出立の日
次の日の朝。俺は村に出向に来てくれると言う6人と顔合わせをしていた。
……若い……全員どう見ても20代。下手すると10代に見える。
が、別に戦争に行く訳じゃないのだ。正直全員新兵でも構わない。どちらかと言うと今回重視されるのは人柄なのだが……
「本日より小隊の指揮をとらせて頂きますアレンと申します! よろしくお願いします」
赤い髪の若者が勢いよく名乗り出る。こいつが隊長か……随分と女にモテそうな顔をしている。だがパッと見の印象は真面目そうだ。
「ピエールでっす」「ゴードンであります」「コニーです」「……ダインです……」「ベインです。ダインとは兄弟です」
金髪の優男。四角い顔の大男。小柄な美少年。ウェーブのかかった黒髪の……似てるなぁ、双子か?
全員と握手をかわし、挨拶を交わす。
「整列!」
アレンが声を張り上げると、全員踵をかつんと合わせて背筋を伸ばす。
「これよりアレン小隊。マクラーレン閣下の命に従い、ゲオルグ村長の手となり足となってアケレイ村の復興に尽力する事を宣言します。敬礼!」
おぉ……良い動きだ。悪くない。
こんな単純な動作でも練度が垣間見えるからあながち敬礼ってやつも無意味でもないんだな。
「ゲオルグだ。まだ村長になったばかりで右も左もわからないただのおっさんだ。だが必ずや村の復興は成し遂げてみせる。君たちには苦労をかけると思うが、これからよろしく頼む」
見よう見まねで敬礼する。……動きでナメられそうなのでやるべきか迷ったんだが……
だが、こちらから見る限り連中の顔には俺を値踏みするような気配は感じられなかった。
「それでは出立時の前衛が私。後衛がゴードン。ピエールが操馬を務めさせていただきます。小隊、乗車!」
全員が荷台には乗れないので前後に見張りを立てて行進する。
こうして俺達は特に滞りなくアケレイに向けて出発した。
~道中~
「村長。少しよろしいでしょうか」
見張りを交代するローテーションの中で赤髪のアレンと同席する順番になった。隣にはピエールが座っている。
「ん? どうした?」
「なんと言いますか、その……ありがとうございます。村を存続させてくれて」
「ん? どういう事だ?」
なんでこの子が俺に礼を言うんだろう? と思ったらピエールが口を挟んできた。
「こいつ、彼女がアケレイの出身なんすよ」
「ば、お前っ!」
アレンが顔を真っ赤にする。あまりにも初々しすぎて思わず笑ってしまった。
「ハッハッハ。そうなのか」
「ゆ、友人です友人! とにかくこう気が荒くてがさつで手が早くて女性と呼ぶのもおこがましいと言うかなんというかその……」
ピエールも噴き出してしまって調子に乗る。
「おー、おー、知らねぇぞそんな事いって、あとでアンちゃんに怒られてもよぉ。いや、アンちゃんは良い子ですよ。普段はおとなしいくらい。でもアレンの奴がやたらモテるうえに、本人鈍くて無警戒だからいっつもヤキモキさせてるんですわ」
「お前は黙ってろ!」
会う前は彼らとうまくやっていけるかどうか不安だったが、きさくそうなやつらで良かった。そんな事を思ってひとしきり笑ったあと、ピエールがすっと真面目な表情になってこちらに向き直る。
「いや、でも実際ホント、なかなか出来る事じゃないと思うんですよ。俺らマジで村長の事尊敬してますから」
アレンもまた真剣な眼差しで頷く。
「まだ何も成し遂げちゃいないさ……君たちの力が必要だ。本当に頼りにしてる」
「……はい!」
少しだけ彼らと打ち解けられた気がした道中だった。




