第123話 瓜二つがいっぱい
「さあ、入って」
アスターシャの後に続き、通用門からレイラも豪邸に入る。
ものすごく広いスペースだ。レイラは、周りをキョロキョロ。
広い前庭。
正面に、堂々たる城館。息を呑む美しさだ。
城館の扉が開き、2人は中へ。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
恭しくメイドが出迎える。
やはり間違いなく、アスターシャはここのお嬢様なのだ。
内部も見事な作りである。
「こちらは私の友達よ。私たち、ポーチでお茶するから。お茶、持ってきてくれる」
「かしこまりました」
メイドは恭しく、無駄のない仕草でスカートを翻し、消えた。
◇
「さあ、レイラ、ようこそ。来てくれてありがとう。我がアルデランタ家のおもてなし、しっかりと受けてね」
アスターシャ、浮き浮きとしている。
2人は、ポーチにいた。
明るく陽が降り注ぐ、広いポーチ。
おしゃれな椅子と卓に、2人は腰掛けている。
まもなく、メイドがお茶を運んできた。
香りからして違う。高級な茶葉を使ってるんだ。
「さ、どうぞ。レイラ、楽にしてね」
アスターシャ、うふ、と笑い、お茶を飲むレイラをじっと見つめている。
見つめられるレイラは、やはり落ち着かない。自分と瓜二つのミルの面影を、この少女は追い求めているんだ。
「どう、私の家は」
アスターシャが、訊いてくる。
「うん、すごいね」
レイラは、率直に感想を言う。豪邸。城館。それ以上、言う事は無い。
「なんて言ったっけ、えーと」
「アルデランタ家よ」
「そっか。アスターシャ、あなたは、この家のお嬢様なのね?」
「ええ」
と、アスターシャは、微笑む。
「今はね」
「今は?」
アスターシャは、ちょっと肩をすくめて、
「私がこの家のお嬢様になったのは、半年前のことなの。それまで、私はこの家とは何の関係もなかったの」
なんだ? レイラは、またまた、面食らう。身の上話か。いろいろ事情、訳ありな気はしていたけど。
アスターシャは、前庭の向こうの道を、見つめる。さっき抱きついてきたところ。
「私、このポーチが好き。お気に入りの場所なの。ここから、外の道路を見るのが好き。だって、このポーチが、私をこの家に結びつけてくれたんだもん。そしてレイラ、あなたとも」
「ポーチが?」
「うん、そうよ」
アスターシャ、レイラに視線を戻す。
「私の今のお母様、この家の主がこのポーチで午後のお茶をしていた時、家の前を通る私を見つけたの。私は、お母様の死んだ娘とそっくりだったの。お母様は、道に飛び出してきて、私に抱きついたの。そして、うちの娘になってくれって言ったの。それで、私はこの家のお嬢様になったの」
レイラ、ぽかんと。
要するに、アスターシャは、この大金持ちのアルデランタ家の養女になった、そういうことなんだ。半年前に。家の当主の死んだ娘と、そっくりな顔、瓜二つだという理由で。
さっきから。
瓜二つが多いな。
死んだアルデランタ家の娘と、アスターシャが、そっくりの瓜二つ。
で、アスターシャの双子の姉のミルは、二卵性だから、アスターシャとは顔が違い、レイラと顔がそっくり、瓜二つ。
瓜二つが、いっぱいだ。




