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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第7章 解呪

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250/251

250ー発売記念SS 勉強家?

 お嬢に若だった頃の記憶が戻って数日。お嬢は何をしているかというと、お邸の書庫に入り浸っている。

 せっかくの良い天気なのに。庭では奥様の好きな花が我先にと咲き誇り、緑が青々としている。ほんの少し海の匂いが混じった爽やかな風が心地よくて、日差しは柔らかだ。

 こんな良い気候の季節に、なんでずっとお邸に籠って読書なんだよ。

 姉貴はいそいそと、書庫のあちこちから分厚い本を持ってきている。俺は手持ち無沙汰で、ボーッと窓から外を見ていた。これは眠くなるなぁ、なんて思っていたんだ。


「リュウ、なにもしないなら旦那様と一緒に鍛錬してきたらぁ?」


 姉貴だ。なんもしないというよりも、なんにもすることがないんだって。


「だって、本ってさ。姉貴、お嬢はずっと何やってんだ?」

「やだぁ、リュウったらそういうとこ鈍いわよねぇ」


 なにがだよ。教えてくれないと分かんねえっての。


「リュウ、俺は思い出したばっかじゃん?」

「そうッスね」


 姉貴と俺の会話を聞いて、お嬢が本から目を放した。俺たちだけの時は気が緩むのか、若が顔を出す。


「だからな、この世界や領地のことを勉強してんだよ。ほら、俺ってぼんやりとしか覚えてないからさ」


 お嬢は若の記憶が戻って、それまでのお嬢だった記憶が曖昧になっているらしい。お嬢、いや若は絵本作家だった。

 だけど大学生でもあった。結構、頭の良い大学だったんだ。俺や姉貴なんて逆立ちしても入れないような大学だ。わりとチャラい見た目のくせして、本当は頭が良いなんてズリーよな。


「で、今は何読んでるんッスか?」

「これだよ、『辺境伯領にいるかも知れない魔物たち』」

「なんスか、それ?」

「前世で例えると図鑑だな。この領地に生息しているかも知れない魔物の図鑑だ」

「けど、いるかも知れないなんスよね?」

「そこがアバウトだよな」


 そんなもんあったのか? てか、そんなの見てどうすんだ?


「魔物ってさ、俺たちにとっては脅威じゃんか。けど、何か良いこともないかな~なんて思ってさ」


 魔物が良いことなんてあるのか? いや、稀にだけどあるか。


「お嬢、トレントとかッスか?」

「なんだそれ?」

「トレントって木の魔物ッス。あれは色々落としますし、木が超硬いんッス。ほら、シゲ爺の杖もトレントですよ」

「ほうほう」


 お嬢が手に持っていた分厚い本をペラペラとめくる。


「ああ、これか。なになに……ベジトレントに、ロックトレント。なんだそれ?」

「ベジトレントは時々見るッスよ。木に野菜が生っていて倒しても野菜を落とすんッス」

「ほう、だからベジか」

「そうッスね」

「で、ロックトレントは石かよ?」

「石と言っても宝石や魔石ッスね」

「なんだそれ、超ラッキーじゃん」

「そうッスね。けどロックの方は、俺はまだ見たことないッスよ」

「ほう~」


 お嬢がペラペラとページをめくる手を止めた。そしてガバッと本にかぶりつき目を輝かせた。あれだ、こういう時のお嬢は何か良いものを見つけた時だ。

 いかんな、また何かやらかしそうな予感がビシバシするぜ。


「ちょ! サキ、リュウ! ちょっとこれ見てくれよ!」

「なんですかぁ~?」


 姉貴と一緒に覗き込む。そのページにはモサッとした大きな蜘蛛が描かれていた。なになに? セリスアラーネア? そんなの聞いたことないぞ。森に何度も入ってるけど、見たこともない。本当に生息してんのか? だって、いるかも知れないってことは、いないかも知れないじゃないか。


「これ! いいじゃん! 超いいじゃん!」


 蜘蛛の何がいいんだ?


「ばっか、リュウ。分かんねーのかよ! ここ読んでみな!」


 魔物だけど、蚕みたいに糸で繭を作る。いや、蜘蛛なんだろう? 意味不明だ。

 繭から絹のような糸が取れる蜘蛛。しかも、超デカイ。体長はおよそ50~60センチ、脚を広げた際の幅はなんと1メートル。脚が細くて長いタイプじゃなくて、タランチュラの様にもっさりと毛が生えている。だが、毒はなく無害だと。

 それに、何故か身体が白い。繭から取れた糸は、絹のように軽くて丈夫。しかも艶やかでしなやかだけど適度な伸縮性もあり、状態異常無効の効果を得られる。


「え、マジッスか?」

「な! いいだろう!?」

「けどぉ、聞いたことないですよぅ?」

「おう、珍しいらしいな。この領地にしか生息しないんだって。しかも臆病だから人の前には出てこないらしい」

「だから見たことも聞いたこともなかったんスか?」

「だろうな。けどいるんだ、多分だけど。これ領主隊に捜索してもらおうぜ!」


 ええー! 領主隊も良い迷惑じゃん! 超面倒じゃん!


「ばっか、リュウ! これで生地を織ってみな? それで服を縫えば状態異常を無効にする服のできあがりだ。それで領主隊の隊服を作ったらいいんじゃね?」

「お嬢、そう簡単にいかないッスって」

「分かんないだろう? 隊服じゃなくても下着を作ってみんなに配ったらさ、みんな簡単に状態異常を無効にできるぞ」


 まあ、そりゃそうだけど。

 俺の嫌な予感通り、そのあとすぐにお嬢はロディ様に相談して領主隊を動かした。そして、領主隊もまた見つけてくるんだよ。いるかも知れないと本にあった蜘蛛の魔物をさ。本当、この地の領主隊は有能だ。


「げ、でかッ!」

「お嬢さまぁ、気持ち悪いですぅ」


 いやいや、せっかく捕獲してきてくれたのにそれはないぜ。

 そうして俺たちは、それからセリスアラーネアから糸を取り生地にし、まずは旦那様のボクサーパンツを作った。結局こうなるんだ。俺たちは巻き込まれる。

 こんなところは前世から一緒だ。前世でも若の思いつきで絵本を作り、それがヒットし賞までもらってた。

 俺たち姉弟も若のアシスタントとして動かないと、締め切りに間に合わないとか言われてバタバタしてた。

 今回もそうだ。小屋の小さな部屋に山のように積まれた、まだ糸にもできていないセリスアラーネアの繭。これからどんだけ作るんだよ? て、不安になるのは俺だけか?

 それでもお嬢が考える基本は、いつも皆のためにだ。今回だって領地のために、領民のために。それが一番にある。

 だから俺たちは抗えない。協力を惜しまない。お嬢のイキイキとした、嬉しそうな笑顔を見ると嬉しくなる。

 こうしてお嬢は、これからどれだけのことを仕出かすのか? 楽しみであり、ちょっぴり不安でもある。

 できたらお嬢、少し手加減してくれたら嬉しいな。

 今世でも、お嬢についていくからよろしく頼んます。

お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


念願のココちゃんが!本日発売でっす!

keepout先生のイラストがキラキラ光ってます✨

ほら、ほ〜ら!買いたくなる〜!買ってしまうぅ〜(^◇^;)

たくさんの方に、手に取っていただけますように!

よろしくお願いいたします!٩(๑˃ ᵕ ˂ )و

挿絵(By みてみん)

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