92ーパンケーキ
「ロディ、盗賊団に捕らわれていた人達がいたぞ」
「ユリシスお祖父様、本当ですか!?」
「ああ。あの森の中で檻に入れられていたんだ」
「なんて酷い事を……」
「お義父様、その人達はどこですか?」
「ああ、兵達が連れてきた」
「すぐに着替えと食事を」
と、母がメイドさん達に指示を出す。
「ロディ、牢は空いているか?」
「ええ、大丈夫です。ディオシスお祖父様、ご無事で」
「大した事はなかった。それより、トレントが出たんだ」
「トレントですか!?」
あ、そうだ! パンケーキだ!
「サキ、調理場に行こう!」
「はいぃ! お嬢さまぁ!」
「俺も!」
走る俺と咲を、霧島は飛んでついてくる。
早く飛べる様になったな。前はフワリフワリとしか飛べなかったからな。
俺達は調理場で早速出した。ドドンとテーブルにいっぱいの、蜂蜜とメープルシロップをだ。
「パンケーキ作って欲しいの!」
「お嬢様、承知しました! これだけあれば、たっぷり使えますね」
「ね、いいでしょう! みんなの分もお願いね。着替えてくるわ」
「俺も食うからな!」
「えぇ〜! キリシマ、パンケーキ知らないのにぃ」
「うっせーんだよ。サキが美味いって言ってたじゃん」
「美味しいわよぅ」
「なら、食うさッ!」
話しながら調理場を出て部屋へと向かう。さっさと着替えたいんだ。
「お嬢さまぁ、ノワは良いんですかぁ?」
「いいわよ。母さまが抱っこしてるでしょう」
「ですねぇ」
さて、着替えたよ。いつもの普段着用のワンピースだ。皆はどこにいるんだろう? 部屋の前で隆が待っていた。
「お嬢、談話室ッス」
「そう。行くわ」
サキはまだ着替えているんだ。先に俺を着替えさせてくれたからな。
リュウと2人で、談話室へと向かう。
「あの盗賊団は何がしたかったんスかね? 簡単に討伐できたッスね」
「そうね。森の中だったし、トレントが出てきたのも大きいな」
「そうッスね。半分はトレントにやられてたッスね」
「ね、森をよく知らないからよ。あたしも良い経験になったわ」
「俺もトレント見たのは初めてッス」
「珍しいらしいからね。あ、キリシマどこ行った?」
「もう談話室にいる筈っス」
「おう」
「お嬢、時々出るッスね」
「え? 何が?」
「若っぽさがッス」
「え? そう?」
「時々ッス」
隆が少し懐かしそうな眼をする。まあ、記憶が戻って直ぐの頃よりはマシだろう。俺自身もかなり慣れてきた。今世、女なんだから仕方ねーさ。
談話室に入ると勢ぞろいだったよ。霧島とノワもいる。
「アン!」
ノワが俺を見つけて尻尾をフリフリしながら走ってきた。可愛いなぁ、おい。
「ノワ、お利口にしてた?」
「アン」
会話ができるんだよ。凄いね。
「ねえ、ココちゃん。ノワちゃんは私達の言う事を理解できるのね?」
「母さま、そうなんです。お利口さんですね」
「ココ、フェンリルなんだから当然だよ」
「兄さま、そうなのですか?」
「ワッハッハッハ! ココはまだフェンリルを知らんか!?」
「はい、ユリシスお祖父さま。全然知りません」
フェンリルとは、森で最強の守護者。それは何度も聞いた。そして、知能が高いのだそうだ。
俺は、テイムしたからノワと話せる。そうでなくても、フェンリルは人が話している事を理解できるのだそうだ。成長すれば人の言葉も話せるそうだ。ファンタジーだよな。
そして、フェンリルは誰にも仕えない。孤高の王なんだそうだ。
いやいや。俺、めっちゃ普通にテイムしちゃったよ?
「ココ、だからだよ。本当に珍しいんだ」
「さすが、ココだ!」
「お嬢らしいじゃねーか!」
うん、じーちゃん達は俺を可愛がってくれているからね。欲目で見ている。偶然だよ。たまたま助けたからだろうよ。
「アンアン!」
「ん? ノワ、違うの?」
『ココの魂は違うんだ! だから俺、良いと思ったんだ!』
「そうなの?」
「こいつも分かってんじゃん」
霧島よりは賢いらしいな。
「何言ってんだ! 俺だって分かってんだよ!」
うっそだぁ~。
「ココー! 俺には超塩対応じゃん!」
「ふふふ、そんな事ないわよ」
「ふふふ」
ほら、王子も笑ってるよ。
「これから尋問すれば少しは分かる事もあるだろうよ」
「そうですね」
やっぱ尋問するんだ。そりゃそうだよね。
そこにメイドさんに連れられて、盗賊団に捕らわれていた人達が部屋に入ってきた。1番年上らしいお姉さんが言った。
「あ、あの。私達こんなところにお邪魔しては……」
「何を言っているの。構わないわ。大変だったでしょう? さ、座ってね」
母がそう即す。でも遠慮してか気後れしたのか、なかなか4人は動かない。
「こっちにどうぞ」
俺が手を伸ばして誘ってみた。おずおずと申し訳なさそうに移動してくる4人。
「あら、綺麗になったわね。さ、座って」
と、猫獣人の小さな女の子を抱っこして座らせる。と、やっと後の2人も座った。
「メイドさん達によくして頂いて、クリーンもしてもらったんです」
「そうなの。綺麗になったわね。もう大丈夫ですよ。ちゃんと送り届けますからね」
と、母が言うと2人は嬉しそうだ。待っている家族がいるのだろう。
そこにお待ちかねのパンケーキが運ばれてきた。咲もお茶をワゴンに乗せて入ってきた。うちはさ、こんな時は皆で食べるんだ。主従関係なしだ。
ああ、パンケーキ焼こうかなぁ。食べたくなってきた!
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