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Marionnette is escaping from

少女の誕生、そしてしね

「何をしている」

少年が少女に尋ねる。そこは屋敷の廊下である、少年は歩みを止めた。なぜなら少年の足元には人形が転がっている。少女はそれをかき集めていた、少年はそれを上から見下していた。少女の手が止まった。少しだけ震えていた。

「人形遊び…」

少女は小さな声で答えた。少年は少女の声を聞き終わるや否や少女の髪を荒っぽく掴む。そして勢い良く反対側に捻る、少女がジタバタと抵抗する。

「ご…ごめんなさい、人形遊びをしております…お兄様…」

少女は泣きながら答えた、少年はそれを聞いて手を離した。少女は人形に駆け寄る、人形は何も答えない。

少年は置き土産と言わんばかりに少女の頭を踏みつける、

「今のお前は僕が生かしているようなものだ…全く…

魔法がまだ使えないなんざ…生かす価値も無い」

そう言い残し少年は奥に消える、少女は壁に駆け寄る。壁の辺りはあまり明るくは無かった。少女は限界であった。もう嫌だ、もう傷つけられたくない。少女はそう思っていた。



文は歩き始めた、あてなどない妖怪の山は支配されてしまっている。あの時何故天狗が私を助けたのか、あの時一人の天狗が自分を突き飛ばした。その天狗は血を吐きながら逃げてと言った。それが何故か分からない。文はふと上を見上げる。敵が巨大な門を開きそこから消えていった。文は力無く座り込んだ、足からは依然血が流れている。



「撤退…したわね…」

レミリアは言う、パチュリーはまだ魔方陣を見ている。メイドはパチュリーに茶を渡した。パチュリーはそれをとって茶を飲む。

「撤退…ではないわ。相手は恐らくこの幻想郷という未知の世界の地理を理解したんだと思う。恐らくすぐに攻めてくるわ」

パチュリーはそう言い、椅子に座り直した。レミリアは向こうを見た。妖怪の山は依然静かであった。



「ふむ…第一関門は突破したな、大臣」

マイルは玉座に座って言う、大臣は横に座っている。玉座の間には大臣とマイル以外誰も居ない。静かな空間だ、大臣はワインに口をつける、とても幸せそうな表情をしている。

「ええ、閣下。閣下の的確な指令、そして我ら騎士団の日頃の訓練の結果が現れたものであると私は思っております」

大臣はそう言う、マイルは頷く。そしてワインを飲む。ワインは毒々しい紫色である。

「準備が整い次第進撃を開始する」

マイルはそう言う、大臣は敬礼し玉座の間から出て行った。完全に静かになる、マイルは目を瞑り眠った。



少女は眼を覚ます。前には黯いドアがある。ドアは無機質で何も言わない。少年は隣の人形を見る、人形は昨日と何ら変わりない表情でぺたんと座っている。少女は人形を触る、人形は冷たい。だが少女はそれが良い、冷たくなんてない暖かい。

「おい!何やってんだ!早く来い!」

父の怒鳴り声が聞こえた、少女の顔に陰りが映る。最悪、嫌だ。あんな所に行くなんて、少女は悪態をつく。だがそれは届かない。私が生きる為には彼奴らが必要。私はある名家に生まれた、貴族の家だ。私の国は代々魔法で栄えている。魔法は日常である。私達の一族はその中でもトップの魔法使いの一族。だが私は…

魔法が使えないのだ。

少女は父の元に行く、父は鞭を持っていた。私は虐待を受けている。魔法が使えるようになるまでの躾らしいが。何時までなのか分からない。

「17にもなって…魔法が使えぬとは…この豚が!」

父はいつもそう言って私に鞭を振るう、身体には鞭の軌跡(あと)が刻まれていく。少女は何も言わない、ただ唇を噛み締めて耐える。父は不服なのか少女の足を踏みつける。父の靴が自分の小汚い足にめり込む。少女は悲鳴をあげた。そしてまた鞭を振るう。少女はうずくまる。父は鞭を止めた。

「買い出しだ、早く行ってこい」

父はそう言って少女に袋を渡す。そして綺麗(きたない)な服を着せる。少女は弱々しく外に出た。


街はいつも通りの賑わいである、少女はいつものように店に向かう。だが店は閉まっていた。店自体が潰れてしまっていた。その代りに…人形屋になっていた。

「あーもう!蜘蛛の巣!鬱陶しい!」

一人の女性が蜘蛛の巣を払っていた、その動作に合わせて胸が揺れていた。蜘蛛の巣はどんどん消えていく、胸もぴょんぴょん跳ねる。少女は女性を見る髪は赤の長髪で、エプロンをつけている。胸でかい、女性は蜘蛛の巣を払い終わる。そして少女の目線に気づく。

「あら、あなた確か良く家に買い物しに来てた…ふふふ…入りなよ」

女性は笑った少女を捕まえる、少女は抵抗しない。女性は一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、すぐに表情に笑みが戻り、少女を店の中に入れた。まだまだ夏の昼下がりであった。


店の中にはたくさんの人形がある、少女はそれに見惚れていた。女性は向こう側からコップを持ってきた、中には水が入っている。少女は要件を話した。

「そうかい…生憎だけど、うち元々八百屋じゃないのよ…って聞いてるの?」

少女は気にせず辺りをぐるぐる回っていた。そのうち一つの人形を見つけた。それは、上海人形であった。少女はそれを見つめる。眼は輝いていた。

「何、気に入ったの?それ、売れないのよ」

女性はそう言って、右足でカタログを器用に取り出した。そしてペンで線を入れた。少女はその理由が分からない、字を習った事が無いからだ。女性はカタログを放り投げて、少女の顔を掴んで上に上げる。少女は無表情だ、まるで人形のよう。

「んじゃあげるよ、野菜はちと待ってな〜」

少女は上海人形を見つめる、上海人形は笑っていた。少女も笑った。女性は野菜を少女の持っていた袋に入れた。そこで違和感に気付いた。だが、それは置いておく事にした。

「はい、どーぞ」

女性は笑って渡した。少女も笑顔になっていた、少女は走って帰って行った。手には上海人形が握られていた。空には少しだけ雲が浮かんでいた。

「ほほほ、悩んでおるの…シルビア」

奥から自分の母が出て来た。母がいつも八百屋をしているのだが、母は止めてしまった。母曰く、飽きたらしい。いつもこの人は、摑みどころの無いよく分からない人だ。

「悩みというか…疑問よ」

「疑問というのはあの子の事じゃろう…ほっほっほ

当たりじゃろ、オレンジもらうぞ」

悔しいけど当たりよ、シルビアはそう思う。実際あの子には疑問が多々ある。なぜあの歳で人形遊びを…

そしてあの綺麗な服に反したあのビクビクとした態度…。

「あの子は、貴族、マーガトロイド家の末っ子じゃよ…幽閉され虐待されとるんじゃよ。答えになったかの?」

「なったわよ…答えに」

やっぱり…あの時見えた鞭の傷は気のせいじゃ無かった。でも…何も出来ない…

「ほっほっほ、貴方とあの子には人形があるじゃろ、確かに儂等は無力じゃ、じゃがここに来た時くらい笑顔にしてやれ」

母はそう言い部屋に戻っていった。シルビアの心に決意が生まれた、空の雲は無くなっていた。


それからというものの少女は毎日来るようになった、雨の日も風の日もシルビア達は人形を少女に見せてあげた、そして売れない人形をいつも彼女に渡した。彼女はいつも喜んでくれた、私は彼女に人形の作り方や裁縫を教えたりもした。彼女はその時は蘇ったかの様に饒舌になる。私も少女もいつも笑っていた。

「名前、なんて言うの?」

シルビアは尋ねた。少女は上を向く、考えている様子であった。少女はコップを置く、そして眼を瞑って考えていた、名前すら無いのか…シルビアは落胆した。

「魔法が使える様になったらつけてやるって…」

少女はぼそりと呟いた。顔はまた暗くなってしまっていた。シルビアは少し慌てた、やっと笑顔が戻ってきたのにこのままじゃ…シルビアは急いで辺りを見渡す頭もフル回転する、すると一つの名前が浮かんできた。昔おばあちゃんに聞いたある少女の物語。冒険好きの少女がいろんな場所を探検する物語。

「今日から貴方は」




「アリスよ」

シルビアは言った。少女–––––––––––––––––アリスは笑って見せた。空は青いが少しだけ羊雲が架かっていた。

めっちゃ長くなっちゃいましたごめんなさい

何かあれば言ってね…


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