局二人はサンドラの支店に向かった。




 トーマスとシャドウは、手ごろな場所を見つけると、ごろんと横になる。

 食料や酒はたっぷり買い込んでいるので、あとは翌朝までのんびり過ごすだけである。


「おまえら、許可証をみせろ。」


 突然、衛兵がトーマスを詰問する。


「ああ? 許可証?」


「ああ、不審なものが紛れ込んでいる可能性がある。 よって、許可証が必要だ。」


「んなもん、ねえよ。 大体どこで貰うんだよ。」


 トーマスが衛兵に食って掛かる。


「き、貴様っ!」


 衛兵が剣に手を掛けるが、シャドウが咄嗟にそれをとめ、公爵の招待状を見せる。


「こ、これは……。 大変失礼いたしました!」


 即座に衛兵が呼子を鳴らすと、瞬く間にトーマスとシャドウは衛兵達に囲まれる。


「こちらへどうぞ。」


 突然の出来事に、周りがざわつき始める。


「トーマスさん、これって捕まったようにしか見えませんよね……」


「だな……」




 トーマスとシャドウは、公爵邸へと通されていた。


「しかし、なんでまた野宿など…… こちらへお越しいただければ、お部屋なぞ即座にご準備いたしましたものを……」


 公爵家の執事が頭を抱えていた。


「いや、まあ……」


 二人は恐縮していた。 野宿どころか、公爵家に泊まることになっていた。




 翌日。


「で、結局公爵家にとまったわけ?」


 トーマスとシャドウは無言で頷く。 とりあえず公爵家を抜け出して、サンドラの厄介になっている支店へと避難中である。

 ちなみにサンドラとシャルを公爵家にさそったところ、二人はあっさり断った。

 ここの応接室で、トーマスとシャドウはぐったりしていた。


「でも、市民エリアって凄いですね。 サンドラさんのここも凄いですけど。」


「まあ、西念屋といば、モルト国でもしらないものは居ないでしょう。あと、恐らく市民エリアがすごいのではなく、このラモナ自体が凄いのですよ。」


 ラモナ。 公爵領最大の都市であり、モルト国の首都ファーレンに並ぶ都市でもある。

 また、サンドラの親が営む西念屋は、モルト国でも有名である。 首都ファーレンに本店があり、モルト国の各地に支店を有する。 そして、ここラモナにも支店があった。 支店といっても、その様は高級デパートかショッピングセンターのようであるのだが。


「モルト公爵っていったら、ラルフ王とあんまり変わんないからね。 どっちもモルトだし。」


「でも仲悪いんでしたっけ?」


 シャドウがトーマスを見る。


「さあな。 昔は派手に遣り合ってたみてえだが、とんと聞かなくなったからな。」


「結局、モルト公爵というかバルバット様が、弟君のラルフ様に王位をあっさり譲られましたからね。」


「んじゃあ、なんで喧嘩とか?」


 シャドウが首を捻る。


「知るかよ、貴族の考えてることなんぞ。」


「ひょっとしたら……」


 3人が一斉にシャルを見る。


「え? いや、何でもありません。」


 シャルがあわてて手を振ってみせる。


 その時、部屋をノックする音がする。


「お嬢様、お客様です。」


 サンドラは首をかしげながら、ドアへと向かう。


「え? リトラン様? どうしてここに?」


「いや、先程公爵家にお伺いいたしましたら、お二人が抜け出されたとか。 であれば、ここかと。」


 リトランが苦笑する。


「ちょっとよろしいでしょうか。」


 一同が頷く。


「実は皆様にお願いがございまして。 単刀直入に申し上げますと、フランソワ様をお守りいただけないでしょうか。」



 リトラン曰く、フランソワは邪心教団と暗殺集団に狙われているらしい。


「じゃあ、呪いを掛けたのが邪心教団で、それとは別に暗殺集団にも狙われてるってことですかい?」


 リトランが頷く。


「なんか、小説みたいな話ね。」


 サンドラが腕を組む。


「しかし、どのような理由があるのでしょうか?」


「それを説明するには、8年前のあの出来事から説明させていただきましょう。」



 8年前、先王の崩御後、バルバットとラルフによる王位争いが発生した。 長兄であるバルバットが王位を継ぐべきというバルバット派と、頭脳に秀でたラルフにつくラルフ派にわかれた、国をも巻き込む2つの派閥争いであった。

 もっとも、バルバットもラルフも、それほど王位には執着しておらず、もっぱら取り巻き立ちによるものであったが。


 そして、ラルフ派はバルバットを亡き者とするため、邪心教団と接触し、バルバットへの呪いを掛けたのである。


「ところが、その呪いが、なんたることかフランソワ様へと……」


 一方、バルバット派も、ラルフを亡き者とするため、暗殺計画を練っていた。


「こちらは、バルバット様が気づかれ、実行前に取り押さえられましたが、逆にバルバット様が狙われる始末で……」


「バルバット様って踏んだりけったりですね……」


 シャドウのセリフに、一同がぎょっとする。


「ところがですね……」


 リトランが続ける。

 暗殺集団は崩壊したがその残党が報復の見せしめとして狙ったのは、バルバットではなく娘のフランソワであった、より深い悲しみを与えるため。


「ちょっと待って。 一番被害にあってるの、フランソワ様じゃない?!」


 サンドラの目が怒りに震える。 リトランが頷く。


「皆様のおかげで呪いは解くことができましたが、邪心教団は今も存在しており、暗殺集団の残党もしつこくフランソワ様を狙っております。」


「ちょっと待ってください。 でもフランソワ様はあのメイドと二人でいらっしゃったのですよね? 護衛は?」


 リトランがシャルにうなずく。


「大体、あのメイド、暗殺者だろ?」


 トーマスのつぶやきに、一同が目を見張る。


「ご存知でしたか……」


「いや、こないだ泉で見かけるまでは確信がもてなかったすけどね。」


「どういうこと?」


 サンドラがトーマスに尋ねる。


「俺達が出発するとき、あのメイドは屋敷にいただろ? で、俺達が到着したときには既に泉にいた。 いろいろあったが、一介のメイドが俺達より早く着けるわけがねえじゃねえか。」


 サンドラが頷く。


「あのメイドは流れ者じゃねえ。 あの身のこなし、そういうのをいろいろ考えると、おそらく暗殺者じゃねかと。」


「流石はトーマスさんですね。」


「ひょっとして、フランソワ様を狙った暗殺者って……」


「ええ、ミトにてございます。」


 フランソワを狙ったのはあのミトと呼ばれるメイドだった。 しかし、ミトはフランソワ様にその刃を向けこそすれ、暗殺することはできなかった。


「理由ははっきりしませんが、ミトが申すのには、フランソワ様に神を見たとか。」


「聖女候補……」


 シャルがつぶやく。


「おそらくそうかもしれません。」


「ちょっと待ってくれ。 じゃあなんだ? フランソワ様は、自分を狙った暗殺者に身を守られてたってことか?」


 リトランがトーマスに頷く。


「おいおい、勘弁してくれよ。」


「もちろん、バルバット様もご承知の上です。 それに、ミトには従属の印が記されております。」


「まさか……」


 シャルとトーマスが絶句する。


「あのぅ、それなんですか?」


 シャドウが首をかしげる。


「わが教会の禁呪ですね。 指定された主の意に介さないことをすれば、その命が絶たれる、というものです。」


「ひょっとして、リトラン様が?!」


 シャルの叫びともいえる問いかけに、リトランが頷く。


「なんだそりゃ、あんたなんてことを!」


 トーマスが、リトランの襟に掴み掛かる。


「でも、フランソワ様なら、大丈夫なんじゃないですか? あの方、人格者ですし。」


「おい、シャドウ。 あれはな……。 そうだな、たとえば主が手を出せと命じる。 で左手をだしたとするだろ? でも主が期待してたのが右手だとすると、それで終わりだ。」


 そういって、トーマスは首を掻ききるまねをする。


「ひえっ。」


 思わずシャドウが後ずさる。


「その通りです。 もっとも、私もそんなものはできませので、それっぽく書いただけですが。」


「「はあ?」」


「さすがに、そのような伝説級は私ごときには無理ですよ。 教皇でもできるかどうか。 一応、けじめとしてのふりですよ、 まあ、このことは本人とフランソワ様ぐらいしか知りませんが。 あと、その数年後にバルバット様にはお話してますか。」


 リトランが苦笑する。 しかし、その顔が引き締まる。


「ただ、ミトがフランソワ様をお慕いする気持ちは本物であり、これまで幾度となくフランソワ様を守り続けてきたのは間違いなくミトでございます。」


 リトランが断言する。


「まあ、スルメ団は解散されるようですが、神の御心に従い、皆様に示される道を歩み続けていただければ。 そして、それがフランソワ様をお救いいただくこととなろうかと思います。」


「ちょっとまってくれ、リトラン様。 なんで俺達が解散することを……」


「神のお告げ…… でしょうか。」



次回予告:2章と3章は大体固まってきたものの、これ以上のシナリオ破綻はありうるのか?! 

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