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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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51話~次は三国ヶ丘~


「暫くは、しぶ子を刺激しない様にするかな。」


海人は、今日はJとお揃いの科学者コスチュームに身を包むと、椅子に腰かけた。


彼女はシックスセンスの持ち主だ。きっと色々自ずと気づいていくはず。自分が色々情報を与えすぎるよりも、そんな風に自分で気付き、理解していった方が今は彼女の精神衛生上、良いと考えたからだった。


「これを見てください。彼女、日記をつけているみたいですね。それをチェックした所、柊さんの姿を受信した内容を書いているようです。よく詳細はわかってはないみたいですが、その事で女装男子が悲しんでいる。そんな事まで受信出来ている。。」


Jは、しぶ子がオープンに公開をしている、日々の色々を綴った日記のページを開くと海人に見せた。


「駄目だな……やっぱり同じ魂だと同調しちゃうみたいだ。受信してしぶ子まで一緒に気持ちを共有して悲しんでしまってるし、日常にまで支障をきたしはじめてる。それを見て今、更に俺がその気持ちに飲み込まれそうになってるかも。」


海人は日記を読み進めていくうちに、顔をしかめはじめた。


「多分それが、ホワイトさんも言ってた弊害ですね。少し距離を起きながら様子をみましょう。あと凄いのは伝えていないのに、関係者の前世が既に知っている人物の誰かまで気付きはじめているようです。この辺りもあえて刺激しない様に、此方からは触れないでおきましょう。」


「そんな記述なんてあったっけ?」


海人が日記に目を走らせながら、不思議そうにJに尋ねた。


「いえ、海人さんがしぶ子さんの所へ訪れてからの、言葉が悪いですが僕の記録してきた観察日記があるんです。これを読んでもらうとわかると思います。」


海人はJから受け取ったデータに、また目を走らせはじめた。


「なるほど、みんなの前世達ってこの日記の読者なんだね。ホワイトから俺達は漠然と先に教えてもらっていたけど、どこで面識あるんだとずっと思ってた。これって、一体どうやって?誰が引き寄せたわけ??」


「あと一番注目してほしいのがここです。」


「なるほど……ホワイトか。」



海人は、しぶ子が頻繁に誰かとコンタクトを取っては、その指示通りに動いてる事に気づいた。


しぶ子は既にホワイト、つまりは上層部と繋がっている。

本人は【守護】とか、そんな存在でホワイトの事を信じているみたいだけれど、未来でも存在がシークレットだった上層部と21世紀の、ましてや一般人のしぶ子が何故?


「なんかあれだね。結局、色々足掻いてさ。

一喜一憂してきた今までの時間全てが、上層部って悪組織の、暇潰しの駒として踊らされてきた、そんな気分になってくるよ。」


海人はデータに目を通すのをやめると、複雑な面持ちで宙を仰いだ。


「例え悪でも、今の僕達に選択肢はありません。

僕達の目標は柊さんの目覚めのみです。そこだけはぶれないでいきましょう。悪は結局、裏を返せば誰かの正義でもあるはずですから。」


そうJは諭す様に海人に声をかけると、いつもの様にスクリーンを出し、しぶ子の現在を映し出した。


日曜日だからなのか、しぶ子は何処かへ出かけるらしく今まさに出発する場面が映し出された。


「とりあえず、俺、着いていってみるよ。今日はそっと離れた所から気付かれない様にさ。」


海人は自分こそ身支度を急いで済ませると、扉をくぐりしぶ子の元へと向かった。







しぶ子は日曜日の朝目覚めると、早速窓のカーテンを開けた。

晴れた空からは眩しい日差しが、まるでお出かけ日和だと言うかの如く室内を照らしはじめた。


最近はもっぱら、弥生時代や時間旅行について色々知識を深めているわけだけれど、正直それが一体何になるのか、何に繋がるのかすらもわからない。

でも、それをしないと駄目な気だけはしていた。


まだまだ、私の勉強が足りないのかもしれない。


しぶ子はタブレットを開くと、弥生時代を学べる資料館や博物館がないか調べてみる事にした。


家で色々な資料を眺めるよりも、実際そんな場所に行くと何かしら新しい発見や刺激が貰えるかもしれない、そう思ったからだった。


「大阪に資料館があるみたいだし、今日はそこに行ってみようかな。」


しぶ子は朝食を取り身支度を済ませると、早速資料館を訪れるべく駅へと向かった。


日曜日の車内は人がそこそこに乗っていて、空いている座席は無く、しぶ子は扉の前に立ち、動き始めた車内から移り行く景色を眺めていた。


ふと、視線を上にあげると最近世界遺産に登録された、【百舌鳥・古市古墳郡】のポスターがあった。


古墳の本は読んで少しはわかってきたものの、しぶ子自身、大仙陵古墳に人生で訪れた事はなかった。


そう言えば、女装男子が古墳はお墓じゃないって言ってたっけ。ところで、この世界遺産の古墳郡は何処にあるんだろう?


少し気になったしぶ子は、タブレットで調べる事にした。


「次は三国ヶ丘」


車内に、アナウンスが流れた。


タブレットの画面に表示されたアクセス欄には、三国ヶ丘駅で乗り換え、2分で百舌鳥駅下車とあった。


今日の目的である資料館はまだ先の駅だから、帰りに時間があったら、寄ってもいいかもしれないな。


そんな事を考えていると、電車は三国ヶ丘駅に到着し、目の前の扉が開いた。


すると突然、しぶ子の脳内にホワイトの声が響いた。



『降りなさい。』


「は??私の予定に今、降りるはないんだけど!!??」


そう思ったものの、しぶ子は扉が閉まりかける直前、気づくと三国ヶ丘に背中を押された様に降り立っていた。




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