↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
25/25

25.出奔

小夜子が魔力を回復しながら必死にダンジョンで野菜を作り続けて一ヶ月。ようやく国中に食料が行き渡った。それでも通常の生活の中で蒔いた種が芽吹き、畑に実りが訪れるのは早くても数カ月かかる為、定期的に補給は続けていくことになる。

ダンジョンへの出入りは、役所で手続きをしたものが入れるようにした。特に今回のことで、孤児になった者やスラムに住んでいた者を雇用することで、自立を促す為だ。その為の建物も立てた。


『便利』といえば語弊というか、当て嵌まる言葉が見つからず表現が難しいが、物質の精霊スターは万能で、佐夜子の守護レベルによって建物も物質の為、簡単に立てることが出来た。


寮のような形式で、4人部屋で二段ベッド完備。お風呂・トイレ・台所は共同で、朝と夕方は簡単な食事が出る。1つの建物で100人は寝泊まりできることになる。それを4棟建て、それぞれに管理人を置き、賄いを作る人を雇った。本来なら建物も人が建て、経済を回すことが大事なのだと思うけれど、国も余裕がないし、待つ時間がなかった。当然首都だけでなく、各地区にそれを取り入れた。村では村長が管理人の役目をし、それに対して近くの街から援助を貰う。

実際にそれで半年は何とかやっていけた。画面に出る食料普及率も105%になった。計算上は災害が起きなければ暮らしていけるようになる。

ある程度満たされたら、それ以上を望むようになってくる。


商人たちは国内だけで満たすことが出来ないものを求め始める。それは民衆からの声を反映しているようだ。今よりも1ランク高い生活がしたい。

それは誰しも思うこと。


小夜子はこの国のことについてとても疎い。画面上の数字は一番知っているが、ここに来て8カ月。食べ物を確保することで、日々が過ぎていった。国民性は強い者には従順だが、興味がない者(物)に関しては全くと言って無関心。職業に対して向き不向きが、しっかりと分かれていた。

縄張り意識が強く、自分たちのテリトリーを侵した隣国に対して、報復をしたいと思っている者がそれなりにいる。というのだけは、すぐに理解した。


――疲れた。

そして、何故自分がこんなに頑張っているのだろうと。

自分がブラック企業に勤めていたことに気づいたような。

誰かに小夜子がしていることに対して、不平不満等何かを言われたわけじゃない。

それでも守護者が持つ管理画面には、人口の増減、収支の状況、そして幸福度など数字に出てくる。

100%なんてあり得ないことは知っているが、幸福度それでも65%は耐えた。

なんでこんなに頑張っているのに。

そんな思いが先に立つ。

私はこの国に何のゆかりもない。強いて言えばボス猫。ルチアーノではない。

「なんで私、ここにいるんだろう」


小夜子は何気に呟いた言葉だが、それを正確にスターが拾った。

『では、別の国に行ってみましょう』


「えっ、国交回復してなくても出来るの?」

『できます。結界は防衛の意味合いが強い為に、この国に入れないというだけで、隣国が入ることをよしとするならば、出ることはいつでもできます』

ああ、だから人数の上限があるのかと、今更気が付いた。

国の舵取りは、難しい。

本来ならルチアーノがすべきことなのだが、他国に囚われている自国民の救出に力を注いでいる為に、連絡がうまく取れず、急を要する決定はイェータと相談の上、結局小夜子が決済をしていた。

民主制度のように、多数決で決めて物事を進めていたら、もっと復興には時間がかかっていただろう。だけどその準備が整わぬまま復興が急ピッチで進んだため、旨く物事が進んでいるかのように人々には映った。

一致団結して国を盛り上げていく。

それをしないまま、なんとなく生活できるようになってしまえば、全てが昔に戻ったのだと、国民が錯覚してしまった。

小夜子は自分の判断が間違っていたことに気が付いたが、元には戻れない。

ここで全てを放り出してしまうことも出来ず、小夜子は立ち竦むしか出来なかった。


「独りね」

今のままでは経験上碌な考えにならない。すべてを放棄してスターに抱きついた。

「もふもふ…」


温かくて柔らかいものは、どうしてこうも小夜子を引き付け、気持ちを和らげるのか。

『私で安らかになられるのでしたら、いつでも…』

「うん。これから毎日こういう時間欲しいな」

『喜んで!いつでもどうぞ』

「うん……」


小夜子はそのまま意識が遠のくのを感じながら、今日は休もうとそのまま手放した。



目を覚ました時、小夜子は自分が寝ぼけているのかと思った。

夢を見た記憶はない。それぐらい深く眠りについた気がするが、眠る前の記憶さえもなくなってしまったのか。


「スター?」

『目覚めましたか、小夜子』

「夢、じゃないよね?」

『夢、ではないです。今日はコッソリと隣の国へ来ています』

理解したくないことは、理解しようとしないのか、小夜子は意味がサッパリ分からなかった。


隣国?なにそれ。まさかの出奔?

やだ、それ…美味しいの?


読んで頂きありがとうございました。

彷徨ってます。

ルチアーノが活躍するイメージ、なさ過ぎた…。

タイトル通りにいつなるんだろw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。