蛇足
『世界は平和になり、二人は幸せに暮らしました』
私が邪魔をしても結局治収まるところに収まった。
もしかしたら最初から私が介入しなくたってこの二人はくっついていたかもしれない。
「認めたくありませんけど、私が勝手に話をややこしくしたってことですか」
「そういうことですね」
「……でも、兄さんまで介入してくるってどういうことですか?」
悪気なく軽い口調で相槌をうつ兄を睨みつけた。
「お前に託された魂とは言え、私は私の世界で彼らの様子を見ていましたからね。いいところで邪魔されて哀れだと思いますし、私の世界の秩序の為にお前の世界に送り返してしまったことも多少は悪く思っているんです」
「だから、彼の手助けをしたと? 兄さんが邪魔をしなければ上手くいっていたのに」
「我が妹よ。嘘はよくありませんよ。お前、闇の王の力に呑まれていたでしょう」
「呑まれていないです」
「まったく嘆かわしいことです。高次元の存在の癖にただの世界の一部である存在に遅れを取るなんて」
「煩いです」
「あのままではお前の世界をお前自身で滅ぼすところでしたよ。まあそれはそれで面白いですけど。私が責任取らされたら困りますからね。手助けしてあげたのだから感謝しなさい」
我が兄ながら腹立たしい男だ。普段は私に興味がなさそうにしている癖に私が何かやらかしそうなときは介入してくるのだから。
「拗ねてます?」
「……どうして私が拗ねないといけないんですか!」
「まあまあ落ち着きなさい」
「私は世界の編集作業で大変なんです。兄さんは自分の世界の観測でもしていたらいいじゃないですか!」
「私が何をしに来たと思っているんですか? 可愛い妹の為に人肌脱ぎに来たんですよ」
「…………勝手にして下さい」
ふん。少しは良いところもあるじゃないですか。
ぶっきら棒にそう言うと兄はにやりと笑った。
「それにしてもお前、世界の観測者を名乗るのではなく番人を名乗ってはどうです? そっちの方が格好良くないですか?」
「は? 観測者の方が格好良いですけど?」
前言撤回。やはり兄のことは好きになれそうもない。




