La end
産声を上げる、この寒き世界で
アリスは走っている、戦禍に塗れし幻想郷を。上海は未だ見えない。上海を連れ戻す。アリスはには固い意志があった。
レイは何とか立ち上がる、腹部の出血は尋常ではない。地面は紅と黒でどろどろになっていた。レイはラクトマンに駆け寄る、ラクトマンは左手を握りしめた。
「お前に構っている時間はもう無い」
ラクトマンはそう言い、レイに背中を向けた。レイの横っ腹に巨大な穴が開く。そこからは血や臓器が流れ出ていた。レイは血を吐き倒れた。息が消えていく。
「僕が…アリスを…守り…お前を……」
レイはそう言い、動かなくなる。ラクトマンは煙草に火をつけてレイを見る。レイはピクリとも動いていなかった。ラクトマンは歩き出した、すると横の草原から凄い速度で何か出てきた。それは––––––––上海人形だ、ラクトマンは無視して歩き出す。
「上海来た、起きて起きてよレイ。アリス待ってる」
上海はレイを揺さぶる、レイは動かない。上海は揺さぶる、レイは揺れた反動で血の様なものをぶちまけている。地面が紅く染まる。それでも上海はレイを揺さぶる、そしてレイを引っ張り始めた。レイはずるずると動く。動いたところにはレイの軌跡が描かれる。
「みんな待ってる、帰ろう」
上海はそう言い、レイを引っ張る。後ろにはいつの間にかラクトマンが居た。上海は構わず引っ張り続ける。ラクトマンの表情は依然無であった。ラクトマンは歯を鳴らした、するとレイの顔が爆発した。
「てめえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
上海はそう言いラクトマンに斬りかかる、だがラクトマンは上海を払いのける。上海は斬りかかる、だがラクトマンはまた払いのける。まるで大人と子供だ。
「レイ?」
アリスが森から出てくる、顔には絶望が映る。ラクトマンはアリスを見る。アリスはへなへなと歩きレイに近づく、ラクトマンは何もしない。アリスはレイを触る、ぬちゃりと音を出す。無論動かない。アリスは激昂し人形をラクトマンに飛ばす、だが人形は動かない。糸の部分、中枢部分もパーフェクトに壊されていた。アリスはしゃがみ込む。もう、何もできない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
また、独りになるのは…。アリスの頭のフィルムが再生される。フィルムは軋んでいた。
アリスはいつもの様に人形屋に通う。町の喧騒はいつも通り、THE☆やかましい。裏路地に入り、少し埃臭い。そして裏路地を抜ける。だが––––––––––そこに人形屋は無かった。人形屋があるべき場所には周りと同じ草原しかなかった。アリスは弱々しく草原に駆け寄った、そこには確かに草原しかなかった。
「おや、お嬢さん。そんな所に何の用」
いつの間にか横にある女性が座っていた。その女性は黒いワンピースを着ている、髪の色は紫で右手に何か持っている。胸小さい。それはキセルなのだが幼いアリスにそれが分かるわけもない。しかもこの暑い中真っ黒な帽子を着けている。その女性はアリスの右横に座っていた。顔は帽子の陰になってあまり見えない。アリスは怪訝そうに見つめる。
「あなたは誰?」
「さあ、誰でしょうね〜色々なお名前は頂きましたがそれらはすぐ捨てましたからね〜」
女性は笑ってそう言い、右手の平を上に向けて何か呟いた。すると右手の平に傘が産まれた。女性は傘を差した。アリスは警戒し、ゆっくりと少しずつ距離を置く。
「うわわ…私は不審者じゃないですよぅ〜私は唯の天才ですよ」
女性はそう言い、アリスに駆け寄る。だがアリスは歩くのを止めない。女性の眼に涙が溜まり始める。アリスは可哀想になり、歩みを止めた。
「そうそう、貴女何故人形屋が無くなったのか知りたいんでしょ?」
女性は尋ねる。アリスは頷いた、女性はそれを聞いてアリスの隣に座った。アリスは何もしなかった。
「あの人形屋を壊したのは貴女の家族よ、貴族に汚いモノは要らないんですって」
女性はそう言った。アリスは蹲って自分の世界を閉ざす。また、あいつらか–––––––––––––
アリスの心に黑いモノがどろどろと流れる。アリスの眼から光が消える。代わりに絶望というか空虚というか…形容しがたい何かが映る。あらら、これ中々良い素材じゃない?んじゃ使いましょか。
女性は即座に察して、鞄の中から瓶を出す。そしてアリスに差し出す、アリスは蹲ったまま震えるだけであった。女性はアリスの肩を触る、女性はある事に気付いた。ははーん、貴族さん達性格悪いねえ〜一生虐め回すつもりなのかね、んじゃそれから解放してあげましょっかね。女性はアリスの耳に口を近づける。
「貴女、貴族に因縁があるようね」
女性はアリスに耳打ちした、アリスは顔を上げる。顔はぐしゃぐしゃだった。だがそこには確かに笑みが浮かんでいた。女性は少し身震いした。こんな顔が出来るとは…女性には驚きしか出てこなかった。女性は何か呟く、声が小さく内容は聞き取れなかったが、たぶん魔法の詠唱だろう。女性がそう言ってアリスの肩を叩いた。その瞬間アリスに電撃の様なモノが走る、電流が眼に見えた。アリスは特に驚かない、いつもの遊戯である、特に何も感じなかった。だが、何か今回は違う、肩から何かが出て行く、アリスはそれを確認する余裕は無い。無かった、
「私の名前は、シュランゲン=リー。ま、覚えときなよ」
リーの声が聞こえた気がした。アリスは闇に沈んでいった。リーは倒れ込んだアリスを見る。
「さ、一仕事しますかね」
リーは言って、鞄の中の瓶を開け、中身を飲み干した。風に吹かれて紙が一枚飛んでくる。それはアリスの顔にべったりと張り付いた。それにはこう書かれていた。
狂気の道化師 シュランゲン=リー 発見の際は中央騎士団まで!
しばらく経ってアリスは眼を覚ます。そこは–––––––そう、自分の家、絶望の箱庭。ふと、下を見る。下には何か破片が散らばっていた。乳白色の破片である。それは––––––––––––理解する前に自分の兄が部屋に入る。手には上海人形が握られていた。顔は笑っていた。
「それ、間違えて踏んづけちゃったんだよ〜」
兄は笑って言う、アリスの眼には何かが映る。それが何かは本人しか分からない。だが一部我々にも察することができる、そのひとつが希望。
「何見てんだよ?」
兄はアリスに言う、アリスが兄に駆け寄る。兄はアリスを蹴る、だが蹴りは当たらず、蹴るために出した右足が急に見えなくなった。未だ見える所からは血が流れる。兄は足を抑えて悲痛の叫びを上げる。ヤバい、ヤバい兄の脳に危険信号が回る。表情はどんどん絶望に染まっていく。アリスは崩れ去った人形を見る。顔には悲しみが映る、それは人の悲しみでは無い。まるで、神の悲しみ。下界を憐れむかのような–––––。
「治して…あげなきゃ…みんなみんな習った裁縫で…
へへへ…」
アリスはブツブツ言いながら、人形に駆け寄る。そして何処からか出した糸と針で人形を縫っていく。腕のあたりから何か出ている。だが兄はそれを知るほど余裕は無い。あっという間に人形が治る。兄は魔法を放つ、魔法は綺麗な鳳凰であった。そう、炎魔法。鳳凰は咆哮を上げて、アリスにぶつかる。だが、アリスにダメージは無さそうであった。アリスは笑みを浮かべて兄に駆け寄る、兄は泣く。
「殺さ…ないで…」
兄は泣きながら叫ぶ、アリスは聞こえているのか聞こえていないのか良く分からないが、近づく。アリスは兄に近づく。兄は逃げようとするが、足が動いてくれない。そして兄の隣に座り込んで笑う。兄の顔には恐怖しか映らない。
「嫌だ止めて止めてお願い、なんでもするから許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい」
兄は懇願する、死にたくない。人の本能がそう叫ぶ、アリスは笑って兄の右眼に針を突き刺す。右眼から構成要素が流れる、兄は泣き叫ぶ。もうすでに失禁してしまっていた。アリスは何かブツブツ呟いている。兄は逃げようとする。足がずるずると動いてくれて、部屋から出られる。父さん助けて…兄はそう心の中で叫ぶ。
「私の人形返しなさいよ…お兄様」
アリスは言って。上海人形をひったくった。そして、兄の頭を踏みつける、下には固い床がある。アリスは頭を踏みつけ、無理やり兄を床に固定する。そこから紅い水が産まれる。兄はアリスに足払いをかける、思ったよりも呆気なくアリスは転倒する。兄は勢いよくドアを開ける。そして片足で何とか外に出る。アリスが後ろから追いかけてくる、アリスの顔は苦悶の表情?怒り?如何とも表現し難い作者泣かせの表情をしている。兄の方は単純、絶望、恐怖などなどのminusの感情しか持っていなかった。兄は叫びながら逃げる、だが誰も来る様子は無い。二人は走る。だが幾ら年齢が離れていようと、幾ら性別が違えど兄には脚一本分ハンデがある、 すぐに追い付かれる。アリスは兄を掴んで地面に振り下ろす。兄は綺麗な音を奏でて地面に叩きつけられる。兄の前歯は折れ、そこには空洞が出来ていた。兄の眼からは絶えず涙が流れる。
「人形屋さんを返して…」
アリスは冷たく言う、だが兄は横の燭台を掴みアリスに振り下ろす。だが、燭台が壊れただけでアリスにダメージは入らない、アリスは兄の上に馬乗りになる。
「お兄様…何で逃げるの?これは何時もの遊びだよ?」
アリスは言う、兄は泣き疲れて何の声も出せていなかった。兄は、何か口から漏らしたが、アリスには届かない。アリスは兄の右眼を見る、相変わらず構成要素は出ている。アリスはそれを見て憐憫の眼を向ける、そして腹に針を捩じ込んだ。腹は針を弾き返そうと血を出す。兄は足をジタバタさせる、アリスは足を抑える。兄は困惑の眼差しをアリスに向ける。
「だめだよ、お兄様。これは治療なんだよ!じっとしてないと駄目!確か腹に替えの綿が…」
アリスはそう言って兄の腹を針で一息に線を入れた、そしてそこに手を代入する。手は異常な温度で、兄は声にならない声をあげる。手は一瞬で真紅に侵食される。兄の脳が気を利かせ、意識をshutdownさせた。意識が暗くなっていった、そして二度と目覚めることは無かった。
うふふふふふ、治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃ治さなきゃアリスは腹を切開する。腹は真っ赤である、アリスは構わず手を入れる。中から道具を取り出す、肺、胃、大腸、小腸、肝臓、腎臓…あらゆる臓器を穿り出した。我々、読み手、書き手には臓器を餮唯の変態にしか見えない。だが彼女には邪な想いなど微塵も無い、ただ治そうとしているだけ。右眼が欠けた人形を。アリスはお医者さん、人形は患者さん。お医者さんは患者さんを治すの、確か腹の中に替えのパーツが…アリスは頭の中でそう唱えながら人形を解体していく、地面には紅い地図が描かれていた。それはどんどん広がっていった、緋はより深く進んでいた。
「彼の娘頑張っておるの〜ほほほ」
リーは言う、後ろと足の下には大量の兵士の死骸が転がっていた。それらは夕日に包まれて明るくなっている、だが当たっていないところは暗くなっていた。リーは死体の山から降りた。その瞬間何か寒気がした、後ろに何か居る。それも恐ろしい何かが、リーは恐る恐る後ろを振り返る。だが何も居ない。リーは溜息を吐いた、私今日ビビりすぎだな…リーはそう思って伸びをする。その瞬間視界に占める空の割合が急激に増加した、リーは驚いて首を回す。下には自分の身体がある。だがそれは下半身だけであった。口から何か出てこようとする、リーは口を開いてそれを排出する、それは血であった。リーは事の整理がつかないまま地面に落ちた。だが、顔を回して事を察した。
「フランドール、スカーレットか…」
リーはそう言い、周りの兵士と同じ場所へ旅立っていった。フランは周りを見る、前に巨大な城が見える。フランはそこへ飛んでいった。そして正面の壁を壊して城に入った。
「!?なんだ?」
王は叫ぶ、周りの兵士も騒めく。王は急いで、玉座から降りる。前から大臣が走ってくる、顔はとても焦っていた。兵士の騒めきも大きくなる。
「スカーレット家です!王早く逃げ…」
大臣の言葉が止まる、後ろが爆発し、大臣も爆発したからだ。後ろにはフランドール.スカーレットが居る。兵士は本を開き魔法の詠唱体制をとる、だがフランドールに一瞬で殺される。フランドールは王を見る。
王は眼を閉じた、二度と目が開くことは無かった。
アリスは笑っていた、治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った治った。やったやった、皆喜ぶ!アリスは緋い海から抜けた。その瞬間アリスに何かが襲いかかる、それは知能だ、知らない魔法のknowledgeが脳に流れ込む。The sea of knowledgeからアリスは一つの実を取った。アリスは手を動かした、すると引ったくった人形が動いた。アリスはそれだけで嬉しかった。
私は独り、人形達も壊された。空は頭おかしいのかな?晴れてる。アリスはラクトマンを見る。ラクトマンはゆっくりと近づいてくる、ああ私の事を殺す気なのだろう、顔には慈悲一つ無い。アリスは眼を閉じる。アリスとラクトマンの距離は遠く、しかも歩く速度がゆっくりなので、死までの時間が長い。アリスは眼を綴じる。死神の歩く音が聞こえる。
救えない、貴女は独り死んでいく。
気付くとアリスは椅子に縛り付けられていた。前には昔の魔女が居た、名前はあの時良く聞こえなかったので覚えていない。魔女はアリスの周りをグルグル廻っていた。前はプラネタリウムの様になっていた。星は綺麗であった。
「何よ貴女、ここは何処よ」
アリスは尋ねて、椅子から立とうとする。だが縛りはきつく、立ち上がれない。魔女は立ち止まる、そしてアリスに近寄る。顔はよく見えない。
まあプラネタリウムでも見なよ、面白いよ
魔女は言う、プラネタリウムは廻る。星から星に移り変わっていく、明るくなったり暗くなったり。アリスは何もする事なくぼんやりと眺める。一つだけ動かない星がある、それは–––––北極星だ。人は何時もそれを目印にしている。アリスはそれを見る、魔女はプラネタリウムの廻転を止める。プラネタリウムはピタリと止まる、先刻の上海とはえらい違いである。
あなたはあの北極星。誰かと共に在るでも無く誰かと共に動くでもなく、ただ存在する。
魔女は言う、アリスには少しだけ思い当たる節があった。だが、そんなものを気にする必要は無い。私には友達がいる、あの時とは違う。アリスは魔女を睨めつける、魔女は構わず続ける。
その友達は、本当の友達?貴女の自己満足ではなくて?
魔女は尋ねる、アリスは少し口籠もる、違う、アリスは魔女に答えた。魔女はアリスから少し離れてまたプラネタリウムを廻す。プラネタリウムは先程とは違い凄い速度で廻転している、一瞬で春の空、夏の空、秋の空、冬の空へと移り変わっていく、アリスはそれを見る。すると一つの星が北極星に近づく、そしてそれは北極星と見分けがつかなくなった。
貴女は北極星。代用は幾らでも利くのよ。
魔女は冷たく吐き棄てる。アリスは首を振る。そんなこと無い–––そんな事–––––––––––––––
「確かにそうかもしれない、けど。私には友達がいる、自己満足だから何よ、私は私よ」
アリスは答えた、魔女は指を鳴らした。すると、プラネタリウムの星が落ちてくる。魔女は消えた、すると正面にまるでビデオの早送りの様な映像が垂れ流される。その映像は、何人かの人間が机を運んでくる、映像。恐らく裁判所を作っているのだろう。アリスはそう思う、実は何人かサボっているがアリスは気づいていなかった。横から色々な人物が入ってきた。そしてそれぞれ所定の位置に座る。だが、弁護士が居ない。傍聴席は満席なのに。
そう、これは裁判よ。貴女の罪を墓る場所
魔女はそう言い、座っていた裁判官を蹴り飛ばして空いた席に座った。そして横の鎚で机を叩いた、裁判が始まる。アリスは馬鹿らしくなり俯いた。
それでは検察は刑を述べて下さい
横の検察と呼ばれた男は本を開いて、中のものを読んだ。その口調は淡々としていた。スーツは白く、ネクタイは黒い。髪は長髪であった。
被告人は殺人を行っています。しかし証拠が御座いません。以上、証人喚問で判断するので、証人喚問の方をお願いします。
検察官がそう言うと、二人の女性が入ってくる。アリスは顔を上げる。その女性は霧雨魔理沙、パチュリーノーレッジ。アリスの良き理解者であり、友人。二人の表情は悲しげであった。アリスは必死で体を動かす。助けてほしい、このままじゃ殺される。だが、縄はきつくアリスは無様に転ける。二人は台の後ろに立った。アリスは芋虫の様に這って二人に駆け寄る、私を独りにしないで–––––––––––––––––
被告人は確かに人を殺しています
パチュリーは言う。アリスは眼を開く、そして這いずりを止める。え?何を言っているのパチュリー聞いてなかったの?嘘をつけば私は助かるのよ、てか有罪だから何なのよこれは夢そう悪い夢。アリスは自分に言い聞かせる。パチュリーは続ける、魔理沙は前を向いている。その双眸の先には裁判官が居た。裁判官は真面目は表情をしていた、アリスは顔を回して傍聴席を見る。傍聴人は全員静かで顔も真剣である。
私は長い期間この者の元で友達ごっこをしていました。
は?アリスは口に出して、そう言う。その瞬間縄が弾け飛んだ、アリスはパチュリーに駆け寄る。裁判官は何も言わない。外には巨大な赫い月が昇っていた。アリスはパチュリーを掴んで言う。
「何言ってるのよ!パチュリー!私が人を殺すわけ」
だがパチュリーの表情は変わらない、無であった。
貴女は殺している、ねえ、魔理沙?
ああ、そうだぜ。
その後も答弁が続いたが一向にアリスが殺人を犯したということが覆らなかった。アリスは頭を抑える。嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌何故かは判らない、ただ嫌だこの先に何か恐ろしいものが待っている気がする。アリスは察する、また過去のフィルムが再生を始めた。アリスの目に映像が映る。
何時ぞやのお花畑だ幼いアリスは人形を治す、昔の思い出だ。周りには沢山の道具がある。その後のことはよく覚えていない。すると映像にノイズが入る。一瞬だけ人形が別のものに見えた、血塗れの兄に。アリスは眼を擦った、だがそれは見えない。目の錯覚、そうだきっとそうアリスは言い聞かせる。だがそれをした瞬間またノイズが入る、今度は道具が臓器に見える。アリスは目を瞑り、また自分に違うと言い聞かせる。そして目を開ける。するとそこには真実が映っていた、少女は兄を直していた。道具を器用に使って、兄の傷を直していた。大腸を身体に巻きつける、小腸を口の中に乱雑に詰め込む。アリスは耳を塞いでしゃがみ込む。また場所が移り変わっていく。
もう止めて––––––––––お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い
気付くと深い闇の中に居た、裁判所ではなかった。周りにはパチュリーと魔理沙がいる。手を伸ばす、しかし届かない。手は空を切るばかり。
貴女は人殺し。貴女は人殺し。貴女は人殺し。
二人は声を出す、アリスは二人に駆け寄ってそれを消そうとする。まずパチュリーの口を封じる、パチュリーは手を離そうとする。魔理沙もアリスを剥がそうとする。それをさすまいと必死だった。人殺しなんかじゃない。人殺しなんかじゃないの私は、そうしてパチュリーを突き飛ばした。パチュリーは地面に激突する、パチュリーの頭から紅い海が産まれた、目はカッと見開かれていた。顔は横になっていた。パチュリーは動かなくなった。アリスは魔理沙を見る。魔理沙は逃げようとする、アリスはすぐに追いつく。魔理沙は逃げる。
人殺し!人殺し!人殺し!人殺し!
魔理沙は狂ったように言う、アリスは魔理沙の首を掴んで一思いにへし折った。魔理沙の口から声にならない声と涎が漏れ、魔理沙は地面に伏した。紅い海は産まれなかった。アリスはしゃがみ込む…もう訳がわからない。展開が速すぎる……。
私が殺した…大丈夫これは幻影、幻影、幻影、幻なのよ。魔女が私を嵌めようとしているだけ、魔理沙達がこの程度で死ぬわけないじゃない。うふふ…でもあの人を殺した時の感触…気持ち良かった…温度、表情、断末魔、それら全ての要素が心地良い、一瞬私の孤独が紛れた…孤独は嫌だ。冷たい何も無い。死にたくない、一人になりたくない嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌人形が欲しい、私の孤独を消して下さい。消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい消して下さい。ああ、そうだ––––––––––––––––––––思い出した。私は人殺しなんかじゃない。ただ独りで居たくなかっただけ、どんな形でも人の温もりが欲しかった––––––––––––––––––––––。
寒い寒い寒いよ、誰か私を温めて。前の闇がどんどん壊れていく、そこから青い液体が流れ出てくる。それはとても冷たい。寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
また–––––––––––––––––––––––––––繰り返す。文脈と過去を
ラクトマンは背中を向けて歩き去っていた。後ろには斬り刻んだアリスが居た。首を落とし、手も斬り刻んだ。後ろから物音がした、ラクトマンが後ろを振り向いた。アリスだった肉片が蠢いた。次の瞬間アリスの傷が再生する。そしてアリスは立ち上がる、だが下を向いたままであった。ラクトマンは指を鳴らした、上から何か降ってくる。それは剣であった、ラクトマンは剣を握り、アリスに剣先を向ける。
「これは私が直々に造った剣だ。使うのはお前が初めてだ」
ラクトマンはそう言う、アリスは顔を上げる。見た目が少し違う。金髪だった髪の中には黒い髪が混ざっていた。しかも眼鏡を掛けている。レイと同じ闇を固着させたような色の眼鏡を。左目は碧では無く、金色になっていた。金は鈍く光っていた。
「独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで独りにしないで」
アリスは呪詛の様に呟く、アリスの頭に沢山の人物がよぎった、魔理沙、パチュリー、霊夢、にとり、文、レミリア、フラン、早苗、神奈子、永琳、輝夜、てゐ、優曇華、諏訪子…色々な住人が頭に浮かんでは消える。嫌だ嫌だ消えないで、お願い。アリスは唱える。
そしてラクトマンを見る、あの人なら暖かいのかな?あは、うふ。楽しみ〜アリスは頬を緩ませる。
アリスは身構える、ラクトマンは剣を握りしめる。
剣は何時もより冷たかった。
長過ぎました、申し訳御座いません




