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私、ただの料理人なんですけど、どうやら世界を救ってしまったらしいです  作者: 時雨
第一部:能ある料理人は爪を隠したいけど隠せない

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第二十四話:根源の洞へと続く道

 レオン、ガルム、クラウス、そしてエルフの戦士アリアの四人は、世界樹の根元にぽっかりと口を開けた不気味な洞窟の入り口に立っていた。中からは淀んだ魔力と腐臭が漂ってくる。


「この先は、我々エルフでさえほとんど足を踏み入れたことのない未知の領域だ。穢れから生まれた魔物が多数生息している。油断するな」


 アリアが短剣を抜きながら警告する。彼女の動きには一切の無駄がなく、森と共に生きてきた戦士の凄みが感じられた。


「承知している。連携を密にして進もう」

 レオンを先頭に、一行は暗い洞窟へと足を踏み入れた。


 洞窟内部は、世界樹の巨大な根が壁や天井を形成し、迷路のように入り組んでいた。足元には穢れの粘液が溜まり、不気味な光を放つ苔が唯一の光源となっていた。


 しばらく進むと、前方にうごめく影が現れた。

穢れの粘液から生まれたスライム状の魔物、『タール・スライム』の群れだ。


「俺が行く!」

 ガルムが真っ先に飛び出し、ハルバードを横薙ぎに一閃する。物理攻撃はスライムには効きにくいが、彼の豪腕から繰り出される一撃は、魔物たちを壁に叩きつけ、動きを鈍らせた。


「アリアさん、タールスライムは火に弱いですよ!」

クラウスが敵の弱点を叫ぶ。アリアは即座に矢筒から火矢を取り出し、流れるような動作で番えると、正確にスライムの群れへと撃ち込んだ。炎を上げたスライムは、断末魔の叫びと共に蒸発していく。


「見事な連携だ」

レオンは感心しながらも、残った敵を的確に処理していく。幸先の良いスタートだったがこれはまだ序の口に過ぎなかった。


 洞窟を進むにつれ、敵はより強力になっていく。硬い甲殻を持つ昆虫型の魔物、音もなく背後から襲いかかる爬虫類型の魔物。だが、四人の連携は完璧だった。


 ガルムが屈強な肉体で敵の攻撃を受け止める『盾』となり、レオンとアリアが俊敏な動きで敵を切り裂く『剣』となる。そしてクラウスが、戦況を冷静に分析し、的確な指示と魔法で仲間を支援する『頭脳』となる。異なる戦闘スタイルの四人が、互いの長所を活かし、短所を補い合いながら、着実に洞窟の奥深くへと進んでいった。


「それにしても、あんたたち『外の者』は、本当に強いのだな」

 戦闘の合間、アリアが感心したように呟いた。


「俺たちだけじゃねえ。うちの料理番は、もっとすげえぞ?」


ガルムが自慢げに笑う。その脳裏には、どんな困難も美味しい料理で解決してしまう、頼もしい仲間の姿が浮かんでいた。



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