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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
123/195

第123話 瓜二つがいっぱい



 「さあ、入って」


 アスターシャの後に続き、通用門からレイラも豪邸に入る。


 ものすごく広いスペースだ。レイラは、周りをキョロキョロ。


 広い前庭。


 正面に、堂々たる城館(シャトー)。息を呑む美しさだ。


 城館(シャトー)の扉が開き、2人は中へ。


 「お帰りなさいませ、お嬢様」


 恭しくメイドが出迎える。


 やはり間違いなく、アスターシャはここのお嬢様なのだ。


 内部も見事な作りである。


 「こちらは私の友達よ。私たち、ポーチでお茶するから。お茶、持ってきてくれる」


 「かしこまりました」


 メイドは恭しく、無駄のない仕草でスカートを翻し、消えた。



 ◇



 「さあ、レイラ、ようこそ。来てくれてありがとう。我がアルデランタ家のおもてなし、しっかりと受けてね」


 アスターシャ、浮き浮きとしている。


 2人は、ポーチにいた。


 明るく陽が降り注ぐ、広いポーチ。


 おしゃれな椅子と(テーブル)に、2人は腰掛けている。


 まもなく、メイドがお茶を運んできた。


 香りからして違う。高級な茶葉を使ってるんだ。


 「さ、どうぞ。レイラ、楽にしてね」


 アスターシャ、うふ、と笑い、お茶を飲むレイラをじっと見つめている。


 見つめられるレイラは、やはり落ち着かない。自分と瓜二つのミルの面影を、この少女は追い求めているんだ。


 「どう、私の家は」


 アスターシャが、訊いてくる。


 「うん、すごいね」


 レイラは、率直に感想を言う。豪邸。城館(シャトー)。それ以上、言う事は無い。


 「なんて言ったっけ、えーと」


 「アルデランタ家よ」


 「そっか。アスターシャ、あなたは、この家のお嬢様なのね?」


 「ええ」


 と、アスターシャは、微笑む。


 「今はね」


 「今は?」


 アスターシャは、ちょっと肩をすくめて、


 「私がこの家のお嬢様になったのは、半年前のことなの。それまで、私はこの家とは何の関係もなかったの」


 なんだ? レイラは、またまた、面食らう。身の上話か。いろいろ事情、訳ありな気はしていたけど。


 アスターシャは、前庭の向こうの道を、見つめる。さっき抱きついてきたところ。


 「私、このポーチが好き。お気に入りの場所なの。ここから、外の道路を見るのが好き。だって、このポーチが、私をこの家に結びつけてくれたんだもん。そしてレイラ、あなたとも」


 「ポーチが?」


 「うん、そうよ」


 アスターシャ、レイラに視線を戻す。


 「私の今のお母様、この家の(あるじ)がこのポーチで午後のお茶をしていた時、家の前を通る私を見つけたの。私は、お母様の死んだ娘とそっくりだったの。お母様は、道に飛び出してきて、私に抱きついたの。そして、うちの娘になってくれって言ったの。それで、私はこの家のお嬢様になったの」


 レイラ、ぽかんと。


 要するに、アスターシャは、この大金持ちのアルデランタ家の養女になった、そういうことなんだ。半年前に。家の当主の死んだ娘と、そっくりな顔、瓜二つだという理由で。


 さっきから。


 瓜二つが多いな。


 死んだアルデランタ家の娘と、アスターシャが、そっくりの瓜二つ。


 で、アスターシャの双子の姉のミルは、二卵性だから、アスターシャとは顔が違い、レイラと顔がそっくり、瓜二つ。


 瓜二つが、いっぱいだ。



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