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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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10話~タイムトラベル計画~


 驚く海人に、Jは言葉を続けた。


「現在、タイムトラベルは禁止されてますが、出来ない訳ではないんです。」


「ああ、以前説明は受けてるよ。」


海人は、タイムリープ前のJから、現在タイムトラベルが禁止されてる事。

その理由が、遭難が増えたからだという事。

遭難の際は遺跡に行くといいと教わった事を、改めて説明した。


「では話が早いですね。リスクは確かにありますが、その方が根本を叩けると思います。」


「根本?なんだかよくわからないけど、俺は何でもやるよ、柊を助ける為なら。」


「はい、さすがに未来が以前より悪くなっていたなんて申し訳が無さすぎます。僕が絶対になんとかします。

あと、さすがにこれは上の許可はおりないはずなので、極秘で動きます。」


「極秘?メイにも?」


「はい、メイにも。」


「わかった、どんな計画か聞かせて。」


こくりと頷いたJが説明を始めた。

Jのタイムトラベル計画はこうだった。






 前回タイムリープした時刻の少し前に着地点を置き、過去に遡る。実験の提案者である、博士とコンタクトを取り、身分をあかし、実験自体を中止させる。

その時代の海人と柊は幸せになる。



「筋書きとしてはこんな感じですね。」


Jは簡単に説明を終えると、海人の意見を伺った。


「そんな簡単に行くかな。」


「でも、やってみる価値はあると思います。」


「わかった。これだと今の俺自身は消滅するの?」


「そうですね、今回トラベルなので未来が変わるとそうなると思います。僕としては海人さんが未来から居なくなるのはとても残念ですが。」


「わかった。あと心配なのは、実験の提案者を俺は当時聞かされてなくて実は知らないんだよね。でも、探してみるよ、やってみる。」


「いえ、そこは大丈夫です。」


「え?」


「その博士は、僕の高祖父なんです。」


「え?じゃあ……Jは、実験提案者の玄孫って事?」


「はいそうです。だから一緒に行きます。その方が話が早い。」


「え?今なんて?一緒にって意味がよくわからないんだけど。」


海人が、戸惑っているとJは笑顔でこう告げた。


「つまり、僕も海人さんと一緒に過去に飛ぶって事です。」


数秒、沈黙の時間が流れた後、海人の驚く声が部屋中に響き渡ったのだった。





そこからのJの動きは機敏だった。


海人は柊の事で精神を病んでいる、暫く休養が必要だろうと、メイを含む上層部に報告をし、J以外との面会を一切遮断した。


そして、自分はタイムトラベルの準備に勤しみ、海人にはその間、眠っていた100年の間のタイムトラベルの歴史や、遭難事故についての知識を学ぶ様に促した。


「ねぇJ、メイは元気?怪しんでない?」


端末を操作しながら、海人はJに尋ねた。


「元気ですよ。たまにこちらの様子を、モニターで覗いているのでその点も大丈夫です。」


「え?俺覗かれてるの?先に言っててくれよ。俺の行動怪しくなかったかな。」


「ずっとほぼ端末を見てる姿なので、逆に都合はいいですね。」


「それって?」


「海人さんはタイムトラベルのデータを見てるわけですが、メイや上層部に見せている海人さんとの共有画面には、柊さんのデータを差し替えてあるので。」


「そんな事してたんだ。」


海人は驚いた表情でJをみつめた。


「なので今も、一心不乱に柊さんの画像のみを見続けている姿にしか、あちらには映っていないはずですよ。」


「敵を欺くにはまず味方からって大昔の言葉そのまんまだな。

でも、そんなデータかあるなら、今度本当に見せてくれないかな?」


「わかりました。あとで転送しておきますね。」


Jは、草花に水をあげるジョウロを両手に持ちながら、静かに微笑んだ。


「では、海人さんは作業を進めながら僕の話を聞いていて下さい。」


Jは草花に水やりをしながら、海人の方は向かずに、まるで花達に話しかける様に計画を語りはじめた。


「3日後の深夜0時に、タイムトラベルを決行したいと思います。

場所の手筈は既に整えています。荷物もこちらで積んでおきますから、海人さんは制服に着替えて、身一つでこの場所に来てください。」


海人の端末の画面に、地図が表示され、その場所が点滅をはじめた。


「わかった。」


海人は地図を頭に叩き込んだ。


すると、Jはジョウロを一旦床に置いて、少し何かを考えてから、こう聞いてきた。


「旅の前に、柊さんに会っておきますか?」


そう聞かれて、海人は少し黙りこんだ。


「すみません、海人さんの気持ちを考えない発言でした、忘れてください。」


「いやごめん、気遣ってくれて有り難う。でも、俺は会わずに行くよ。」


Jは静かに頷き、そして今度は本当に花達に色々と語りかけはじめた。



「やっぱり、優しくて変な奴。」


海人はJのその姿に癒されながら、また色々なデータに目を通しはじめた。





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