Taro is the first zombie in the world 3
まっさらな小さい部屋の様な空間。
壁はやわらかいビニールのようで白く、中央にある一つのベッドを囲んでいる。
家具は他に無い。
ただ、その一つのベッドの上で女が一人苦しそうな呻き声を上げていた。
彼女はバーモントである。
三日前のメンフィス制圧時にゾンビウィルスの感染をうけて以来、鎮静剤でウィルスの進行は遅らせることに成功したものの、副作用で苦しんでいた。
「う・・・・・・うう・・・・・・うっ・・・・・・うう・・・・・・」
消え入りそうなバーモントの声が部屋の中に響き渡る。
この無菌空間の中では時間がゆっくり流れるようだった。
と、白い壁の一部がプシューっと開いた。見れば白い防護服に身を包んだジェイが立っている。
彼はバーモントの枕元まで近づくと防毒マスク越しに優しい声で、
「大丈夫かい? バーモント・・・」
言った。
その声でバーモントは目を覚ます。
「あ・・・・・・ジェイ・・・・・・・・・・・・。ここは・・・・・・? 私は・・・・・・」
「ああ。ここは簡易手術用テントの中さ。あれから三日君はずっと眠っていたんだよ」
「ああ・・・・・・。そうか・・・・・・あっ、私」
思い出したかのようにバーモントは慌てて起き上がろうとする。が、肩の傷が痛んだ。
「動いちゃダメだ。まだ傷が癒えていない・・・・・・」
しかし、バーモントはそれでも痛みを振り払ってジェイの肩に掴みかかった。
「ねえ! 私を庇ったあの兵士は!?」
その言葉にジェイはぐっと息を飲む。バーモントは何も知らない。
しばらくの沈黙の後、覚悟を決めた表情でジェイは口を開いた。
「・・・バーモント。僕たちは今、君が生きていた事実だけが生きる指針なんだ」
バーモントはその言葉に全てを悟った。
ジェイは、つうっと頬を流れるバーモントの涙を見たのである。
―――Taro is the first zombie in the world




