第二話 もっと強くならないと
「それでは、帝国歴726年度アルカディア帝国学院の入学式を開始します!まずはアルカディア帝国学院学院長からのお言葉です。」
ここアルカディア帝国学院は、国が誇る最高峰の名門校。
ここには毎年国中の優秀な生徒が集まり、どんな生徒でも入学さえできれば卒業後の未来は保証される。……なんて言っておきながら私は処刑されたけれどね。まぁ、皇帝陛下は暗殺したのなら当然だわ。
ちなみにこの学院では、五大貴族が使う事ができる「魔法」が大きく評価される。おっと…。確か五大貴族の事はまだ説明しいなかったわね。
——五大貴族。それはこの国で魔法が使える家系のこと。風属性の家系ネスティン伯爵家、地属性の家系ロセッティ侯爵家、水属性の家系ヴァルフレア公爵家、火属性の家系我らがアルデリア公爵家。以上四つの家門が代々皇帝に仕え、この国を支える。そして残りのもう一つ、それはもちろん王族。光属性の家系シュエル家だ。
この五大貴族に生まれた者たちは皆生まれつき掌に「属性の紋章」が描かれている。
そのため、我が一族の掌には火属性の象徴である「赤の紋章」が描かれている。のだが……私の掌にだけ「水色の紋章」が描かれているのだ。
はぁ、紋章は黄・赤・青・茶・緑の五色だから私の紋章はどれにも値しないのよね…。
そんな中でも私がこの学院へ入学できたのはきっと私がアルデリア家の長女であり後継者だからだろう。
でも、私が魔法を使えないってなると復讐も色々と面倒なのよね…。相当な実力をつけないと魔力を持つお父様やお母様、ローラには勝てっこないもの。
生徒も教師も五大貴族の前では大して力を持たない。実質この国を牛耳っているのは五大貴族だ。まぁつまり、悪く言ってしまえば魔法を使えないものを味方につけたところで意味がない。
そこで私が思いついた計画がこちら、
「通称、五大貴族の友達をこの学院で作ろう計画!」
え…?こんなの誰にでも思いつくって?……そりゃ失敬。
じゃなくて!とにかく私はこの学院生活のなかで魔法が使える友達や味方を作らなければならない。それも、根性と勇気のある方。っていうことは結構な好物件よね…。
って思ったけど、案外そうでもないかも?五大貴族に入るくらいなんだから、幼い頃からしっかりと色んな部分においてちゃんとした教育を受けているはずだわ!それに、運の良いことにここ三年間で、五大貴族の後継者が一斉に入学して来ている!!これ以上ない大チャンスね!まぁうちのローラみたいなのは例外だけど……。
となると、もしかしてこの計画、結構容易なのでは…?
はぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙。全っ然、五大貴族が見つからない!!
五大貴族は魔力が使えるから人々の注目を浴びている時間がほとんど。だからその後継者は見つけやすいと思ったのだけれど…。いやまぁ、これも想定内ね。
昨年、私の婚約者である第二皇子、アンデス・フォン・シュエル殿下が入学。そこからこの一年間は彼の取り巻きが増え続け、注目されているのは彼ばかり。
なぜあんなアホ皇子が注目されるんだか…。おっとつい本音が。
私はその日は五大貴族を探すのを諦め、午前中に行われた入学式が終わってから真っ直ぐ家へ帰った。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、ミレーゼ様」
ふぅ…。思ったより疲れたわ。にしても、出迎えも一人とは。きっと一度目の人生の時の私は、自分を無価値だと思い続けてきたからこれも当たり前の気がしてたのね。
出来ればすぐに寝てしまいたいところだけど、そういうわけにもいかないわよね。私にはやらなければいけないことがあるもの。まずは……知識を増やすところからね!
本を読むために書庫へ向かう。我が家は言っても五大貴族の内の一つ…。案外屋敷も広いのよね。
書庫につくとそこには何万本もの本が広がっていた。一度目は家庭教師の先生に言われてしか読んだことがなかったけれど、書庫ってこんなに広いのね…。とりあえず今日は、植物の本でも読んでおこうかしら!
……はっ、気が付いたら三時間も経ってるわ!!ということは今は…四時?!もうすぐ家庭教師の先生が!って…今はもう家庭教師いないんだった…。
はぁ、お父様に言って早くつけてもらいましょう。知識があるに越したことはないわ。とはいえ一度目の人生でやったことはだいたい覚えているのよね。ん?ということはこれはもしかして…逆にチャンスなのでは?一度目の人生と同じ量、いやそれ以上の量違うものを学習できる!そうと決まったら早速お父様に頼みに行かないと!
私はお父様の書斎に着くと勢いよくドアを開ける。
「お父様!!家庭——」
「何事だ急に!今は仕事の時間だぞ」
そういえばそうだった…。ローラが高校に入学するというだけの理由で来年時間を変えるのよ、貴方。
「それは…申し訳ございません」
「ふんっ、まぁいい。何の用だ」
「お父様、私に家庭教師をつけて欲しいのです」
「それは無理な願いだな。お前は才能がないんだから、お前に費やす金などない」
「…ですが!」
「この話はもう終わりだ!口を慎め」
「っ…。申し訳ござ…」
…申し訳ございません。はぁ、これじゃあ一度目の時と同じだわ。復讐すると決めたんだもの。もっと、強くならないと!




