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18.すべての村、町の解放

調査隊、救助隊であるルチアーノ達10人ほどがボーレイに向けて旅立ったあと、一応の警戒をマークが中心となって指示をだしてくれている。

小夜子と言えば、街並みが変わったことで現状把握をしたいと、視察という名の散歩を、柴犬の成犬より大きくなったスターとしている。

そう、そう言うことにしている。

心を落ち着かせる時間が欲しい。

綺麗に生まれ変わった町並み。


どこか雰囲気はスペインだったかイタリアの村のような雰囲気。

2階建て~3階建てで1つの建物はそこまで大きくない。といっても、日本での一般的な一軒家の1.5倍はある。一番初めに大豪邸を見てしまったからそう思うのかもしれない。

屋根はオレンジ色で壁は白。ホッとする様な緩やかな雰囲気とところ何処にある風情のある屋台。

だけどどこか寂し気に小夜子に映るのは、建物が戻っても人がいないからだ。集落があった場所は全て貴族屋敷の庭になっているし、その場に会った家は、少し離れた場所に建っていたから、人は小夜子がいる場所の真逆にいることになる。


ここの本当の住人たちが、この場所に戻って来ているってことだよね?

だけど解放されていない村や街もあるってことだよね?


正直、小夜子は全くこの世界の変革についていけていない。

落ち着いたらこの世界のことをしっかりと理解しておかないと、ずっとモヤモヤしたままだ。

ゲームやラノベの世界だと言われた方が、スッキリするぐらいには。

正直なんでこんなに急激に変わったのか分からない。


『小夜子、悩みですか?』

「この世界のこと、よくわからなくて」

『この世界に来て、実質3日ですよね?分からなくて当然だと思います。それだけこの世界との親和性が高いのでしょう。過去の守護者たちよりも、ダントツのスピードです』


知りたいと思った事は全て画面に鑑定付きで出てくるし、解説もしてくれる。一々鑑定をかけなくてもいいし、以前よりも詳しく説明が出るからとても重宝している。

便利、なのは間違いないんだけどね。

こういう時、頭が柔らかだと楽しめるんだろうね。ゲームでもやり込んでいたら良かったかな?


ぼんやりしながら街の中を歩いていると、声が街の中に響いた。


『国の住人が全て眠りから覚めました。これによりすべての村、町が解放されます』


目の前に画面が現れ、先ほどまでなかった村や町が次々と追加されていく。

それに伴い、画面に国の人口が表記されるようになった。

現在の人口 10201人 12344人と次々に変貌していく。


そして地図上で生命樹があった場所から、人があふれ出ているのが分かる。

『生命樹の地下には、シェルターがあります。そこで住民は眠りについておりました』

「どういうこと?」

『それは我から話そう』


生命樹からされた説明はこうだ。

守護者である王が崩御した。本当ならばその子であるルチアーノにその能力が引き継がれるはずだったが、守護者としての力はほとんど残っておらず、それを継承させることが出来なかった。王の伴侶だった王妃が生きていれば、まだ守護は保たれるはずだったが、相次ぎこの世を去った。途端に結界は薄らいでいき、国の境目が曖昧になり、村が魔物に襲われるという事態が発生した。守護者という管理できるシステムが発動しない為、結界が効かない境界線が分からなくなり、住民の保護は遅れた。

結果、突如国を覆う結界がなくなり、結界が村を覆うことで精一杯になった。その為生命樹が封印することを決定した。

その決定に従い、住民の1/4が生命樹の元で眠りにつくこととなった。それ以外は僅かな結界の中で細々と暮らしていたが、他国に攻め入られることで、捕虜として暮らしていたと。


この国でなかったなら、地図に載らない。だから村のことも人のことも、把握できてなかったということか。

それにしても、こんな状態でルチアーノ。地球でボス猫をやってたわね。

王としての自覚なさ過ぎじゃないの?

『…それは、間違いないのだが。守護者として、上に立つことが出来る者。ルチアーノと共に、生きていくことが出来る人物でなければならなかった。誰も良かったわけではない』

「ふーん。それがなんで私だったのかは、正直理解できないんだけどね」

『―――小夜子は、鈍いのか?』

「それ、どういう意味?!」

『そのままだ。幸太郎の話を聞いても、理解しておらぬようだからな』

「幸太郎さんに話?…あの恋の話ってやつ?」

『そうだ。我はルチアーノと小夜子が仲睦まじくなることを望んでいる』

「ん―――――――。悪くはないと思うけど、猫だし」

『そう、だな。追々に』


そんな話を生命樹としていると、街の中が騒がしくなってきた。

地図を見ると沢山の■が屋敷に向かって動いている。

どうやら、この街の住人が戻ってきたようだ。


街の散策は終了。

一人でいても出来ることは限られてくる。家に戻ってどうすればいいか、イェータと相談することにした。

「スター。急いで戻って」


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