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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
17/74

17話~1%の可能性~


 どこまで話したか………


爽がいなくなって、タイムトラベルで遭難者が続いた事で、かなり大問題になった。


爽の足取りはいくら調べてもわからなかった。それと同時に、遭難者の女性のマシンの燃料が切れたのか。コンタクトが取れなくなった。


ふたりを捜索するには手がかりが無さすぎた。

それに、今の現状から見ても2000年前と現在のルートに何かしらの歪みがあるに違いない。


それを踏まえてタイムトラベルは無期延期。実質再開はされない動きになっていった。


その流れの中で私は焦った。


またマシンで向かった先へ捜索に行っても

遭難する可能性の方が高いのは頭で理解出来た。

タイムトラベルの再開は、もしあったとしても

かなり先になるだろう。


それだともう救出すら出来なくなる。

いや違う、もう2度と爽には会えなくなる。



それは……困るな………


私の生きる時代に、爽がいないのは困る……



気づくと私は、荷造りを始めていた。


用意出来たケースを左手に持ち、爽のブランケットを右手で抱きしめる様に持つと、マシンの発着場に向かっていた。


躊躇いはなかった。


恐らく時空の歪みで、このマシンも遭難の道を辿るかもしれない。でも逆に、爽に会える方法はもはやこれしかない。


1%の可能性がもしあるなら……


それにかけたい………



マシンに乗り込んだ私は、ゆっくりと2000年前の着地点を入力して、それから静かにスイッチを押した。


「そして、3世紀のこの国に?」


Jが、端末を操作しながら女王に尋ねた。



「あぁ。でも、私のマシンは遭難せず無事にたどり着いたんだ、不思議な事に。」


「なるほど。これで全てわかりました。」


Jはデータを見ながら、納得した口調で語りだした。


「ヒメコ様が過去にタイムトラベルして

到着した場所には、最初の個人旅行の遭難女性がいた。


遭難女性の乗っていたマシンは大破していた。


ヒメコ様は後世に残さないように、干渉が

起こらないように、その場で存在を消し去った。


そして、自分が乗ってきたマシンに

遭難した女性を乗せて、未来へと返した。


これで、概ねあってますか?」


「あぁ、その通りだ。」 



「記録には、遭難女性の帰還の記録があります。

でも、ヒメコ様と爽さんは行方不明で処理されてますね。それがあってトラベルは更に禁止の流れに向かったようです。」


「私も遭難者と未来へ戻る道も確かにあった。

今思うと、戻り足掻いた方がよい展開を生んだのかもしれない。

でも、当時の私にはそんな選択は思い浮かびもしなかった。」


「爽って奴が、そこにいなかったから?」


海人が、真剣な顔つきでそう尋ねた。


「あぁ、爽に会いたい、それしか考えられなくて、気づいたらマシンごと遭難者を返していて。  

そうしたら、爽の気持ちを軽く出来る。それしか考えれなくて。

干渉とか、歴史が変わるとか、もうそれすらどうでもよくなった。

私は爽にあわせてくださいと願いながら、それからずっと探し続けているのさ。」


「わかるよ。俺も一緒だもん。わかる…。」


海人は、ボロボロ流れ出る涙を右袖で拭った。


「ヒメコさんさぁ、爽を探そうよ?俺手伝うからさ。ね?探そう?」


すると、女王は困ったような笑顔を浮かべて


「海人有り難う。でも、爽は既に見つけておるのだよ。」


「え?それってどういう事ですか??」


Jも驚きを隠せず、女王にそう尋ねた。



では、今に至るまでの話をもう少しだけ、おまえ達に聞いてもらうとしようか。


女王はそう言うと、また語りはじめた。


 

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